週刊ゴルフダイジェストの人気ゴルフ漫画「オーイ! とんぼ」のテレビアニメが4月6日(土)朝10時にテレビ東京系列でスタートする。放送に先駆け「とんぼ」を愛読し、"とんぼ愛"を語りたい著名人にインタビューを敢行。初回放送まで、毎日7回に分けて紹介していく。6回目はラグビー元日本代表で同誌では連載を持っていた大畑大介さんの後編をお届けする。
画像: 「オーイ! とんぼ」のファンを公言するラグビー界のレジェンド・大畑大介

「オーイ! とんぼ」のファンを公言するラグビー界のレジェンド・大畑大介

GD お父さんがラグビースクールを探してくれて、大畑少年の世界が一気に広がったというお話でしたね。

大畑 そうそう、でも、広がったというよりは居場所が見つかったっていう感じ。「ここだ!」という。とんぼにとってのゴルフが俺にとってのラグビー。

GD 安心できる場所ができたんですね。

大畑 子どもって狭い世界に住んでいるでしょ。学校と家がほとんどですよね。

GD 学校に居場所がないとつらいなあ。

大畑 でも、その子が輝ける場所ってきっとあるんです。だから、小学生向けのスポーツイベントを開くときは、複数の競技にチャレンジできるようにします。ラグビーだけじゃなくて陸上とか、ほかの球技でもいいし何か道具を使う競技とか。その子が輝ける場所を見つけてほしいという願いです。

GD 大畑さんは、現役時代は右ウイング(14番)のポジションのイメージが強いです。いわゆる走り屋……。

大畑 それが違うんですよ。13番(アウトサイドセンター)もやっていて、実は好きなのはそっち。ウイングの時代はとにかく走ることに特化していたんですが、センターをやってみて初めて「おお、こんなラグビーもあるんや」と。いろんなことができるポジションなんです。それこそ3鉄1本でプレーしていたのが、クラブって14本もあるんだって気付いたような……。

GD そこでまた世界が広がるんですよね。

大畑 でも、正直、最初にセンターをやるときは怖かったですよ。センターは“人を生かす”ポジションだから。でも、やってみたらこれが楽しい。センターは生かすポジションなんだけど、自分が生きるポジションでもあるというのも新たな発見で。基本、ウイングは内側からのパスを受けて大外を走り抜けるけど、センターなら外側につなぐだけでなく内から自分で切り込むこともできる。自分に適性があるのはウイングだと思うんですけど、充実感を得られたのはセンターでした。ラグビーにはいろんな特性が生かせるポジションがあるんですよ。「オーイ! とんぼ」も、とんぼの成長物語だけじゃないのがいい。みんなの成長物語でしょ。サブキャラの名シーンも多いよね。

GD 印象に残るものだと?

大畑 (音羽)ひのきの告白シーンかな。

GD 14巻のラストですね。九州女子選手権で、ひのきととんぼのプレーオフに入るかと思いきや、ひのきが前日、自分のボールが動いたのに申告しなかったことを申し出るんですよね。それによって、とんぼの優勝が決まる。

大畑 あれ、勇気のいることよ。

GD 厳しいお父さんに叱られないようゴルフをしてきたひのきですが。

大畑 でも、あの勇気の告白によってひのきはグンと成長するはず。ズルは人には見られていないかもしれないけど、自分はわかっている。それを心にしまったままにするのか、明らかにするのか。ひのきが後者を選んだことで「この子は伸びる」と思った。

GD ラグビーでシンビンってあるじゃないですか。

大畑 イエローカードが出されて10分退場になることね。

GD シンビン自体、シン(sin=罪)ビン(bin=置き場)、つまり“反省部屋”というような意味ですよね。

大畑 そう。シンビンになった選手はセンターラインそばの待機場所で10分、椅子に座って試合を見ないといけない。はっきり言ってめちゃめちゃつらい。自分が抜けて1人少なくなったチームの戦う一部始終を見なければならないから。でも、それによって自分がどれだけチームに迷惑をかけているかわかる。それを反省して改めた選手は強くなるんです。

GD ひのきは勇気を出しましたよね。

大畑 だから、ひのきは、どんどん強くなるよ。過ちを犯して悔い改める……その勇気がある選手は強い。俺は勇気を振り絞ってラグビースクールの門を叩いたけど、学生日本代表に選ばれた後、セブンス(7人制ラグビー)の代表合宿をやると聞きつけてラグビー協会に自分で電話したこともありました。で「学生日本代表の大畑ですけど、合宿に行ってもいいですか?」って言ったんです。呼ばれてもいないのに(笑)。そしたら協会の人も「いいよ」って。学生日本代表という看板があったのもあるけど、もちろん勇気も要りました。大学が関東じゃないから、そもそも見てもらうチャンスが少なくて……だったら自分から行って見てもらおうと。プレーを見てもらって目に留まらなかったらそれまでやと。「俺はこんなに頑張っているのに」とか愚痴を言ってる場合じゃなかったですね。

GD それで、現在の大畑大介があると。最近、ハーフで「38」の自己ベストを出すも、前半は「49」だったという大畑が……。

大畑 今日は、その話はいいの。ラガーマンの集中力はハーフが限界……って話もいいの、しなくて(笑)。でも、ゴルフをしないラガーマンが読んでもハマれるキャラクターがあるのが「とんぼ」の世界。子どもが読んでももちろん面白いし、大人は自分の置かれた状況で見方が違ってくると思う。多彩なサブキャラがうまく合わさってひとつの物語になっていて、「今日もどこかでみんな頑張っているんやろうな」と思う。亘君もね。

GD 先生、亘君のスピンオフ希望の注文入りました(笑)!

※週刊ゴルフダイジェスト2024年4月9日号「私たち”とんぼ推し”です」より

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