地域に根ざした大衆的な中華料理店「町中華」にスポットが当たって久しいが、同じように地域に根ざしたゴルフショップといえば「ゴルフ工房」がある。経験豊かなクラフトマンが使い手の要望に合わせ、ヘッドとシャフトを組む「カスタムクラブ(地クラブ)」が人気だ。そこで、人気工房の「飛ぶスペック」を週イチで紹介! 試打者はゴルフダイジェストで四半世紀にわたり世に出たほぼすべてのクラブを打ってきた堀越良和プロだ。

左に行きづらいヘッド×シャフトの組み合わせ

連載第5回目は、ゴルフどころ茨城の東端・神栖市にあるゴルフワンハンドレッド本店の加瀬康晴さんがオススメする1本を紹介。加瀬さんは自衛官を退官後、遠戚にプロゴルファーがいたことからゴルフを始め、好きが高じてクラフトマンの道へ。
「約四半世紀ほど前になりますが、知り合いのツアープロに支給モデルを譲り受け、すべてバラシて計測し、再度組み上げるということを数えきれないほど実施し、プロ支給品のクラブ構造を学びました。実際、いまでも量販店やネットで購入した市販品は大手メーカーでも個体差が多い。私たちで販売するものは一回バラシて、その人に合うように組み上げています。組み上げるときは計測器も使用しますが、球筋や打ち方を見て、そしてその人が得意とするクラブ、苦手とするクラブを触らせてもらい、クセを把握することで合うクラブを提案させてもらっています。ゴルフ処でもあるので、お客さんには上級者が多いです」と加瀬さん。

「弊社でオススメしているのは、バルドの『TT ドライバー GT2』ヘッドにデザインチューニングの『ベクター』。今回、試打してもらったシャフトは『ベクター リミテッド』ですが、よりしっかり感があるくらいで、基本性能はそれほど変わりません。『TT ドライバー GT2』はディープフェースなので、低スピンの強弾道が打てるモデル。打感が良くて左にいきにくいヘッドです。『ベクター』はしっかり感がありながらもはしるイメージのあるシャフトなのですが、その割に左にいかない。この組み合わせなら適度なつかまりで、左を嫌がる上級者でもしっかり振り切れます」(加瀬さん)

●ヘッド/エヴァンジェリストジャパン バルド TT ドライバー GT2 ディープフェースモデル(10度)

ヘッド体積は460cc。ディープフェースなので、シリーズで一番有効打点距離が長く、低スピンが打ちやすいヘッド。ソールのフェース寄りに設けた“ブースターグルーヴ(溝)”がたわみとたわみ戻りを増幅し、反発力がアップ。また、ミスヒットへの寛容性が向上し、重心より下でミスヒットした時の無駄なスピン量を抑えて飛距離のロスを防いでくれます。さらに、スリーブモデルの弱点であった、インパクトサウンドの改善。形状、内部構造を組み合わせ、前作よりもさらに締まった心地よい打球音を奏でるヘッドに。フェースには反発力に優れたβチタンのDAT55G素材を採用している。価格(税込)/8万8000円

画像: エヴァンジェリストジャパン『バルド TT ドライバー GT2 ディープフェースモデル』

エヴァンジェリストジャパン『バルド TT ドライバー GT2 ディープフェースモデル』

●シャフト/デザインチューニング ベクター(5X)

高剛性素材の最適化配置設計により、切り返しからの復元力を最大限に増幅。先端挙動の適正化によるインパクト時の最適なアタックアングルとプッシュアウト方向の抑制が可能になった。ダウンスウィングからインパクトの先までシャフトが走り抜ける挙動を実現。先が動くのにコントロールしやすく、ミート率が安定するという新感覚のシャフト。価格(税込)/6万6000円

画像: デザインチューニング『ベクター(5X)』

デザインチューニング『ベクター(5X)』

ボール初速が速く、中弾道でキャリーもランも出る

ここからは堀越プロの試打結果とインプレッションをお届けしよう。

「気持ちアップライトめなので、ほんの少しフックフェースに見えます。つかまり顔というわけではないですが、つかまってくれそうなイメージはあります。ディープフェースなので、最近大手メーカーで流行りの“慣性モーメント”はそれほど高くない。とはいえ、このモデルであれば、アベレージゴルファーというよりも中上級者がターゲットになると思うので、“慣性モーメント”が大きくないからこそ、操作性が高く、使いやすくて、やさしいと思うのではないでしょうか。シャフトは試打としては久しぶりにフレックスXのモデル。ワッグルするとやはり硬さを感じます。試打前の印象では、この組み合わせならHS45m/sくらいはあってほしい」としっかり振らないといけないかなと、入念にストレッチをする堀越プロ。「とはいえ、まずはHS42m/sくらいで振っていきましょう」と試打。

弾道計測器(ラプソードMLM2PRO)では、1球目からボール初速が速く、ミート率は1.45を記録。堀越プロが「つかまり過ぎたかも?」との言葉が出るも、それほど左にいっている様子はない。「まずはイメージどおりの強弾道ですね。やはりディープフェースで重心がそれほど深くないので、低スピンで飛んでくれます。打ち出しが14度ちょっととロフト角が10.0度のモデルとしては標準的で、スピン量は2200~2400rpmと適正からやや低スピンといったところなので、中弾道で勢いよく飛ぶイメージです。自然に振ってややドロー、このシャフトなら打ち分けもできそうです」と堀越プロ。

画像: 弾道計測器には「ラプソード MLM2 PRO」を使用

弾道計測器には「ラプソード MLM2 PRO」を使用

画像: 「バルジがしっかりあるので、戻ってきてくれる」(堀越プロ)

「バルジがしっかりあるので、戻ってきてくれる」(堀越プロ)

意識的にオフセンター(トウ寄りやヒール寄り)で打つと、「バルジ(トウ-ヒール方向の湾曲)がしっかりあるので、ギア効果でしっかり戻ってきてくれる。またそれ以上にヒール寄りのあたりに強いですね。ミート率が1.44と思った以上にミスヒットに強い印象です。とはいえ、この組み合わせでHS40~42m/sくらいのゴルファーが打つとドロップする可能性があるので、そのくらいのヘッドスピードならフレックスを5Sか4Xを試すのがいいでしょう」とのこと。

ヘッドスピード42m/s前後で5球を打っての平均は下記のとおり。

ボール初速●61.6m/s
打ち出し角●15.3度
スピン量●2329rpm
キャリー●229.2Y
総飛距離●250.6Y

総括

「見た目どおりの弾道が打てて、逆球が出にくいので、上級者に好まれやすい組み合わせだと思います。トルクがしっかりあって、操作できる振り心地はかなりいいです。いい意味でシャフトが何もせず、綺麗なしなりとしなり戻りでインパクトを迎えます。打ち出し角がやや高いのはシャフトのおかげかもしれません。他のシャフトに比べ、バット(グリップエンド)が太く、チップ(先端)が細い印象を受けるので、カウンターバランスっぽいシャフトでもあります。思ったよりもつかまりは良いですが、とはいえ、つかまり過ぎないので叩いていける。はっきりその人の実力が出る組み合わせなので、『いろいろな人と被るから大手メーカーはちょっと……』というような上級者が奇をてらわず、オーソドックスな1本を求める際のファーストチョイスとなりそうです」(堀越)

画像: 右「久しぶりにここまでのディープフェースを見ました」、左「バットが太いけど剛性が強すぎるということはない。重量配分のためでしょうか」(ともに堀越プロ)

右「久しぶりにここまでのディープフェースを見ました」、左「バットが太いけど剛性が強すぎるということはない。重量配分のためでしょうか」(ともに堀越プロ)

ゴルフワンハンドレッド本店

画像: 神栖市に店を構えてから23年。トップアマやツアープロ御用達のお店

神栖市に店を構えてから23年。トップアマやツアープロ御用達のお店

細やかなフィッティングで厳選クラブを丁寧に仕上げる。店名は「100」を切るためのアドバイスやクラブサポートをしていきたいという加瀬さんの思いから。
住所/茨城県神栖市深芝南1-15-11
営業時間/10時半~19時半(土日祝は19時、定休日/火曜・第三日曜)
☎0299-94-7270

THANKS/クレアゴルフフィールド

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