ツアー解説でおなじみの佐藤信人プロ。日本人の両親の間に生まれ(ニュージーランド国籍)、プロデビューから9戦3勝のカズマ・コボリについて語ってもらった。
画像: 日本人の両親の間に生まれ(ニュージーランド国籍)、プロデビューから9戦3勝のカズマ・コボリ(PHOTO/Getty Images)

日本人の両親の間に生まれ(ニュージーランド国籍)、プロデビューから9戦3勝のカズマ・コボリ(PHOTO/Getty Images)

豪州ツアーランク1位で全英オープン&欧州ツアー出場権獲得

今回は、日本ではあまり知られていませんが、欧米でひそかに注目を集めている選手を紹介します。カズマ・コボリがその人で、昨年11月にプロ転向した22歳。名前からもわかるように日本人の両親の間に生まれ、5歳のときにニュージーランドへ移住。本人は育ったニュージーランド国籍を選びました。

今は豪州ツアー(PGAツアー・オブ・オーストレイジア)で戦っています。プロデビューしてから9戦で実に3勝をマーク。

ちなみにタイガー・ウッズの3勝目は、デビューから10試合目。PGAツアーと豪州ツアーの違いはあるといえ、1勝するのも難しいプロの世界で、立て続けに3勝を挙げるのは並大抵なことではありません。

19年と22年のダイヤモンドカップに参戦。22年の大洗GCでは初日、トップと2打差の6位発進。同じスコアには1歳上で当時アマチュアランク1位の中島啓太がいました。

昨年1月、オーストラリアアマで優勝。18年に中島啓太も勝っているこの大会は、1894年から100年以上続く伝統ある大会です。その後、4月に豪州ツアーのQTをトップで通過。しかし、すぐにプロ転向はしません。

8月にアメリカの大きな大会であるウエスタンアマで優勝。これでアメリカのゴルフ通が注目するはずです。この大会も1899年から始まった大会で、過去の優勝者にはジャック・ニクラス、ベン・クレンショー、フィル・ミケルソン、タイガー・ウッズと錚そうそう々たる顔ぶれが並んでいます。

そして10月のアイゼンハワートロフィ(世界アマ)で、チームはアメリカが圧勝しましたが、個人戦ではニック・ダンラップを1打差で抑え、見事優勝したのがコボリでした。

アマチュアでの最終戦はオーストラリアのロイヤルメルボルンGCで開催されたアジアパシフィックアマ。結果は6位で、松山英樹、中島啓太のルートでのマスターズ出場は逃しましたが、なかなかの結果であることは間違いありません。

しかし、世界アマチュアランクは最高で23位。戦歴を見ても昨年1年で大きく飛躍した選手といっていいでしょう。

普段あまり注目されない豪州ツアーですが、この注目の若手が24年に入って優勝、優勝、10位、優勝と、わずか4週間で3勝をマーク。

欧米のメディアは、立て続けに勝ちまくっているすごい若手選手が出てきたことを報じています。

豪州ツアー今シーズン残り1試合を前に、カズマ・コボリはランク1位を確定させ、今年の全英オープンと、24-25シーズンの欧州ツアーの出場権を獲得しました。今年から世界ランキングのシステムが変わり、1年(52試合)以内に2勝すると60%、3勝以上だと70%のボーナスポイントが加算されることになりました。その70%のボーナスポイントを、世界で初めて獲得した選手にもなりました。

現時点は世界ランクは400位台、ニュージーランドでは4番手ですが、勢いと伝統ある大きな大会に強さを発揮するだけに、オリンピック候補にも名乗りを上げてきそうです。

※週刊ゴルフダイジェスト2024年4月2日号「さとうの目」より

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