「MT-28」「MTIウェッジ」など数々の名器を世に送り出し、日米両ツアーで多くのプロ支給品を手がけてきたクラブ設計家、宮城裕治氏が流行に惑わされないクラブ選びとクラブ設計の真実をクールに解説。今回はアマチュアが試打をする際の弾道計測データの見方を解説してもらった。
画像: フィッティングでの「弾道計測データ」、何を重視するべき?(写真はイメージ)

フィッティングでの「弾道計測データ」、何を重視するべき?(写真はイメージ)

「飛距離」よりも「ミート率」と「打ち出し角」をまずチェック

みんゴル取材班(以下、み):クラブの試打やフィッティングで使う弾道計測機について教えてください。いまの計測機は「スピン量」「初速」「打ち出し角」「キャリー」「トータル飛距離」など基礎的なデータ以外に、軌道や入射角などヘッドの動きまで詳細に測れるものもあります。全部チェックしていたらボールを打つ時間がなくなってしまうし、そもそもデータの意味がよく理解できません。これだけチェックしておけばいいというポイントがあれば教えてください。

宮城:ぼくが必ず見るのはミート率です。クラブ開発でヒューマンテストをするときも他のスタッフはいろいろなデータをメモしていますが、ぼくはミート率しか見ていません。ヘッドの性能が深度とアングルでだいたい把握できるのと一緒で、ショットの良し悪しはミート率でほぼわかります。ミート率が高いクラブは、ヘッドスピードが効率よくボール初速に変換できているので、その人に合っているといえます。

み:ミート率の数値はどれくらいあればいいですか。プロは1.5近い数字を出しますが、自分の場合は1.4もめったに出ません。

宮城:ミート率の最高値は1.52といわれていますが、アマチュアで1.50なら最高のデータです。どれを打っても出ないという人は別として、1.4以上出なければ使うべきクラブではありません。ちなみに石川遼は1.54を連発していました。

み:1.51は見たことがありますが、そんな数字が出るんですね。やっぱり石川選手はすごい。ところで、ミート率だけなら昔からある簡易計測器で十分ということになってしまいます。ほかにチェックするべき項目はありませんか。

宮城:打ち出し角です。ふつうのアマチュアの適正な打ち出し角はクラブのロフト角プラス5、6度。ロフト10度なら15度か16度くらい必要です。そして最後にスピン量をちらっと見ます。

み:ちらっとですか。

宮城:ちらっとでかまいません。スピン量が2200から2800回転くらいなら飛ばないクラブではありません。2000回転を切ったら要注意です。スピンが少なすぎるとアマチュアのヘッドスピードでは球がドロップして飛ばないし、大きく曲がる可能性があります。

み:逆に3000回転を超えてしまう場合はどうですか? いま使っているG430MAXがそうなんですが。

宮城:スピンが多すぎるのはダイナミックロフトとアタックアングルの問題なので、何を打っても超えるでしょう。それはスウィングで直すしかありません。

み:そうですか。いままでは1ヤードでも飛ばしたかったのでトータルの飛距離ばかり見ていましたが、これからは練習もしつつ、ミート率、打ち出し角、スピン量をチェックするようにします。

宮城:飛距離はあくまでも計算値なので当てにしないほうがいいです。レーダーでボールを追尾する方式のトラックマンやフライトスコープならキャリーは正確に測れますが、試打室や打球がネットに当たる練習場だと初期条件しか測れないので結局は計算値になってしまいます。したがって1ヤード、2ヤードを比べても意味がありません。ただキャリーとトータルの比率は気にする必要があります。打ち出しが低くてスピンが少なければランが出るのでトータル飛距離は伸びますが、コースではキャリーが出ないとスコアを作れません。

※2024年3月27日21時22分、一部加筆修正しました。

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