PGAツアーでは「プロV1」と「プロV1x」の使用比率はほぼ同じということですが、国内女子ツアー第3戦「Vポイント×ENEOSトーナメント」の会場でタイトリストのツアーボール「プロV1」と「プロV1x」、国内で今年発表された「プロV1x レフトダッシュ」の使用比率を調査してみました。
今週出場する主な使用選手は22名。その比率を見てみましょう。
「プロV1」は申ジエ、野沢真央、イ・ミニョン、天本ハルカ、宮澤美咲、小林夢果、仲宗根澄香、藤田かれんなどの9名。対して「プロV1x」は鈴木愛、穴井詩、菊地絵理香、蛭田みな美、佐久間朱莉、工藤遥加、宮田成華などの13名。つまり約41対59という比率になりました。ちなみに、「プロV1x レフトダッシュ」の使用者はいませんでした。
それぞれのメンバーを見て飛ばし屋が「プロV1x」を選んでいるかというと、そうとも言い切れません。ボールの特徴をおさらいしておくと「プロV1」に対して「プロV1x」は弾道が高く、スピン量は多め、打感はやや硬めとなっていますので、ヘッドスピードだけでなく使用するドライバーやアイアンの種類、入射角やドロー、フェードといった持ち球によるスピン量の違い、アプローチやパターのフィーリングで選別しているとうことになっているようです。
「プロV1x」を長く愛用する宮田成華選手に話しを聞くと「モデルチェンジしてもずっと『プロV1x』を使って来ているので特にボールを変えるということはありませんでした。元々高い球が好きですし、イメージがしやすいのもあります」と「プロV1x」の弾道の高さを選んだ理由に挙げます。
ただ「プロV1」の特徴である、ややスピン量の少ない風に強い中弾道や軟らかい打感について聞くと「タイミングを見てテストしてみたい」とも話してくれました。
一方で「プロV1」を使用する天本ハルカ選手は「フェースに長くくっついて欲しいので、そこを重視しています。そのほうがコントロールできるし、自分のスウィングもインパクトで押し込んでいく感覚なのでマッチしていると思います」とのこと。
また、「プロV1」のほうが弾道の高さをコントロールしやすいと感じているとも。「プロV1x」に比べて軟らかい打感がコントロール性につながるという天本選手が「プロV1」を選んだ理由が見えてきます。
そして今季からもう一つ加わったのが「プロV1x レフトダッシュ」です。幡地隆寛選手がアジアンツアーと豪州ツアーの共催大会である「ニュージーランドオープン」で日本人初優勝を飾った使用ボールでもあります。「プロV1x」よりも打感はしっかり目、特にロングゲームでのスピン量は「プロV1」よりも少なめで弾道の高さは2つのボールの真ん中という特徴を持っています。
メーカーにも確認しましたが、まだ女子ツアーでの使用選手はいないとのこと。ヘッドスピードが速くスピン量の多いプレーヤー向きとなりそうですが、ドライバーでスライスの傾向が強く、しっかりとした打感が好みのプレーヤーにはマッチするかもしれません。
「プロV1」の使用率が高くなっているのはボール初速が速くなり、飛距離でも「プロV1x」に引けを取らない性能になってきたことが大きな理由でしょう。軟らかい打感に適度なスピン量で風にも強いという性能は「プロV1x」を使い続けてきた藤田寛之選手が「プロV1」にスイッチしていることからもくみ取れます。
今季からモデルチェンジしたキャロウェイの「クロムツアー」、「クロムツアーX」は使用選手のすべてがスイッチしたといいますからその出来栄えも気になるところ。ブリヂストンの「ツアーB XS」、「ツアーB X」もモデルチェンジを果たし、「ジェネシス招待」ではタイガー・ウッズが「ツアーB X」を使用するなど、こちらも進化を遂げているようです。次回は他メーカーの使用比率を調査してみます。みんなのゴルフダイジェスト特派記者でプロゴルファーの中村修が現地からレポートをお届けしました。