2016年のアンカリング規制以降、目にする場面が減ったかと思いきや、ここ数年PGAツアーで使用者がじわじわ増えてきている長尺パター。自身も長尺パターで復活を遂げた“世界のレフティ”羽川豊プロは、パッティングの悩みを解決しうる「魔法の杖」だと話す。2024年3月12日号の「週刊ゴルフダイジェスト」では、長尺パターのメリットと使い方を特集しているが、その中から道具選びのポイントにフォーカスしてお届けしていく。

普通のパターよりもシャフトの個性が出る

長尺パターは、クラブ選びがとても重要だと羽川。自身でもこれまで膨大な数のモデルを試し、エースパターのほかに数本の実働パターを持っているという。

画像: 羽川豊。ツアー5勝をあげ、シニアでは長尺パターを使用し2勝。82年にはマスターズで15位にもなった日本を代表するレフティ。

羽川豊。ツアー5勝をあげ、シニアでは長尺パターを使用し2勝。82年にはマスターズで15位にもなった日本を代表するレフティ。

「僕のエースは『エルファ』というパター。グリップを持たなくても自立するパターが元なんです。打感がいいのと、オフセットのないセンターシャフトで構えやすい。何より手になじんでいて信頼できる1本です」

このほかにも3本の長尺パターを見せてくれたが、それぞれ個性があり、エースパターにこだわらずいろいろと使い分けているという。

「全体の重さと、シャフトの硬さは重要なポイント。これだけ長いとスチールシャフトでもしなりをかなり感じられます。シャフトの硬さや総重量が変わるとボールの転がりが劇的に変わるし、長さによって軌道が変わったり、ネック形状によってボール位置やインパクトポイントも変わるので、自分の気に入ったものを見つけることが大事です」

なお、一般的に長尺には長尺専用のヘッドを使うが、通常のヘッドを重くして使うことも可能だという。

画像: 羽川のエースパター「エルファ」。大きな半円形のヘッドで矢印形のサイトラインが特徴。打感がいいのが気に入っているという。

羽川のエースパター「エルファ」。大きな半円形のヘッドで矢印形のサイトラインが特徴。打感がいいのが気に入っているという。

道具選びのポイント

ポイント① 長さが違うと軌道が変わる
長いパターのほうがフラットで曲線的な軌道になりやすく、短いほうがアップライトで直線的になりやすい。ただしグリップエンドと胸の距離や前傾の仕方によっても変わる。

画像: グリップエンドと胸の距離や前景の角度も軌道に影響する。

グリップエンドと胸の距離や前景の角度も軌道に影響する。

ポイント② 重さが違うと転がりが変わる
ヘッド重量、総重量はボールの転がりに大きな影響を与える。写真はいずれも「アールゴルフ」のヘッドだが、右は軽くて転がりが伸び、左は重くて転がりがスムーズだという。

画像: (左)アールゴルフ「ペンドラゴン」シリーズ(右)アールゴルフ「モルドレッド」シリーズ。「モルドレッド」は軽いので鉛を多めに貼っている。

(左)アールゴルフ「ペンドラゴン」シリーズ(右)アールゴルフ「モルドレッド」シリーズ。「モルドレッド」は軽いので鉛を多めに貼っている。

ポイント③ シャフトが違うと振り心地が変わる
長尺パターはシャフトが長いため、しなりを感じやすい。シャフトの硬さは振り心地を大きく左右しボールの転がりにも影響するので、クラブ選びの際はよくチェックしよう。

画像: 長さがある分、シャフト選びは慎重に。

長さがある分、シャフト選びは慎重に。

ポイント④ ネックが違うとンパクトが変わる
(右打ちの場合)センターシャフトなどオフセットのないものは、ボール位置が左寄りでインパクトポイントも左。オフセットのあるものは、ボール位置は右寄りでレイトヒットする感覚が出やすい。(羽川プロはレフティなので写真は説明と逆になっています)

画像: オフセットの有無によって、インパクトの感覚も変わってくる。

オフセットの有無によって、インパクトの感覚も変わってくる。

カスタムオーダーがおすすめ

長尺パターのメリットや使い方はわかっても、気になるのは入手法。実際に興味を持っても、どこで買えばいいかわからない人は少なくないはずだ。

以前はピンやオデッセイなど大手メーカーが多少なりともリリースしていたが、現在は激減し、ほぼカタログ落ちしている。これら廃番モデルの店頭在庫や中古品を探す方法もあるが、長尺対応のパターをカスタムオーダーするほうが確実性は高い。

画像: ラブ・ゴルフ「メッツ・1」。アルミ&ステンレスのボディに、ウェイトビスが多数配さ れる。アダム・スコット仕様の同モデルはシャフト長45インチ、価格14万3000円。

ラブ・ゴルフ「メッツ・1」。アルミ&ステンレスのボディに、ウェイトビスが多数配さ れる。アダム・スコット仕様の同モデルはシャフト長45インチ、価格14万3000円。

写真は昨年、ルーカス・グローバーの2週連続優勝に貢献したラブ・ゴルフの「メッツ・1」。このシリーズはアダム・スコットやウィル・ザラトリスが使用しているが、オンライン上でカスタムオーダーもできる。ちょっと高額だが何本もパターを替えてきた人にとっては、もしかすると救世主的存在になるかもしれない。

「メッツ・1」は、小社「ゴルフポケット」でも購入可能!
<アダム・スコット使用モデル! 「メッツ・1」の購入はこちらから>

Question:自分のパターを長尺化していいの?

レッスンの傍ら、クラブフィッターとして50本以上の長尺パターを作ってきた関浩太郎プロに「いま使用中のパターヘッドを長尺にしてもいいのか」と質問した。

画像: セキゴルフクラブ目黒主宰、関浩太郎氏。

セキゴルフクラブ目黒主宰、関浩太郎氏。

Answer

通常のパターと比べライ角がアップライトであることや重量バランスを考えると、パターの長尺化は経験豊富なお店に頼みたい。通常モデルのヘッドでも作れるとのことなので、工房で長尺化を試すのも良いかもしれない。

長尺パターを使うメリットや打ち方のコツは、2024年3月12日号の「週刊ゴルフダイジェスト」とMYゴルフダイジェストにて掲載中!
<【後編】人気再燃の長尺パター。そのメリットとコツは? >

TEXT/Kousuke Suzuki
PHOTO/Hiroaki Arihara
THANKS/CPGカントリークラブ

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