今週、太平洋C御殿場Cで開催される欧州と日本ツアーの共催試合「ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント!」。4日間、ゴルフネットワークで解説を務め、週刊ゴルフダイジェストの人気連載『さとうの目』でもおなじみ佐藤信人プロが、今大会の注目選手5人、そして大会全体の見どころを前後編に分けて紹介! 本記事では後編の模様をお届けする。

※前編の「日欧共催「ISPS HANDA」に出場する注目海外選手は? 解説の佐藤信人プロがピックアップ!【さとうの目「ISPS HANDA 欧州・日本どっちが勝つかトーナメント!」前編】」]はこちらから

ジョーダン・スミス(31)/イングランド

かなり前から注目していた選手ではありますが、昨年の本大会でも結果6位に入りました。欧州では中堅の、誰もが認めるいい選手という感じです。ツアー屈指のショットメーカー。パーオン率でいうと、今シーズンは6位ですけど、昨シーズン、一昨シーズンともに3位。常にショットのスタッツでは上位にいますし、僕はスウィングもすごく好きなんです。非常にオーソドックスな安定感のある、力強いけど綺麗なバランスのよいフォーム。昨年も石岡GCの練習場で彼のスウィングをすごく見ていたんですよ(笑)。

画像: DPワールドツアー3勝目を狙うジョーダン・スミス

DPワールドツアー3勝目を狙うジョーダン・スミス

でもスミスは実力ほどにはまだ活躍していない気がします。彼はユーロプロツアーというイギリスベースの3部ツアーでランク1位となり、欧州2部ツアーに上がり、そこでもすぐに1位に。ポンポンと欧州ツアーに入り、すぐに初優勝も挙げて毎年ランキングも上位の選手。メジャーでもトップ10に入り、当時からかなりいい選手なんだろうなとは思っていたんですけど、まだ突き抜けていないという感じなんです。現在ワールドランクは93位ですから、今回出場選手のなかでは上位ですが、まだ欧州ツアーでは2勝しか挙げていない。17年から欧州ツアーにいて、ずっと安定してシード落ちの心配をしたことはないけど、ずば抜けてよかったこともあまりない。今シーズンも2位が1回ありますけどまだ未勝利です。しかし、昨年の日本での本大会でいい成績を出していいイメージもあるでしょうから、今回優勝して、自身のキャリア爆発のきっかけになればいいと思いますね。

ヤニク・ポール(30)/ドイツ

彼は今”流行り“の双子のプロゴルファーです。兄はジェレミーと言い、PGAのコーンフェリーツアーで戦っていて、今シーズンの開幕戦で優勝しました。

今、双子選手が活躍していて、著名選手ではデンマークのラスムス&ニコライ・ホイガード兄弟、アメリカのピアースサン&パーカー・クーディ兄弟がいます。ポール兄弟は、2人ともアメリカのコロラド大学を卒業して、プロ転向して最初、18-19年シーズンはカナダツアーで一緒に戦ってきました。しかしコロナ禍を境に道が分かれたんです。21ー22年シーズンは兄弟で欧州2部ツアーに出ていたんですけど、ヤニクのほうはここで成績が出て(ランク9位)、そのまま欧州ツアーへ。ジェレミーはカナダツアーにすぐ戻り、そちらからコーンフェリーツアーへ。そこで初優勝し今上位にいます。戦う舞台は違えど、一緒にPGAツアーを目指しているという感じです。ヤニクのほうは、欧州で”久常ルート“でアメリカにいけるように、ジェレミーはコーンフェリーでトップ30位に入って、「来年PGAで会いましょう」という感じだと思います。

画像: スペルは“Yannik Paul”なので、キャディゼッケンには「Y・パウル」と記載されている(撮影/大澤進二)

スペルは“Yannik Paul”なので、キャディゼッケンには「Y・パウル」と記載されている(撮影/大澤進二)

ヤニクは昨年の本大会にも出場、6位タイに入っており、それ以外でもアジアスウィングの成績がめちゃくちゃよかったんです。アジアとは相性がいいのか、今年も中島啓太くんが優勝したインドでも10位でした。今、彼はワールドランク127位ですけど、オリンピックも狙える、ドイツの3番手ですね。今週優勝して来週の中国でも頑張れば、全米プロも狙えますし。スタッツを見ると彼は飛距離もまずまず出るし、毎年パーオン率が高くてアイアンがすごく上手いですね。スウィングはものすごく綺麗なものではないし、特徴があるわけではないですが、ショットのキレに注目してほしいですね。

全体の見どころ

欧州ツアーはいろいろな国の選手がいるので、オリンピックに出られる可能性がある選手が多いんです。決定するのはまだ2カ月先ですけど、日本も含めて各国の代表争いが気になってくる時期。また、全米プロもワールドランキング100位付近にいる人はかなり気にしていると思いますから、そういう観点で勝負を見るのも面白いかもしれません。

また、コースが昨年の石岡から今年は太平洋C御殿場Cに変わりました。毎年秋に三井住友VISA太平洋マスターズが開催されており、時期が違うので雰囲気は変わると思いますけど、日本人選手はより経験値がありますから、期待できますよね。また勝てばDPワールドツアーメンバーになれますから皆全力で戦うでしょう。欧州の選手は皆とりあえず、「富士山が近くていい写真を撮れるな!」と楽しみにしてるいとは思いますね(笑)。それに、2001年のワールドカップでタイガー・ウッズがチップインしたシーンをYouTubeで見ている選手もいるかもしれませんし、過去のVISA太平洋マスターズでも、欧州の先輩選手たちが優勝していますし、それなりに有名なコースだと思います。
(編集部注/リ・ハオトンは曇り空の指定練習日の火曜に「どちらの方角に富士山は見えるの?」と聞いてきたし、M・パボンは公式会見で「タイガーの試合のYouTubeを見て勉強した」と語っていた

それともうひとつ、プレー以外にも注目してほしいのは、選手たちのSNS。昨年選手たちのインスタを見ていると、いろいろなところに出かけたり日本を楽しんでいる様子をアップしていました。これを見るのが結構楽しくて(笑)。渋谷や銀座、新宿のゴールデン街に繰り出したり、オランダのユースト・ラウテンは、渋谷をカートで走る動画をアップしていました。ちなみにアドリ・アルナウスは、富士山周辺の観光と太平洋C御殿場Cでのラウンドの写真をアップしていました。”連ラン“になっていたら、今年の成績は期待できるかもしれません。DPワールドツアーのアカウントもチェックすると楽しいですよ。昨日はドイツの選手が回転寿司屋でお皿をすごく高く積み上げた写真が出ていました。

画像: JLPGAの開幕戦を主催するダイキン工業株式会社がスポンサーにつくユースト・ラウテン

JLPGAの開幕戦を主催するダイキン工業株式会社がスポンサーにつくユースト・ラウテン

今回挙げた5人は皆30歳前後で油が乗ってきたという感じ。世界的には大学卒業すぐの若い20歳台前半の選手たちがすごいけれど、今シーズンは30歳前後優勝も多くて、こういう波もありますPGAツアーにも同様の傾向もあります。ツアーを何年か経験して技術も上がり人生も落ち着いて、選手としてのピークを迎えるというのはある意味王道な感じがしますね。昨年日本ツアーの賞金ランク上位、中島啓太、蟬川泰果、金谷拓実など若手との対決も見ごたえがあると思います。

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ジョーダン・スミスは鍋谷太一、コナー・サイムとの組み合わせ。
初日は7時50分に10番ホールから、2日目は12時50分に1番ホールからスタート。

ヤニク・ポールは今平周吾、セバスチャン・ソーダバーグとの組み合わせ。
初日は6時40分に10番ホールから、2日目は11時40分に1番ホールからスタート。

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