小祝さくらは、スタッツの数字を見ない。「結局スタッツを見ても、わからないんですよね。もちろん順位を見れば、自分は全体のなかで何位だと参考にすることはできますけど、自分のイメージとは全然合っていないこともあるんです。ときどき見るのはいいとも思いますけど、それを基に何かをしたりはしないんです」
たとえばフェアウェイキープ率を考えたとき、元々飛ばない人が、かなり上位にいたり、その順位を上げる意味では有利になったりすることもあるので、あまり参考にしないのだという。
こちらが勝手に、ここ3年、20-21年、22年、23年の小祝のスタッツを調べて、パー5での平均スコアは4位、12位、5位、パー3での平均スコアは29位、21位、24位だと指摘し、パー3はあまり得意ではないのか聞いてみると、「ああ、そうですね……パー3でバーディを取ろうってあんまり思わないです。もちろんホールにはよりますけど、パー3は158ヤードとか190ヤードとか、7番アイアン以降、ユーティリティなどを持つホールが多いので、あまりムリはしない考え方なんです」と冷静に語るさくら。
「トリッキーなホールも多いですし、距離が短いぶん、池がかなり効いていたり、OBがあるホールが多かったり。私は『ここはもうパーでOK!』と思っちゃうタイプです。だから、パー3はムリせず、ですね」。小祝さくらの安定感は、こういうマネジメントから生まれる。
そのほかにも工夫はある。「初日って、まだ自分の成績も相手の成績も何もわからないままスタートしますよね。だから、ガンガン攻めるゴルフはできないと思っていたんです。でも、それがすごく嫌になった時期があって……初日だからといって、逃げのゴルフ、セーフティにいくゴルフは、やめたほうがいいなと思い、攻めのゴルフをするように心掛けてはいます」。
優勝争いのときはどうか。「攻める姿勢に変わりはないんですけど、自分がトップに居ればまた別です。守らないといけないところはしっかり守ってプレーしないといけなかったり、しっかり状況判断することを考えながらプレーしています」。状況判断は小祝がプロになって一番成長したところだという。
「最初の頃、優勝争いをしているときはリーダーボードを見ずにやっていましたけど、今は逆に見ながらプレーしています。ここも私が成長した部分だと思います」
マネジメントをしっかりと考えることで冷静にもなれる。賞金ランキング5年連続8位以内の成績は、小祝さくらの「ゴルフ力」の賜物なのである。
※週刊ゴルフダイジェスト2024年4月16日号より(PHOTO/Hiroyuki Okazawa)