本格的メジャーシーズンを迎えたPGAツアーではスコッティ・シェフラーの勢いが止まらず開幕から3カ月で賞金およそ16億5千万円を稼いでいる。優勝した場合賞金の10パーセントが相場といわれるキャディの報酬はこの2試合で推定1億2千万円強。それ以外にトップ10が4回あるので2億円近くをキャディが受け取っていることになる。この金額、実は今季PGAツアーにおけるローリー・マキロイの獲得賞金(約1億2千万円)を上回るのだ。もちろん現時点での話だが超一流プロより稼ぐキャディって?

シェフラーのキャディ、テッド・スコットは古くはポール・エージンガーのバッグを担ぎ直近ではバッバ・ワトソンのキャディとして12年と14年のマスターズ制覇に貢献した人物。

21年の秋にワトソンと袂を分かったときミニツアーでプレーした経験もあるスコットはツアーキャディから足を洗い故郷でアマチュアを指導するレッスンの道に進むつもりだった。

画像: シェフラー(右)のキャディを務めるテッド・スコット(左)(写真は2024年のザ・セントリー 撮影/Blue Sky Photos)

シェフラー(右)のキャディを務めるテッド・スコット(左)(写真は2024年のザ・セントリー 撮影/Blue Sky Photos)

しかしシェフラーから電話でキャディをして欲しいと依頼され路線変更。将来有望な選手からのオファーではあったがスコットが二つ返事で引き受けたわけではない。

当時のシェフラーは怒りっぽくコースで怒りを爆発させることもあった。「もちろん君のために働きたいが、怒りを抑える努力をすると約束しなければ働けない」とスコットははっきりと釘を刺したのだとか。

約束を守ったシェフラーはスコットとのコンビで22年に大ブレイク。それまで勝てなかったのが嘘のようにその年マスターズの優勝を含む4勝を挙げ、今年はアーノルド・パーマー招待、プレーヤーズ選手権(連覇&2週連続優勝)に勝って通算8勝目を挙げた。目下押しも押されぬ不動の世界ナンバー1だ。

かつての相棒だったスコットをテレビ解説でお馴染みのエージンガーは「彼は素晴らしいコミュニケーション能力を持っている」という。

キャディ仲間のポール・テソリ(現ウェブ・シンプソンのキャディ)は「スコットはジョークの天才。ラウンド中その瞬間を完璧にする驚くべき才能があり、選手が緊張していると咄嗟に何か気の利いた発言や行動で雰囲気を変えることができるんです」。

レッスンの腕前も折り紙つき。直接シャフラーを指導するわけではないが間近でプレーヤーを見ている彼がコーチとの有能な橋渡し役を担っている。

マキロイは23年フォーブスによる世界でもっとも稼ぐアスリート15位にランクインしている。シーズンが終わるころにはキャディの稼ぎと比較されたことをジョークのネタにするかもしれない。

ちなみに50代後半のスコットがシェフラーと組んでから稼いだ額は推定4,669,281ドル、つまり7億円以上である。レッスンの道に進むのを早まらなくて良かった!?

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