テーラーメイドとピンの『10K』ヘッドを打ち比べ
「ガチ」をうたい文句に、気になるモデルを徹底試打する本企画。今回も、癸生川喜弘プロが試打を行い、小島慶太プロがデータを分析を行った。
「10K」とは「10,000」のことで、ヘッドの上下・左右の慣性モーメントの合計が1万g・㎠を超えていることを示す。すなわち、慣性モーメントが極めて高く、ミスヒット時のヘッドのブレが小さいということ。
10Kを実現した「Qi10 MAX」と「G430 MAX 10K」は発売以来、共にドライバー部門の売り上げのトップ争いにしのぎを削る人気モデルだ。Myゴルフダイジェストでは、この2つのモデルの比較試打企画を2度にわたって行った。前回は純正シャフトでの打ち比べだったが、2度目の今回は、「10K」ヘッドの実力差を引き出すために、同一のシャフトとグリップを装着して試打を敢行。
同一シャフト&グリップでヘッド特性をガチ検証!
試打ヘッドはテーラーメイド/Qi10 MAX(10.5度)とG430 MAX 10K(10.5度)。シャフトはどちらもグラファイトデザイン/ツアーAD VF-6(フレックスX)、グリップ/PALMAXに統一。これでヘッド単体の性能が見えてくるはずだ。
試打結果は以下の通り。
Qi10 MAX
<トラックマン4のデータ>
弾道/ドロー
クラブスピード●46.1m/s
ボールスピード●68.9m/s
打ち出し角●11.2度
スピン量●2876rpm
キャリー●246.4ヤード
トータル●267.0ヤード
曲がり幅(SIDE)●13.0左
<GCクワッド>
Hインパクト(左右打点)●12ミリトウ
Vインパクト(上下打点)●8ミリ下
G430 MAX10K
<トラックマン4のデータ>
弾道/フェード
クラブスピード●46.4m/s
ボールスピード●68.9m/s
打ち出し角●12.3度
スピン量●2911rpm
キャリー●240.8ヤード
トータル●258.7ヤード
曲がり幅(SIDE)●13.6右
<GCクワッド>
Hインパクト(左右打点)●2ミリトウ
Vインパクト(上下打点)●7ミリ下
表示した数値はともに、1打目で出たものだが、比べるとほぼ同じ数値が出た。
大きく違いが出てのはトータル飛距離、そして球の曲がりだけ。
この違いは、弾道の違いによるもの。「Qi10 MAX」の弾道がドローで、スピン量は2876rpmで飛距離は267ヤード、13.0ヤード左に止まった。一方の「G430 MAX 10K」はフェードでスピン量は2911rpm、飛距離は258.7ヤードで右に13.6ヤードという結果に。
試打をした癸生川プロのコメントは、「『Qi10 MAX』はつかまるね。打点はちょっと先っぽだったけど、それでもつかまったからね。普段打っている自分のクラブと似た感じで振れたかな。『G430 MAX 10K』は構えたところに飛んでいってくれた。(もともとフェーダーなので)こっちのほうが僕は打ちやすいかな」というもの。
癸生川プロは、「Qi10 MAX」は、しっかりつかまってくれる。「G430 MAX 10K」はほどよくつかまってくれるという印象を受けたようだ。
この癸生川プロの感想を受けてデータ分析担当の小島プロのコメントは、
「シャフトやクラブスピードとかを揃えた試打結果で見ると、『G430 MAX 10K』もつかまらないヘッドではないけれど。『Qi10 MAX』のほうが多少つかまると言っていいと思います。両方“10K”という名前に相応しい慣性モーメントの高さはミスをしたときに感じて、弾道の安定性に繋がっていると思います」というものだ。
詳しい試打結果に関しては『Myゴルフダイジェスト』でチェックして、クラブ選びの参考にしてほしい。
PHOTO/Tomoya Nomura
THANKS/アコーディア・ゴルフ 技術研究所