プレーはもちろん、インターバルでのプロの行動観察をすると、その日の状態やその人“らしさ”がわかるものである。昨日の日没サスペンデッドのため、朝早くから第1ラウンドの残りをこなしてすぐ、第2ラウンドを回り、上位のスコアでホールアウトした3人に注目した。
金谷拓実は3つ伸ばしてトータル5アンダーでホールアウト。いつも真っすぐ空中の一点を見つめながら歩いている金谷。どちらかというと苦々しい表情をすることのほうが多いが、ものすごく周りの状況を見ているのを感じられる。
ハーフターン後の3番(565Y・パー5)、ティーショットをフェアウェイに運び、残り290ヤードを3番ウッドで振り抜いた。「完璧でした」と言うショットはピンまで片手で測れるくらいのオッケーイーグル。同伴競技者の「Oh! Good shot!」の声を聞きながらタップイン。ギャラリーの“黄色い声援”に対してすぐ右手を上げる。あくまで冷静に。金谷の目線の先には「yogiboキャップ」を被った女性が……「最近は、僕と同じ『yogibo』のキャップを被って応援に来てくれる方が増えました(笑)。皆さんの声援、しっかり感じています」と言っていたが、まさにその通り。
「カットラインも気になりながらプレーしていたので、3番でイーグルが取れて楽になったかと思います」
強い闘志と粘りのプレーには、周りをよく見る謙虚さがある。ラウンド後、”同志“ライバル中島啓太への意識を聞かれ、「啓太もですけど、他にもヨーロッパの素晴らしい選手がたくさん来ているし、日本の選手も皆頑張っているので」と答えた金谷。
同伴競技者は、この日トップタイで終えたイングランドのレフティ、サム・ベアストー。好調の要因を「シンプルを続けること。スウィングもパッティングストロークもシンプルにして楽しむことだと思います。いつも通りでいること。しっかり自分のプレーをしたいです」と、何だか金谷の言葉のように話す。その金谷は、決勝に向けて、いつも通り「しっかり自分らしいプレーを続けたいです」という言葉で締めた。
欧州ツアー参戦6年目のベテラン川村昌弘は、ラウンド中、何度も食べ物などを補給していた。「今日はなんせ朝が早かったので(3時半起床!)眠たかった。長丁場を予想していたので、サラッと回れたらいいなという感じでしたけど、上手く回れたと思います」。
欧州ツアーでは、サスペンデッドはよくあること。対応は慣れたものだ。根っからの“コース好き”の川村は、コースについても詳細に解説する。「(改造された)6番は、よいパー4だなと思いました。距離的にもロングアイアンを打つわけではないし、前半のあの辺にピリッとするホールがあっていいアクセント的な感じです」。
「ここは、最悪を避けたときの反対側の許容範囲がめちゃくちゃあるコースなので、その辺は(欧州に比べて)少し優しく感じます。とはいえ、ボギーを打つ原因は凡ミスなので、そこでメンタル的にキテしまう人もいるのかなあと」
世界中のコースで戦いながらいろいろなコースを回りたいというモチベーションも欧州ツアーで頑張れる秘訣。いつか真のゴルフ好き、川村の設計したコースを見てみたいものだ。
20歳の長野泰雅は、感性とキレのあるショットが持ち味。トータル6アンダーでホールアウト。今日も大好きなピンク色のパンツで”怖いもの知らず“の雰囲気を出しながらラウンドしていた。
若いとはいえ、長いラウンドの疲れはあるのか、ティーイングエリアで屈指運動をする姿も。「プレー中は大丈夫でしたが、朝ごはんを食べているときがめっちゃ眠かったです」。そういえば、今オフ、「実はバンカーの打ち方、最近覚えたばかりなんですよ。僕はまだまだこれからです」と言っていた長野。
今回も、基本は”ピン狙い“で攻め続ける。パターがなかなか入らなかったというが、「上手く拾いながら回りました。ショットはほとんどピンに飛んでいっているので、フェアウェイから打てるところは(スコアは)まとまっています」。福岡出身、モツ鍋を愛するゲーム好き。今日は早く帰って休養するという。