ツアーAD VF
「6X」に合うのはどのヘッド?
「中間から先端の剛性が高く、フェースがかぶって入らない、左へのミスを防いでくれるシャフト」とプロや上級者からの評価が高いグラファイトデザインの最新モデル「ツアーAD VF」。
今回試打する6Xは、シャフト重量が67グラムとほぼ70グラムに近いハードなモデルだ。
ドライバー試打経験の豊富な堀口宜篤氏にツアーAD VFの印象を聞くと、「中元調子で先端がしっかり、いろいろな球種を打ちわけやすいモデルですね。ヘッドにもよりますが、基本つかまりすぎないので、左に行かない安心感があります。でも今回は6Xでしょ。球上がるかなあ」と試打に手ごわさを感じている様子。ちなみに堀口氏の普段のヘッドスピードは47~48m/s。
まずはタイガースペック
テーラーメイド「Qi10 LS」
上下左右の慣性モーメントが1万(10K)を超えるなど、寛容性を大きく増したテーラーメイド「Qi10」シリーズ。※10KはQi10 MAXのみ
ツアーAD VF「6X」とテーラーメイド「Qi10 LS」といえば、2024年2月に開催されたジェネシス招待時のタイガー・ウッズのセッティング、というわけで、まずはタイガーと同じ「VF 6X」と「Qi10 LS(10.5度)」の組み合わせから試打スタート。計測にはGCクワッド、ボールはタイトリストPro V1を使用した。
ちなみにジェネシス招待時、タイガーはロフト10.5度の「Qi10 LS」を9.75度に立てて使用していたが、他のモデルとの比較のために10.5度のスタンダードポジションで試打開始。ソールのウェイトも中央のまま。
さっそく試打を開始するが、低スピンモデル(LS)のヘッドと組み合わせると「やっぱりボールは上がらないね」と低めの中弾道を連発。
試打結果(ベストボール3球の平均値)
キャリー:249ヤード(最長257ヤード)
総距離:276ヤード(最長283ヤード)
スピン量:1904rpm
ボールスピード:66.3m/s
ピーク:22ヤード
「ロフト10.5度でもシャフトとの組み合わせで弾道は低いですね。でも前作のステルス2 PLUSよりヘッド自体のスピンは増えているように感じます。打ち出しは低いですが強い弾道でドロップせずランもしっかり出ています」(堀口氏)
「がんばってつかまえにいって軽いフェードですから、この組み合わせだと左にはまったく行く気がしません。ある程度ヘッドスピードがないと厳しいですが、ヘッドの操作性が高いので左を消しつつタイガーのように弾道の高低やドロー、フェードを打ちわけたい人にはおすすめです」(堀口氏)
この組み合わせは安定感あり
テーラーメイド「Qi10」
つづいてスタンダードモデルの「Qi10(10.5度)」にヘッドをチェンジ。「Qi10 LSよりヘッドが大きく、シャフトが短く感じますね。少しやさしさを感じます」(堀口氏)
試打結果(ベストボール3球の平均値)
キャリー:246.6ヤード(最長255ヤード)
総距離:272ヤード(最長276.7ヤード)
スピン量:2364rpm
ボールスピード:66.9m/s
ピーク:22.3ヤード
飛距離は「Qi10 LS」と大きな差は見られず。スピン量はやや増え、弾道もわずかに高くなった。
「スウィングしても、ヘッドの捻じれをほとんど感じません。ヘッドの直進性が強く、つかまえにいってストレートボール。オートマチックにパワーフェードが打ちやすいセッティングですね。Qi10よりQi10 LSのほうが操作性が高いので、この組み合わせだとLSのほうがつかまえやすいと感じる人がいるかもしれません。構えた時に安心がありつつ左に行かないので、パワーのある人でも思い切って叩きに行けると思います。若い人はこれで飛ばすんでしょうね。」(堀口氏)
LSと同様に低めの中弾道となったが、
「この組み合わせで私のパワーだと、これで十分でしょう。ドライバーが吹き上がってしまうという人にぜひ試してもらいたいですね」(堀口氏)
ハードな6Xが適度にしなる!?
テーラーメイドQi10 MAX
この組み合わせはアリ!
最後に1万を超える慣性モーメントが特長の「Qi10 MAX(10.5度)」を試打。
「ヘッドの丸みと投影面積の大きさのおかげで、シャフトがさらに短く、よりやさしく感じますね。フェースが被っていないので構えやすいですし、スクエアに構えたらそのままドン!ってイメージでしょう」(堀口氏)
試打結果(ベストボール3球の平均値)
キャリー:248.3ヤード(最長250ヤード)
総距離:270.1ヤード(最長272ヤード)
スピン量:2632rpm
ボールスピード:67.2m/s
ピーク:27ヤード
持ち替えて試打するなり、高めの中弾道を連発。
「これまでよりスピンが増えて高さが出てくれました。スタンダードモデルやLSよりQi10 MAXのほうがボールが上がりやすいです。左に行きにくいVFと組み合わせると、左に行かない安心感がありつつ、シャフトに負荷をかけた分だけボールがつかまってくれる感じ。落ち際で少しだけ左に切れるドローボールが出ましたが、この組み合わせだから出るボールでしょうね」(堀口氏)と好印象。
「ヘッド重量がわずかに重いのかな。Qi10 MAXに変えたらシャフトのしなりを感じやすく、タイミングが取りやすくなりました。ハードなシャフトとやさしいヘッド。ボールが上がりすぎず、左も怖くない、思い切り叩きにいけるこの組み合わせはいいですね。大慣性モーメント、食わず嫌いだったかもしれません」(堀口氏)
どのヘッドも飛距離性能は高いので、一番飛ぶ組み合わせを探すというより、好みの弾道や振りにいったときの安心感で選んでもらえればと堀口氏。
ツアーAD VFは40グラム台の4R2からラインアップされている(上は7TXまで)。興味のある方はぜひ一度試打してみてはいかがだろう。