
写真A/メジャー5勝の飛ばし屋、ブルックス・ケプカ(左)MLB最強クラスのスラッガー、大谷翔平(右)
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永井延宏
永井 延宏
ながいのぶひろ。1969年生まれ。埼玉県出身。日本大学櫻丘高校でゴルフ部主将を務め日本大学に進学。アメリカ留学して最新のスウィング理論を学び、帰国後、日本でティーチングを広めた先駆者のひとり。2006レッスン・オブ・ザ・イヤー受賞
野球の縦ぶりがゴルフに効く理由
フェースを開閉させずパットのように動かす
大谷翔平のバッティングを見ていてひらめき、早速自分でも取り入れてみたという永井コーチ。確かに大谷は大リーグでも屈指の飛距離を誇るが、なぜ彼がお手本なのか。「注目してほしいのはバットの軌道です。写真Aのように、大谷選手のバットヘッドは地面を向き、垂直に近い縦の軌道で動いていますよね。従来、野球ではバット軌道が地面と平行に動く横振りが主流でしたが、最近では大谷選手をはじめ、縦振りを取り入れる選手が増えているそうです。野球における縦振りの最大のメリットは、向かってくるボールの軌道に対しバットの軌道を合わせやすいことでしょう。手首をこねずに動かすので、バットは返ることなく芯の部分が長くボール方向に向き続けます。さらに芯の部分がアッパー軌道を描くので、打球も上がりやすい。これをゴルフスウィングに置き換えると、『力が伝わりやすい、芯に当たりやすい、そして打ち出しを高くできる』というメリットにつながるのです」(永井・以下同)
野球の縦振りとは?
バットが水平に近い軌道で動く横振りに対し、縦振りはバット軌道が地面に対して垂直に近い動きになる。大リーグでは得点効率の良い長打を打つことが求められた結果、打球を上げやすい縦振りの選手が増加した
手首をこねないという動きが、なぜ効率よく確率の高いインパクトにつながるのだろうか。「手首をこねなければフェース面が開閉しにくく、長いインパクトゾーンを作ることができるからです。そうするとボールを長い時間押せて力をより効率的に伝えることができるし、打ち出し角もフェース面が長く目標方向を向いているので安定します。フェースを開閉してヘッドを走らせる打ち方もありますが、インパクトでタイミングが合わなければ打ち出し方向が左右にずれて安定しません。安定して飛距離を出すにはフェースを開閉せずに長くボールを押すようなインパクトが理想なのです」
縦ぶりは、面が目標を向く時間が長い
「縦振りは、バットのヘッドを下げてボールを押し込むように振るのが特徴。そのためフェース面が長く目標方向を向く。打ち出し角は高くなり、打ち出し方向は目標に向く確率が非常に高い。面のあるクリケットバットで行うと体感しやすい」と永井コーチ。

フェース面を感じやすいクリケットバットを使用して説明(左・写真B、右・写真C)
縦振りはヘッドとボールの“芯”が当たるから飛ぶ!
開閉しなければゾーンで捉えられる(写真B)
縦振りのヘッド軌道では、フェースの開閉が少なくインパクトゾーンが長くなるため、ヘッドとボールの芯が合いやすい。結果、打ち出し方向が左右にずれたり、サイドスピン量が多くなる可能性が低い。
開閉すると“点”でしか捉えられない(写真C)
フェース面を開閉してボールをつかまえるように動かすと、インパクトが1点になりちょうどよいタイミングでないと真っすぐに飛ばすことができない。“一発の飛び“は期待できるがミスの確率が高い。
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永井コーチの考え方がわかっていただけたと思う。さらに深堀りした内容については2024年5月7・14日合併号「週刊ゴルフダイジェスト」かMyゴルフダイジェストで是非確認を!
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PHOTO/Hiroaki Arihara, Blue Sky Photos、共同フォト、Getty Images
THANKS/井高野ゴルフセンター、ゴルファーレ高田馬場店