重心距離が短ければ、絶対的に振りやすい
みんゴル取材班(以下、み):小ぶりヘッドのアイアンに替えてから、ドライバーも小さいヘッドのほうが振り抜きやすいのではと考えるようになりました。それで、バーナーミニドライバーの中古を探しているのですが、中古でも5万円以上するものが多い。それより古い300ミニドライバーですら、結構な値段をします。
宮城:それだけ需要があるということでしょう。
み:テーラーメイドからは300ccくらいのミニドライバーが定期的に出てきますし、他社も420ccとか430ccのモデルを出しています。小型ヘッドにはどんなメリットがありますか。
宮城:重心距離が短くなるので絶対的に振りやすくなります。極論をいえば一番振りやすいのは重心距離ゼロミリです。
み:それなのに昨今のドライバーは重心距離が長くなっていますよね。振りやすさを犠牲にするだけのメリットがあるということでしょうか。
宮城:みんな長くしたがりますね。昔、重心距離は長いほうがクラブスピードが上がって飛ぶといわれたこともありましたが、結局そうではありませんでした。重心距離の長いヘッドでアームローテーションを使って開いて閉じるだけのパワーがあれば飛ぶでしょう。でもほとんどの人はできません。いまは慣性モーメントを大きくするために重心距離が長くなっています。その結果、ミスヒットにはやさしいけれど振りづらいクラブが増えています。クラブ開発の人たちは自分でそのクラブを振らないから気がつかないんでしょう(笑)。
み:他の番手とのマッチングも気になります。ドライバーだけ重心距離が長くなっているような気がして。
宮城:FWやUTの重心距離は平均で33〜35ミリ、アイアンは37〜38ミリくらい。ドライバーの平均は40ミリ前後だと思いますが、それより長いものもたくさんあります。同じスウィングテンポで振りたければ、揃えたほうがいいのは確かです。
み:重心距離が短めドライバーのお勧めモデルを教えてください。
宮城:ミニドライバーは試す価値があります。とくにトップで開いたフェースを閉じていく人なんかはボールをつかまえやすくなります。パラダイムのトリプルダイヤモンドやトリプルダイヤモンドSの評価が高いのも同じ理由です。あとはつかまえやすいドライバーの王道といえばブリヂストンでしょう。ブリヂストンのドライバーの重心距離は伝統的に35〜36ミリくらいのものが多い。中古でも探しやすいと思います。
み:ブリヂストンは重心距離を長くするデメリットに気がついていたのでしょうか。
宮城:というよりも契約プロとの関係性でしょう。ジャンボ軍団や丸山茂樹さん、伊澤利光さん、あれだけシャープに振ると重心距離が長ければ振り遅れてしまいます。彼らの意見を採り入れた結果、34〜36ミリくらいの重心距離になっていったのでは、と思います。