小祝さくらは、プロ入り7年目、今年も新しいシーズンを迎えた。昨年を振り返り、「(日本)女子プロ選手権など、メジャーでもあと一歩のところで優勝できなかったことは少し悔しかったですけど、トータルしたらすごく充実していました」と語っていたさくら。
5シーズン連続賞金ランク8位以内という成績以外にも、昨シーズンは、3週連続で1打差2位という記録も生まれた。「1つくらいハマればなぁとも思いますけど、逆にこの結果はすごいことだし、もう一度同じ結果にはできないと思います。昨年、トータルすればゴルフが安定していた証拠かな。でも、優勝した試合もそんなに調子がいいわけではなかったんです」
「でも、ゴルフって本当によくわからないもので、調子がいいから勝てるわけでもないし、何かが上手くかみ合ったり、流れが自分に向いてくれたり、それで勝てるときもあるんですよね」。いろいろなパターンの優勝を重ねることで、流れを自分に向けられるようになったことも、小祝さくらの成長なのだろう。
キャディの小畑貴宏氏が、改めて、小祝に特に感じたのは、「窮地に強い。絶体絶命のときにパットが入る」こと。
「確かに。私、気持ちで自分を変えられるというか、自分を追い込まないとダメというか……本当に後がない状況にならないとそれは出ないんですけど……あ、しゃっくりもそうです。私、しゃっくりも気合いで止められるんです」と、謎のたとえ話を始めるさくら。
「しゃっくりも『もう一度しゃっくりしたら死んでしまう』という気持ちで気合いを入れると、本当に止まるんですよ。ふふふふ」
ちなみに昨シーズンの一番印象的な試合を聞くと、〝相棒〟小畑氏はワールドレディスサロンパスカップを挙げた。「調子が悪い状態で試合に臨み、初日は4オーバー。2日目はものすごい強風で厳しいかなと思ったら、3人しかいないアンダーパー、4アンダーを出してしっかり予選を通過。こういうしぶとさも身に付けたと思います」(小畑)。この試合は3位タイだったが、この後上り調子になったという。
これを聞くと、小祝は少し照れて、「そうですかぁ……確かにあのとき、15メートルくらい風が吹いていましたね。でも私が挙げる試合は、日本女子プロ選手権(コニカミノルタ杯)最終日16番・パー4と17番・パー3」
「3打差で負けていて残り3ホールは難しいホールしかなくて。16番もボギーかと思いきやすごいロングパットが入ったり、17番も絶対バーディを取らないといけないところでバーディが取れたり。もう結果はどうでもしょうがない、思い切っていこうという感じでプレーできたんだと思います」。粘り強さは成長の証し。小祝さくら、今シーズンもマイペースに挑んでいく。
※週刊ゴルフダイジェスト2024年3月19日号より(PHOTO/Hiroyuki Okazawa)