そのために預託金は全額返還し、また2019年7月以降に入会・名義変更を行った会員には入会金および名義変更料全額を返却すると。そのうえで来年6月1日より「EAST」「NORTH」の計18ホールを閉鎖し、大幅なコース改造、クラブハウスの大規模修繕に着工するという。
それに先立ち「WEST」の9ホールをクローズし、設計家である佐藤謙太郎氏によって改修工事が行われている。
同GCは1992年に開場。設計したのは、造園会社で修業し独立した服部彰氏。ほかに北六甲CC、ザ・クイーンズヒルGCなど8コースを設計。監修したのは初代JGTO会長も務めた島田幸作。1998年には日本プロ、2010年には日本女子プロなどメジャー競技も開催した。
ウォーターハザードを大胆に取り入れたデザインは景観の美しさと高い戦略性を有し、当時評判を呼んだものだ。ただ、少し遠隔地のためアクセスに難はあろう。同GCはどう生まれ変わろうとしているのだろうか?
周辺を取材するうちに浮かび上がってきたのが、先頃開場した千葉県にある「ザ セイントナイン 東京」というゴルフ場だ。
既設の八幡CCを解散し、27ホールを18ホールに改造。ロッカーは18室の個室というクラブハウスを新設した。コース情報はおろか住所、連絡先、会員募集など全て非公開。
聞こえてきたのは会員同士の縁故で450名限定、第1次募集の会員権1500万円はすでに完売したという話。
その八幡CCを改造したのが、同GCのそれに着手している佐藤氏というわけだ。
ある大阪の会員権業者は「セイントナインと同様の成功を狙っていると思われます。コースとしての素材もいいですからね。ただ解散といっても既存会員たちが素直に受け入れてくれるかどうか……。民事再生で会員たちは我慢していますから。八幡(CC)でも少なからずモメたと聞いています」。
同GCの"転身"をゴルフ場経営コンサルタントの菊地英樹氏は、「ゴルフ場業界は、いまのままでやっていても周辺ゴルフ場との価格競争で"薄利多売"といった状況です。それならば業態を変え、富裕層を狙ったビジネスモデルとしてやっていこうというゴルフ場が出てきたのは、必然かもしれません」。
いずれにしても庶民ゴルファーには関係ない話だが、この解散劇の行方は一体どうなるのだろうか。
※週刊ゴルフダイジェスト2024年4月30日号「バック9」より