今回教えてくれたのは、南秀樹プロ
みなみひでき。1974年生まれ香川県出身。アマチュアゴルファーを中心に指導を行う。
香川県で「3.7.3ゴルフアカデミー」を主宰。木村彩子プロのコーチでもある
パワーを出すのは先の話! 左腕はスウィングのハンドルだ!
左腕を使いこなすとボールは曲がらなくなる
大排気量のエンジンを積んだ車に、まったく言うことをきかないハンドルが付いているとしたら、これほど恐ろしいものはない。操作性のいいハンドルが付いた軽自動車のほうが、はるかに安全に速く走れるはずだ。「ゴルフのスウィングは、左腕がハンドルで右腕がエンジン」と、南秀樹プロ。つまり、左腕をうまくコントロールできないと、右腕のパワーは生かせないということだ。「英語で“lead arm”(リードアーム。「先導する腕」の意)と呼ばれるくらい、なぜ左腕が大事かというと左肩をスウィングの支点として使うのが、一番シンプルで再現性が高いからです。ところが、右打ちゴルファーは右利きが多いので、左腕を使うのが苦手。そこで、しっかり左手でスウィングを作っていくことが、スウィング全体のレベルアップにつながります」
なぜ左腕が大事なのか?
切り返し動作に入ってしばらくは、左肩が不動の支点となり、左腕とクラブがいわゆる「フレイルアクション」(可動関節のある2本の棒を振るときの動き)を起こす。このとき、支点となる左肩が上下左右に動くと、先端に伝わる力が減ってしまう。
軌道が安定しない理由は“ボールの見すぎ”にあった!
テークバックでボールを「見すぎる」ことで、頭がボールに近づくアマチュアは多い。そのままだと必ずダフるので、切り返しから上体を起こしてしまう。あるいは、そのまま無理に打とうとして縮こまったスウィングになる
えっ! こんなに“外から”でいいんですか?
ヘッドは3Dで動くことを理解しよう!
インから下ろすのが「正義」と信じるあまり、必要以上にインから下ろしすぎて、「失敗しているアマチュアが多い」と、南プロは指摘する。ゴルファーの目線からは、インパクト前後のヘッド軌道(とくにドライバー)は限りなく真っすぐに近い。スウィングは3Dなので、それで実際はイン-インに動いている。「過度にインから下ろすと、切り返し以降、クラブは寝る方向、フェースは開く方向に動くので、インパクトでスクエアにするのが間に合わないという事態が生じます。ボールに対して真っすぐアタックする軌道で下ろすと、かなり外から下りるように見えますが、それが『正解』だということをまずは目(脳)で覚えることが大事です」
正しく使えたときのクラブの動き
≪感覚は外になるが実際はまっすぐ入ってくる≫
地面に真っすぐ引いたライン(ターゲットライン)をなぞるようにヘッドを動かすと、ヘッドがアウトからアタックするように感じる(見える)。しかし、実際のスウィングでもそのように動かさないと、クラブ機能を正しく発揮できない
【NG例】極端な軌道はスクエアに戻りにくくなる
実際のスウィング軌道は、見かけ以上にインから下ろそうとすると、確実にインサイドすぎる位置からのアタックになる。その結果、シャフトが寝てフェースが開くので、インパクトでスクエアに戻りにくい。
【check①】左ひじにゆるみがあるか
左ひじを伸ばすとクラブの重さを感じにくく、自分の力で下ろすしかない。それだと毎回正確な軌道で振るのは難しい。ひじをゆるめると、クラブの自然落下(重力)を感じて振れるので軌道が安定しやすい。
【check②】グリップは強くもなく弱くもなく
グリップを強く握りすぎると、ひじまでロックしてスウィング中にまったく使えなくなる。グリップを適度にゆるめ、手首がある程度自由に動く状態にしておくことで、クラブの動きを妨げずに振れる
【結果】手元が低い位置を通るようになってくる
「真っすぐアタック」の軌道を覚えると、そのためにどう体を動かせばいいかがわかってくる。「手元を低く動かす」というのも、それだけでやると難しいが、正しい軌道をなぞれば自然に手元は低くなる
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ヘッド軌道をコントロールする方法や、日常から左手の感覚を鍛えられるドリルなどは2024年6号の「月刊ゴルフダイジェスト」またはMyゴルフダイジェストにて掲載中!
写真/三木崇徳、有原裕晶、大澤進二、増田保雄
協力/坂出カントリークラブ、井山ゴルフ練習場、よみうりゴルフガーデン