「MT-28」「MTIウェッジ」など数々の名器を世に送り出し、日米両ツアーで多くのプロ支給品を手がけてきたクラブ設計家、宮城裕治氏が流行に惑わされないクラブ選びとクラブ設計の真実をクールに解説。今回はドライバーのロフト選びについて教えてもらった。
画像: 見栄を張って、9.5度などのロフトを選んでいない?(写真はイメージ)

見栄を張って、9.5度などのロフトを選んでいない?(写真はイメージ)

ロフト12度はいいことづくめ!

みんゴル取材班(以下、み):「G430MAX」は普通にロフト12度をラインナップしていますし、「パラダイムAiスモーク MAX」や「Qi10MAX」も特注で12度を選べます。最近のドライバーにはなぜロフトの大きなヘッドが用意されているのでしょうか?

宮城:アマチュアは12度くらいが一番飛ぶからです。昔から。

み:昔からですか?

宮城:グレートビッグバーサが爆発的に売れたのも表示が10.5度なのにリアルロフトが12度くらいあってすごく飛んだからです。もちろん他のメーカーも昔は1度くらい大きく作っていました。開発者はアマチュアがリアルの9度や10度を打てないのを分かっているからです。

み:最初から11度や12度と表記すると売れないからですか。買う側の気持ちはよくわかります。

宮城:ところが最近のドライバー、とくに外ブラは表記と実測値の誤差がほとんどなくなったので、12度が必要になったのでしょう。

み:それにしても12度は球が高すぎて、前に飛ばなさそうです。スピンも増えすぎるのでは。

宮城:高すぎるといいますが、そう思うのは12度の高さを経験していないからです。飛距離は初速、打ち出し角、スピンのバランスで決まりますが、ヘッドスピード40m/sならある程度の打ち出しの高さが必要で、ロフト角より5、6度くらい上がらないと飛びません。バックスピンも悪者のようにいわれていますが、浮力を生み出すために必要です。

み:アマチュアはどうしても見栄を張って9.5度とか選んでしまいます。

宮城:それで失敗している人は多いですね。ヘッドスピード40m/sちょっとで平均250ヤードくらい飛びますって自己申告をする人はけっこういます。それでキャリーはどれくらいかと尋ねると200ヤードくらいしか飛んでいなくて50ヤードも転がっている。雨だったら200ヤードしか飛ばないし、入り口が200ヤードのバンカーは絶対に越えません。ちなみに全盛期の石川遼選手は10度を使っていました。9.5度だととたんに打てなくなる。キャリーで290から300ヤード近く打っていた彼が10度なら、ぼくたちはどう考えたって12度でしょう。ぼくは11.8度のヘッドを使ってますが球がつかまるからミスが減ります。12度はいいことづくめです。

み:うっかり9度や10度を買ってしまった人がカチャカチャを使ってロフトアップするのはどうでしょう?

宮城:たとえば「Qi10 MAX」でロフトを2度大きくするとフェースは4度クローズになるので、めちゃくちゃなフックフェースになってしまいます。ライ角もアップライトになるので球は上がるけれど左のミスが多くなります。他社のモデルでもロフトアップすればフックフェースになり、ライ角はアップライトになったりフラットになったりします。調整用のリングが2つついているキャロウェイとタイトリスト以外は、12度があれば最初からそれを選ぶべきです。

み:自分の適正ロフトを見定めるときの注意点を教えてください。

宮城:試打室でいい球が打てても、クラブよりボールの影響が大きい可能性があります。練習場で試すときも使い古しのボールはつかまらない、上がらない、スピンが入らないの「3ナイ」ですから一喜一憂してはいけません。メーカーでレンタルしたり、中古を買ったりして、ふだん使っているボールをコースで打って試すべきです。そのときには12度も借りて一度体験してほしいと思います。

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