バーディが計算できる15番パー5。ビクトール・ホブランは1.5メートルのパーパットを外すと憮然とした表情でタップインしようと構えもせずヘッドでボールを突っついた。すると白球はヘソを曲げたようにカップを嫌いダブルボギー。まるでアマチュアが「お先に」をして3パットするようなシーンに「信じられない」とパトロンからため息が漏れた。
遅い組は1ラウンド6時間を超える耐久レース。平均スコアはザック・ジョンソンが優勝した07年に寒さと強風が選手を苦しめた第2ラウンド以来の「75」超え(75.079)。
「これまで経験したことがないほど難しかった」と11年のマスターズチャンピオンでこの日「80」を叩いたチャール・シュワーツェルがいえば、3度の優勝を誇るフィル・ミケルソンは「必死に戦ってなんとか持ちこたえることができた」と3オーバー「75」のラウンドを振り返った。
ミケルソンと同じ4オーバー35位タイで終えたローリー・マキロイは「最後の4ホールでパーをセーブしてクラブハウスに戻り、明日プレーできることがわかっただけでも満足だった」。
世界ランク6位のホブランが「81」を叩き、20年のマスターズ覇者ダスティン・ジョンソンは2日間を通してバーディはわずか1つ。通算13オーバーでカットラインには遠く及ばず、15年のチャンピオン、ジョーダン・スピースは15番で『9』を叩き予選で姿を消した。
スピースの朋友ジャスティン・トーマスは上がり4ホールをダブルボギー、ダブルボギー、ボギー、ダブルボギーでリーダーボードを急降下。カットラインに1打及ばず涙を飲んだ。
時刻が遅くなるほど風の強さが増し当初2オーバーだったカットラインはどんどんと下がり、史上ワーストタイの6オーバー。
過酷な戦いに耐え滑り込んだのが松山英樹だ。難易度2番目の最終18番でダブルボギーを叩いて万事休すかと思われたがギリギリで予選落ちを逃れ、第3ラウンドは1組目でリッキー・ファウラーとプレーすることが決まった。
タイガー・ウッズにとっては早朝第1ラウンドの残り5ホールを消化し、痛い体を引きずりながら短いインターバルで第2ラウンドをプレーしなければならなかったが、耐えてイーブンパーにまとめ通算1オーバー22位タイで連続予選突破記録を更新(24試合連続)した。
「予選さえ通れば明日次第でまだチャンスはある」とマキロイ。トーナメントリーダーはスコッティ・シェフラー、ブライソン・デシャンボー、マックス・ホーマの3人で通算6アンダーだがマキロイのいう通り最後まで何が起こるかわからない。