地域に根ざした大衆的な中華料理店「町中華」にスポットが当たって久しいが、同じように地域に根ざしたゴルフショップといえば「ゴルフ工房」がある。経験豊かなクラフトマンが使い手の要望に合わせ、ヘッドとシャフトを組む「カスタムクラブ(地クラブ)」が人気だ。そこで、人気工房の「飛ぶスペック」を週イチで紹介! 試打者はゴルフダイジェストで四半世紀にわたり世に出たほぼすべてのクラブを打ってきた堀越良和プロだ。

安定性と飛距離を両立した1Wの提供を目指す

連載第12回目は、長野県長野市にある「R-ONE GOLF」の北澤亮一さんがおすすめする1本をご紹介。R-ONE GOLFの代表の北澤さんは25歳からゴルフをはじめ、1年半で70台を達成した強者。ベストスコアは68、趣味は音楽で工房内にバンド用の楽器を置くほど。お店を開業するまでは練習場併設のショップで経験を積んでいた。

北澤さんはゴルファーの「ウィークポイントの発見、それとストロングポイントを伸ばすこと」が得意と話す。「大人になってゴルフをはじめ、スウィングの改善を繰り返してきたことで、どのようなゴルファーでも合うシャフト、ヘッドがわかるようになった」という。2023年関東女子ミッドアマを優勝した丸山菜々美さんなどがよく訪れるらしい。大会直前に北澤さんの所に訪れ、ウッドからアイアンまでをリシャフトし、それで優勝したというから驚きだ。「菜々美さんはリシャフトして250ヤードくらい飛ばすこともある。僕も負けないように必死です(笑)」と負けず嫌いな一面も。また、「基本的には、昔からゴルフをしているベテランゴルファーが良く訪れていただいています。おおよそ50歳前後の方が多いので、安定性重視で、かつ飛ばせるクラブをという要望が多いですね」と語った。

画像: その人の癖や悩みを活かしたゴルフクラブを作る北澤さん

その人の癖や悩みを活かしたゴルフクラブを作る北澤さん

「エヴァンジェリストジャパンの『バルド TT ドライバー GT1 420』とフジクラの『ベンタス TR RED』がおすすめのセッティング」と北澤さん。「まずは『バルド TT ドライバー GT1 420』は、他のドライバーと比べて小ぶりでつかまえやすく、芯が少し狭いことが特徴です。程よくつかまえられますし、芯が狭い分、当てられる人には初速が出て、とても飛ぶドライバーです。シャフトには『ベンタス TR RED』が入っていますが、理由は暴れずに、少し先が走ってくれることで芯に当てやすく飛ぶんです」(北澤さん)

●ヘッド/エヴァンジェリストジャパン バルド TT ドライバー GT1 420(10度)

ヘッド体積が420ccと小ぶりで、ディープフェースモデルの『GT1』。構えやすくシャープに振り切れる。操作性が高くヘッドを意のままに操れる独特な感覚を、ゴルファーに与えてくれる。ハイバック形状のバルド特有のフォルムが強い弾道のボールを生む。価格(税込)/ 14万4650円(フジクラシャフト付)

画像: ヘッド体積が420CCと小ぶりな設計

ヘッド体積が420CCと小ぶりな設計

●シャフト/フジクラ VENTUS TR RED 5S

優れたボールコントロール性能を実現した「Velocore Technology」が進化。最外層に開繊クロス材を採用することにより、中間部の剛性を高め、さらなる安定性を追求。ツアーからのフィードバックをもとに生まれた新しいベンタス。価格(税込)/ 5万5000円

画像: フジクラ VENTUS TR RED 5S

フジクラ VENTUS TR RED 5S

綺麗なヘッドシェイプで左を怖がらず叩きにいける

ここからは堀越プロの試打結果とインプレッションをお届けしよう。

「先週、試打した『バルド TT ドライバー GT3』が“シャローフェースモデル”と謳うのが、このヘッドを見て理解できました。構えてみると、これこそまさに“バルド”です(笑)。それは420ccといまや絶滅危惧種のヘッド体積で、重心距離が短いので操作性が高く、ヘッド後方へのストレッチが少ないので、強い球が打てそうなイメージが湧きます。ただし、小ぶりヘッドはキュッと引き締まっていて、手強そうに感じます。ヘッドシェイプは凄く綺麗でフェースアングルはややオープンに感じます。いわゆる上級者が叩きにいける“顔”をしています」という。

画像: 試打者/ほりこし・よしかず。試打経験から裏打ちされた豊富な知識と試打技量から大手メーカーのシャフトやヘッドの開発にも携わる。キング・オブ・試打。クレアゴルフフィールド所属

試打者/ほりこし・よしかず。試打経験から裏打ちされた豊富な知識と試打技量から大手メーカーのシャフトやヘッドの開発にも携わる。キング・オブ・試打。クレアゴルフフィールド所属

画像: 弾道計測器は「ラプソード MLM2 PRO」を使用

弾道計測器は「ラプソード MLM2 PRO」を使用

弾道計測器にはラプソード『MLM2 PRO』を使用し、いつものようにHS42m/sくらいで試打を開始。1球目からスピン量2004rpmを記録。「見た目どおり、スピン量が少ないです! 打ち出しもそこそこ(13.1度)で、中弾道の強い球が打てます」と1球目から納得の球が出たらしい。「ただ、42m/sくらいのヘッドスピードだと、適正の打ち出し角はもう少し高いほうがいい。いまのはスイートスポットより若干上めでヒットしたので、もう少し上に当たれば、このヘッドのポテンシャルが生かせそうです」といい、2球目、3球目を打つ。「打ち出し角が14度近くまでいって、スピン量は2100rpmくらいで250ヤード越え。いいデータだと思います」と高評価。オフセンターヒットも試してみるが、「さすがにトウズレ、ヒールズレをすると初速は落ちますし、スピン量も増える傾向にあります。これは形状からわかっていたことで、しっかりセンター近辺で球を捉えられる中上級者向けということでしょう」とのこと。

なお、ヘッドスピード42m/s前後で5球を打っての平均は下記のとおり。

ボール初速●61.5m/s
打ち出し角●13.9度
スピン量●2488rpm
キャリー●225.8Y
総飛距離●246.6Y

総評

「『バルド TT ドライバー GT1 420』は見た目どおり、球が上がってくれるモデルではないので、ポテンシャルを最大限生かすなら、45m/sくらいのヘッドスピードが欲しいところです。とはいえ、『ベンタス TR RED』という、少し先が走るシャフトと組むことで、HS42~43m/sくらいでも球が上がってくれていますので、いいバランスだと思います。それでも球が上がらないというなら、フレックスを軟らかくするか、『スピーダー NX ブラック』などのシャフトを試すといいと思います。この組み合わせはまさにカスタムクラブの真骨頂といえるクラブで、打ちこなせる楽しみを感じさせてくれます。オートマチックに打てる大手メーカーのクラブはスコアを伸ばすにはもちろんいいのですが、スコアだけでなく、昔のように球を操ってゴルフを楽しみたい人にはオススメです」(堀越プロ)

画像: 「時には難しさを感じさせるクラブだが、球を操る楽しさがある」と堀越プロ

「時には難しさを感じさせるクラブだが、球を操る楽しさがある」と堀越プロ

R-ONE GOLF

画像: ウッド調にこだわった温かみのある解放的な店内

ウッド調にこだわった温かみのある解放的な店内

設計士とこだわって作り上げた西海岸風の店内は、店主の性格と相まって一息つけるような空間となっている。ゴルフや仕事に悩んだときに是非訪れてほしい。

住所/長野県長野市中御所町4丁目4
営業時間/11時~19時(定休日:不定休)
電話番号/026-217-7589

THANKS/クレアゴルフフィールド

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