地域に根ざした大衆的な中華料理店「町中華」にスポットが当たって久しいが、同じように地域に根ざしたゴルフショップといえば「ゴルフ工房」がある。経験豊かなクラフトマンが使い手の要望に合わせ、ヘッドとシャフトを組む「カスタムクラブ(地クラブ)」が人気だ。そこで、人気工房の「飛ぶスペック」を週イチで紹介! 試打者はゴルフダイジェストで四半世紀にわたり世に出たほぼすべてのクラブを打ってきた堀越良和プロだ。

大阪のカスタムシャフトが面白い

連載第3回目は、埼玉県行田市にある小池ゴルフ製作所の小池義幸さんがオススメする1本を紹介する。小池さんは大学時代も含め8年間の修業期間を経て1974年に独立したクラブづくり歴58年という、業界の生き字引的存在の職人。

「長年培ってきた技術と経験からゴルファー一人一人に合うクラブを提供するのはもちろんですが、“ゴルフクラブに対する知識”も伝えることで、プレー以外のゴルフの面白さを広めることが私の仕事だと感じています。年齢や腕前はさまざまな人が来店されますが、レーヴという大阪のシャフトメーカーのシャフトに合う人が多いですね。今回の『レイヴァー アサルト・アタック』もそうで、手元がかなりしっかりしたモデル。ワッグルすると軟らかさがあるんですが、ダウンスウィングでは変な暴れ方をしないので、どんなゴルファーからも『自分でも扱えます』と評判です。このシャフトに合うヘッドとして人気なのはエポン『EF-02D HT』。いわゆるカチャカチャ(弾道調整機能)が付いているモデルで、曲がり幅が非常に少ない。また『HT』というネーミングからわかるように、ロフト角が寝ているモデルなので球が高く上がり、ビギナーはもちろん、パワーが衰え始めたゴルファーにもオススメです」(小池さん)

画像: 飛ぶスペックを教えてくれた小池ゴルフ製作所の小池義幸さん

飛ぶスペックを教えてくれた小池ゴルフ製作所の小池義幸さん

●ヘッド/エポン EF-02D HT (12度)

「どんなときでも当てやすく、真っすぐ飛ばしたい」という要望から、安心できる広い投影面積と、トウヒットしてもフェースが開きにくくなるようにフェースセンター重心を実現。また、ヘッド重量は兄弟モデル『EF-02D』よりも3g軽く、かつロフト設定も12度とよりやさしく、弾道を上げやすい設計にしている。内部構造にもこだわり、ヘッド後方へ伸びるチタン製のリブはインパクト時にくラウンドたわみ戻りが緩やかで一般男性アマチュアのヘッドスピード帯でとくに効果を発揮するという。低剛性部の後方に高剛性部を配置することで、フェース下部エリアの反発が向上し、飛距離アップにつながる“パワーブーストチャネル”をソールに配置した。価格/オープン価格

画像: エポン『EF-02D HT』ドライバー

エポン『EF-02D HT』ドライバー

●シャフト/レーヴ レイヴァー アサルト・アタック(45.5インチ/60-S)

70tカーボンを全長に纏うことで手元側を強化。切り返し時に手元のたわみを少なくし、ブレないしなり戻りで加速し、最大効率化でインパクトを迎えるという。また、全体にニッケル・ボロンを採用したことで、先端部にあるニッケルのおかげで、インパクト時に当たり負けない強度を確保しつつ、加速力に負けない挙動を実現した。価格(税込)/6万9300円

画像: レーヴ『レイヴァー アサルト・アタック』

レーヴ『レイヴァー アサルト・アタック』

高弾道の適正スピンでキャリーが出る

ここからは堀越プロの試打結果とインプレッションをお届けしよう。

画像: 試打者/ほりこし・よしかず。試打経験から裏打ちされた豊富な知識と試打技量から大手メーカーのシャフトやヘッドの開発にも携わる。キング・オブ・試打。クレアゴルフフィールド所属

試打者/ほりこし・よしかず。試打経験から裏打ちされた豊富な知識と試打技量から大手メーカーのシャフトやヘッドの開発にも携わる。キング・オブ・試打。クレアゴルフフィールド所属

「ロフト角が12度ということで、すごく上を向いているヘッドです。また、フェースプログレッションが大きく見えます。また、投影面積が大きいのでオフセンターヒットに強そうなイメージもあります。構えた瞬間に『球が上がって、トウやヒールにズレてもミスになりにくい』イメージが浮かんできます。ただ、エポンにしてはスコアラインが多く入っているので、スッと構えたいゴルファーはスコアラインを黒く塗りつぶすのも手だと思います。これまでいろいろなシャフトを打ってきましたが『レーヴ』というシャフトは初めてです。こういう初物はワクワクしますね。ワッグルするとかなり軟らかい印象です。手元がしっかりめで先がはしるのでバランスがいいです。このヘッドとシャフトの組み合わせだと、HS40m/s以下でもぜんぜん使える、むしろHS40m/s以下のゴルファー用なのでは? と思うほどです」とややHSを抑えて打ちたそうな堀越プロ。「とはいえ、一般的なアマチュアゴルファーの42m/sくらいで振ってみます」と早速打ってみる。

弾道計測器(ラプソードMLM2PRO)では、打ち出し角が高く、適正スピンで真っすぐな弾道が描かれる。「イメージどおり、球がすごく高いですね。そして、12度という大きいロフト角のおかげでインパクト時のロフトも大きく、その結果、“スピンロフト”が増えるので、スピン量はやや多めになります。ヘッドスピードが速ければ低スピンで飛ぶのですが、HS42m/sくらいだと、打ち出し角は14~15度くらい、スピン量は2500~2600rpmくらいが最適解なので、それをヘッドとシャフトでオートマチックに導いてくれています。この組み合わせはバランスいいですね」と堀越プロ。

画像: エポンヘッド×レーヴシャフト。“高”弾道ヘッドと“強”弾道シャフトはHS40m/sでキャリーが稼げる!【人気ゴルフ工房のぶっ飛びドライバーをキング・オブ・試打が語る】

トウやヒールでも打ってみると、「ミスヒットにもそれなりの強さを示しています。ただし、シャフトは全体が動くイメージがあるので、オンプレーンで振れるゴルファーにはいいのですが、プレーンを外すとかなり大変になります。タメが出来ない人やフッカーにはきついかも…‥」とのこと。

ヘッドスピード42m/s前後で5球を打っての平均は下記のとおり。

ボール初速●60.5m/s
打ち出し角●15.9度
スピン量●2762rpm
キャリー●223.6Y
総飛距離●242.1Y

総括

「構えた印象どおりの高弾道が打てるクラブでした。ゴルフはイメージのスポーツなので、イメージどおりの球が出るのはすごく大事なことです。先ほども述べたとおり、シャフト全体が動くので一定のリズムで振れる人、切り返しのタイミングがゆったりの人には安定した飛距離が出るので方向性もバラつかず、スコアメイクしやすいクラブだと思います。また、球が上がらず、いまの低スピンクラブ&ボールでドロップしてしまうような人にはもってこいで、HS40m/s前後のゴルファーでも使用できるスペックだと思います。しかし、初心者には少し難しいイメージも。とはいえ、このクラブのポテンシャルが生かせるようになれば、HCも下がっていくことは請け合いです。ちなみに、はじめて打った『レーヴ』シャフトの性能でいえば、強弾道の低スピンが打てると思います。それがここまでしっかりスピンが入り、球が上がるのはヘッド性能のおかげです。このバランスの良さが秀逸でした」(堀越プロ)

画像: 「ロフト角が12度あれば、かなり球が上がります」とキング・オブ・試打の堀越プロ(左)。また「手元がしっかりめでシャフト全体が動く」と初打ちのレーヴシャフトに興味津々(右)

「ロフト角が12度あれば、かなり球が上がります」とキング・オブ・試打の堀越プロ(左)。また「手元がしっかりめでシャフト全体が動く」と初打ちのレーヴシャフトに興味津々(右)

小池ゴルフ製作所

画像: 1974年に店を構えてからちょうど50年。小池さんの仕事場は整然としている

1974年に店を構えてからちょうど50年。小池さんの仕事場は整然としている

行田市にお店を構えてから今年で50年。この道58年の職人・小池義幸さんがその技術と知識で「親切、丁寧、安値」をモットーにオーダーメイドの製作、クラブのリメイクを手掛け続ける。
住所/埼玉県行田市持田840-9
営業時間/8時30分~18時30分(定休日/日曜、祝日)
☏048-553-0643

THANKS/クレアゴルフフィールド

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