地域に根ざした大衆的な中華料理店「町中華」にスポットが当たって久しいが、同じように地域に根ざしたゴルフショップといえば「ゴルフ工房」がある。経験豊かなクラフトマンが使い手の要望に合わせ、ヘッドとシャフトを組む「カスタムクラブ(地クラブ)」が人気だ。そこで、人気工房の「飛ぶスペック」を週イチで紹介! 試打者はゴルフダイジェストで四半世紀にわたり世に出たほぼすべてのクラブを打ってきた堀越良和プロだ。

珍しい外ブラのメイド・イン・ジャパンシャフト

連載第4回目は、東京は中央区東日本橋にあるスポーティゴルフスタジオの小村斎さんがオススメする1本を紹介。小村さんはかつてプレシジョンジャパンのツアー担当として多くのレジェンドプロのシャフトを見てきたマイスター。

画像: 飛ぶスペックを教えてくれたスポーティゴルフスタジオの小村斎さん

飛ぶスペックを教えてくれたスポーティゴルフスタジオの小村斎さん

「自分自身の手で自由にクラブをカスタマイズしたい」。そんな要望を持っているクラブ好きゴルファーのために日本初のアマチュア向け“クラブメーキングスクール”を併設したチューンナップショップスクールがスポーティゴルフスタジオ。主宰する小村さんは「プロや上級者が行っている“基本”をすべてのゴルファーに提供するのが目的で始めています。この試みもあり、上級者やかつての契約プロたちも多く来店いただいています。そんな方たちが多いので、私のオススメは一発の飛びよりも弾道の安定性を提供できるクラブになります。ヘッドは打感がよく、スピン量も抑え過ぎないエポンの『AF-106』。ロフトの割に球が高く上がるのも魅力のひとつです。シャフトは『アクラ TZ RPG H62』。フレックスはSですが、日本だとXに近いと思います。PGAツアーのプロは『シャフトに仕事をさせたくない。シャフトは自分の思いどおりに動くのがいい』というのですが、これはまさにそういうモデル。ちなみに、アクラは米国メーカーのシャフトですが、生産はメイド・イン・ジャパン。ジャパンクオリティのシャフトはやっぱりオススメなんです」(小村さん)

●ヘッド/エポン AF-106(10度)

「飛びのエポン」の設立45周年を記念して発売されたフラグシップモデルで、「伝統・継承」がコンセプト。エポンらしく、ヘッド体積は460ccながらも投影面積が小ぶりになるディープフェースで、ヘッド形状はやや洋ナシ型なので左が気になるハードヒッターにとって構えやすく、叩けば叩くほど飛ぶモデルになっている。また、打感向上のためにフェース素材には鍛造のパワーチタンカップフェースを採用。打感、打音だけでなく形状美も追求した伝統的な製法とフォルムで、まさに「伝統・継承」を地でいったモデル。価格/オープン。

画像: エポン「AF-106」ドライバー

エポン「AF-106」ドライバー

●シャフト/アクラ TZ RPG H62 M-4(45.25インチ)

2019年に全米オープンを制したゲーリー・ウッドランドが使用していた『アクラ ツアーZ RPG』の後継モデル。シャフト全長に5軸高弾性超軽量カーボンを使用。安定性を高め、スウィングによるしなりの再現性を高めます。最高度な航空宇宙グレードの高弾性複合素材で、複数層と組み合わされて高強度と滑らかなフィーリングを実現したシャフト。価格/オープン。

画像: アクラ TZ RPG H62 M-4

アクラ TZ RPG H62 M-4

中弾道の強弾道でHSが遅い人はランが稼げる

ここからは堀越プロの試打結果とインプレッションをお届けする。

「まず、『本当に460ccあるの?』と思うほどヘッドがかなり小ぶりです。エポンは数えきれないほど打ってきましたが、このヘッドもご多分に漏れず綺麗な顔で、『ぜひ操作してください』と打ち手に投げかけてきています。『アクラ』のシャフトはウッドランドが全米オープンに優勝したときに打ったことがありますが、かなりの歯ごたえがあったと記憶しています。これも、かなり硬めでいわゆる“S”ではないですね。日本のカスタムシャフトブランドの“S”よりも硬いです。しかし、素振りをしてみると、とても気持ちいい振り感でヘッドとシャフトのバランスの良さが伺えます。とはいえ、持った瞬間に“重い”と思い、計測したら314gあったので、これをHS40m/sくらいのゴルファーや、力があるけどアベレージゴルファーが使えるかと言えば厳しいと言わざるを得ません。やはり左に行かせたくない競技志向の上級者で、自身で球をつかまえられるゴルファーでないと、難しいでしょう」(堀越プロ)

画像: 試打者/ほりこし・よしかず。試打経験から裏打ちされた豊富な知識と試打技量から大手メーカーのシャフトやヘッドの開発にも携わる。キング・オブ・試打。クレアゴルフフィールド所属

試打者/ほりこし・よしかず。試打経験から裏打ちされた豊富な知識と試打技量から大手メーカーのシャフトやヘッドの開発にも携わる。キング・オブ・試打。クレアゴルフフィールド所属

画像: エポンヘッド×アクラシャフト。操作性ヘッドと硬めシャフトで球筋が安定する!【人気ゴルフ工房のぶっ飛びドライバーをキング・オブ・試打が語る】

打ってみると、弾道計測器(ラプソードMLM2PRO)では、打ち出し角は低く、低スピンの強弾道で飛んでいく弾道が映し出されていた。「イメージどおりの球が出ました。低スピンの中弾道で強い球です。素振りのときと同じで、やはり振り心地がすごくいいですね。シャフトが重くて硬いのに振り心地がいいというはヘッドとのバランスの良さなのでしょう。打ってみてHS40m/sくらいの人が使える気がしてきました。河川敷などのゴルフ場でやや低めの球で風に負けない強弾道が打ちたい人であればこのスペックで問題ないです。理想の球が打てると思います。ただどうしても低スピンになってしまうので、もともとスピンが入らない人には向いていません。パワーがあるゴルファーでもこれがアンダースペックとなることはほぼほぼないと思います」と堀越プロ。

オフセンターヒットの強さをみると、「正直、ミスに強いモデルではないですね。やはり、スウィングで球を操りたい上級者が、『思い通りの球を打てるのでやさしい』と思うクラブです。あとは、どう打ってもフックが出る。またはどう打っても球が上がるという人もいいと思います」とのこと。

ヘッドスピード42m/s前後で5球を打っての平均は下記のとおり。

ボール初速●62.9m/s
打ち出し角●10.9度
スピン量●2391rpm
キャリー●224.6Y
総飛距離●247.0Y

総括

「ディープフェースから想像できるとおりの強弾道でした。また、エポン特有の精密鍛造のチタンフェースは、一度覚えてしまったら他には移れない魅力があります。このクラブがいちばんマッチするのはボールを操作したいゴルファーでしょう。シャフトは変な動きを一切しないので、自身の思い描いた軌道で振れるはずです。そして、ヘッドとのバランスの良さから来る振りやすさは特筆すべき点です。振り心地の良さを求める上級者は多くいるので、そういった人にとってはこのクラブはうってつけです。とはいえ、先にも述べましたが、ヘッドスピードがそれほど速くない人が、球を上げられるかといえば、そういったクラブではありませんし、アベレージゴルファーが自身のイメージどおりに打てるのか、といえばそれは難しいでしょう。スピン量が多く入って悩んでいる、どう打っても左につかまり過ぎるというような中上級者にオススメします」(堀越プロ)

画像: 「これぞエポン」というヘッドの造形美。シャフトにも書いてあるように314gと現代のドライバーにしては重め

「これぞエポン」というヘッドの造形美。シャフトにも書いてあるように314gと現代のドライバーにしては重め

スポーティゴルフスタジオ

画像: 都会にたたずむゴルファーのオアシス

都会にたたずむゴルファーのオアシス

独立前から丁寧な仕事ぶりが評価され、その頃の契約プロはいまでも足しげく通う。アマチュア向け“クラブメーキングスクール”も併設され、クラブ好きの来店が後を絶たない。
住所/東京都中央区東日本橋2-25-8 新貝ビル1F
営業時間/10時~19時(定休日/日曜、祝日)
☏03-6410-6306

THANKS/クレアゴルフフィールド

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