オフの過ごし方は100点満点です!
サントリーと馬場は全米女子アマを勝ったあとの2023年からスポンサー契約をしており、帽子に入っているロゴも位置もアマ時代と変化はないが、所属プロとしての自覚が出てきたのか、以前会ったときよりもサントリーのロゴ入り帽子が似合っているように感じた。
3人目のサントリー所属プロになったわけだが、宮里藍と渋野日向子という若くして世界に名を轟かしたビッグネームの先輩2人をどう見ているのかを聞くと「藍さんとは全米女子アマに勝ったあとに、藍さんの名前が付いたジュニアの大会でお会いして、個別でお話を伺える機会をいただきました。私はそもそもそんなに食が太いほうではなく、試合中に体重が2キロくらい減ってしまうことは普通でした。その結果、スタミナや集中力が後半になればなるほど持たなくなっていたのですが、その対処法を親身になって教えていただきました。それこそ、ご飯の食べ方とか試合中の補食の大切さとかいろいろ。本当に『神様』みたいな存在だと思っています。渋野さんは昨年のホンダLPGAタイランドの最終日と、サントリーレディスの初日、2日目に一緒にラウンドさせていただきましたが、いつもリードしていただいて、本当に優しくて、面白くて、かっこよくて、一緒にいてくれるだけで安心できる人です。なので、渋野さんは『太陽』ですね」と宮里や渋野と同じような笑顔で答えてくれた。
先週の話になるが、PGAツアーにも出場し、JGTOのトッププレーヤーである蟬川泰果とペアになってHEIWA×PGM チャリティゴルフでプロ初優勝を遂げた馬場。日本男子ツアーの若手ホープとのラウンドはどうだったのか。
「蟬川さんは国内だけでなく、海外でも通用するレベルの選手だと思っているのですが、やはり技の引き出しの多さには驚きました。たとえば、ボールの置かれているライだけでなく、風だったり、着弾地点だったり、あらゆる状況をしっかり把握して、それに合わせた打ち方をしていたんです。なので、ラウンド中に『この場合だったらどう打ちます?』『なら、あの場合は?』と、いろいろな状況を質問させていただきました。それに対して嫌な顔をせずに、打ち方や考え方など教えていただいたので、すごくためになりました」とかなりの収穫があったよう。
また、この大会で得た優勝賞金の使い道を聞くと「まだ考えていないのですが、チャリティ大会だったので、一部ですが寄付をしようと思って、父と相談しています」と18歳の高校生とは思えない、しっかりした考えを披露。「あとこの大会ではキャディを坂詰和久コーチにお願いして、シーズン前の最終点検の場とさせてもらいました。優勝もできましたし、蟬川さんの技術も教えてもらって、オフの課題となったアプローチやティーショットでの不安もほぼ消えたので、オフの過ごし方としては100点満点だったと思います」と手ごたえを感じていた。
また、自身の課題に挙げていた体重の減少をどう抑えるのかを詳しく聞くと「そんなにスゴイことではないんですけど、さっきも話したとおり、食が細いほうなんでしっかり食べることが大事で、そのためには最初の勢いが重要だと思いました(笑)。たくさん食べ物が目の前にあると『うわー』と思ってしまうことが多いんですが、そんなことを考えず。早食いではないのですが、一気に食べ続けます(笑)」と可愛らしい(?)考え方を教えてくれた。
最後に、今後のスケジュールを聞くと「3月は米LPGAの下部ツアー・エプソンツアーがフロリダで3連戦あるので、今週末には渡米予定です。いままでは父が帯同してくれていましたが、それが甘えになっていた部分もあって、今回は一人で行きます。もう大人になる時期かなって(笑)。一昨年からお世話になっている在米のコーディネーターの方と現地で合流して、まずは3月を頑張りたいです。そのあと、エプソンツアーは4月末までないので、どうしようかまだ決めていません」ということだった。
JLPGAのQTに出場しなかったため、レギュラーツアーの推薦出場は3試合に留まる。下部ツアーであるステップ・アップ・ツアーは4月から開幕だが、このままいくと、JLPGAでのプロデビュー戦は、ギアとウェア契約を結ぶ5月の『ブリヂストンレディス』か。そして、所属先となった6月の『サントリーレディス』が2戦目となるのではないだろうか。この2試合は4日間競技のため、上位に入ればリランキングで後半戦の出場権が視野に入る。とはいえ、会見やインタビューで何度も繰り返される「アメリカで活躍したい」という言葉。ポイントランキングで米LPGAへの昇格を目指すのであれば、しっかり対応するためにそのまま米国に残り、転戦もあり得るように感じた。
どのような道を選ぶにせよ、偉大な先輩である宮里藍に「プレースタイルも人柄も応援したくなる選手」と言わしめた馬場の今後の活躍を期待したい。
PHOTO/Tadashi Anezaki、Shinji Osawa