地域に根ざした大衆的な中華料理店「町中華」にスポットが当たって久しいが、同じように地域に根ざしたゴルフショップといえば「ゴルフ工房」がある。経験豊かなクラフトマンが使い手の要望に合わせ、ヘッドとシャフトを組む「カスタムクラブ(地クラブ)」が人気だ。今回はこれまで計33回の連載のなかで、複数回登場した“人気クラブ”を紹介する“番外編”。
画像: 上:堀越良和(撮影/小林司)/下段、左から:田中ゴルフ店主/ゴルフクラフト・大信プロダクト店主/ブイテクゴルフ店主/スパイグラス店主/エンジョイゴルフ工房店主

上:堀越良和(撮影/小林司)/下段、左から:田中ゴルフ店主/ゴルフクラフト・大信プロダクト店主/ブイテクゴルフ店主/スパイグラス店主/エンジョイゴルフ工房店主

人気の組み合わせを発表 !

2024年2月6日から連載を開始し、33回を数えた『【人気ゴルフ工房のぶっ飛びドライバーをキング・オブ・試打が語る】』。これまで番外編として、2回に分けて工房から集まった人気シャフト・人気ヘッドを紹介した。番外編の最後となる今回、『ぶっ飛びドライバー』で人気だったシャフト、ヘッドを使用した“組み合わせ”に注目した。

シャフト部門1位:フジクラ『DIAMOND SPEEDER』を使った組み合わせ

画像: 最も組み合わせの中で多かったシャフト『DIAMOND SPEEDER』と、ヘッド『KAMUI TP-XI <イレブン>nitrogen』

最も組み合わせの中で多かったシャフト『DIAMOND SPEEDER』と、ヘッド『KAMUI TP-XI <イレブン>nitrogen』

「『DIAMOND SPEEDER』は走り系のシャフトという印象ですが、一方で全体的にしっかりとしたシャフトでもあります。『5S』と数値だけ見ると軟らかく、かつ軽いイメージを持ちますが、振ると頼りない印象は全くなく、ヘッドスピード42m/s以上の方でも扱えるシャフトです。また切り返し直後からインパクトまでヘッドがはしる感覚が強く、クラブスピードが減速せずボールへの圧力がそのままぶつかっていくような打感、そして高打出しでしっかりとキャリーが出てくれるため、球が上がらずに悩んでいる人は試してみる価値があると思います」とシャフトに対するフィードバックを語った。今回は『DIAMOND SPEEDER』の中からヘッドも被った2本を比較。

シャフト・ヘッドが同一の組み合わせだが、組み方による違いが明確に出た1本

「数あるシャフト、ヘッドの中から全く同じ組み合わせが出てくることに驚きましたが、『エンジョイゴルフ工房』のクラブの長さは45.75インチに対して、『田中ゴルフ』は45.25インチと、たった0.5インチの長さの違いでした。0.5インチとなると約1.3センチ程ですが、たったこれだけでもスウィングタイプによってタイミングの取りやすさであったり、シャフトの挙動が異なるのでとても面白い比較となった記憶があります」と堀越プロ。実際にシャフト長による違いを、それぞれ解説してもらった。

まとめ
「2つとも同じ組み合わせですが、長さが異なるだけで全然違う味付けになって興味深い結果となりました。短くするメリットは芯に当たりやすくなり、方向性が安定しやすくなる傾向があります。また長くするメリットはヘッドスピードが上がり、一発の飛び、そしてシャフトの特徴を最大限に活かすことができる所だと感じました。1点注意していただきたいのはバックスウィングの感覚、切り返しのタイミングがかなり変化する点です。長め、短めの良し悪しを確認し、慎重に選ぶ必要性があると思います」(堀越)

ヘッド部門1位:ロッディオ「M-Tuning」を使った組み合わせ

画像: 3回同一ヘッドとして掲載された人気ヘッド「ロッディオ M-Tuning」

3回同一ヘッドとして掲載された人気ヘッド「ロッディオ M-Tuning」

ヘッド部門1位となったのはロッディオの「M-Tuning」のヘッドを使用した組み合わせだ。「このヘッドは自由にヘッド重量をカスタマイズできる可変ウェイトが3カ所あるので、誰でも自由にカスタマイズできることが最大の魅力だと思います。またヘッド自体の操作性が高く、ややオープンの見た目なのでどちらかというと上級者が好みそうな見た目という印象を受けました」と堀越プロは振り返る。

▼ブイテクゴルフ《10度》

堀越プロ ブイテクゴルフの組み合わせはTPT『19 HI POWER RANGE(RED)』のシャフトを組み合わせ、さらにグリップ側にカウンターバランスにするために『ツアーロック』を使用しています。手元側に重さが来ることで手が前に行かず、しっかりと球のつかまりを担保でき、かつロフトが立って入らないので高弾道も実現できました。球がつかまりやすい反面、フッカーにはチーピンを誘発してしまう恐れがありますので、スライサーに合う組み合わせだと感じました。

▼ゴルフクラフト・大信プロダクト《10.6度》

堀越プロ すべてロッディオで組み合わせた大信プロダクトのクラブですが、リアルロフトが10.6度と球の打ち出し角、そして寝ていることによってつかまりやすい組み合わせの印象でした。シャフト自体がトルクが多くてオフセンターヒットに強く、また左に行きづらい組み合わせなのでしっかりと振っていけるようなクラブに仕上がっていました。またすべてロッディオのシャフトで組んでいることから、お互いの相性が良く、スムーズな挙動が印象的でした。

▼スパイグラス《10.7度》

堀越プロ 大信プロダクトと同一な組み合わせですが、こちらは45.75インチと少し長めに組み合わせ、飛ばしの要素を強くした意図が感じられました。少し長くなったからか、手元部分にしなりを感じ、インパクト直前でしなり戻りが強くなって球を押せる感覚が強かったです。シャフトを自分でコントロールしたいというよりは、オートマチックにシャフトが動きたいように動かせれば安定性と飛距離が期待できると思います。

まとめ
「同じヘッド、異なるシャフトで比較しましたが、やはりシャフトとの組み合わせ次第でヘッドの特徴も変化することが改めて確認できたと思います。またシャフト、ヘッドだけではなく、カウンターバランスにするアイテムや、ヘッド重量を調整することにより、さらに自分好みに近づけられる応用力の高いヘッドでした」(堀越プロ)

総評

「一般的にはつかまりやすいヘッドも、シャフトによって左に行かないような組み合わせができることや、シャフトのしなり戻りを最大限に使ってよりつかまるセッティングにしたりと、所謂『町中華』のように同じ食材を使っていても味付けに特徴があることがカスタムクラブの魅力、楽しさだと感じました。また1つの品に対してスパイス(可変ウェイトやツアーロックなど)を入れることで味変の様に気軽に変化を楽しめるような提案力はさすがだなと実感しました。この試打企画を通じて、地元の工房やカスタムクラブに興味を持つきっかけになるととてもうれしいですね」(堀越プロ)

まだまだ堀越プロの試打企画は続く……。次回もお楽しみに !

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