松山英樹の21年マスターズ優勝をサポートした目澤秀憲に、レッスン技術に造詣が深いライターDが、最新スウィング理論について話を聞いていく連載「みんなのスウィング3.0」。今回は「パッティングのデータ化」について考えた。
画像: シェフラーは少し前までややスランプ気味だったが、今シーズンに入って復調。パターをマレット型に変更したことも、その原動力のひとつだろう。マレット型パターは、ミスヒット時の距離低下が少ないので、ピン型よりもカップの近くで止まるということがデータ上、明らかになっている

シェフラーは少し前までややスランプ気味だったが、今シーズンに入って復調。パターをマレット型に変更したことも、その原動力のひとつだろう。マレット型パターは、ミスヒット時の距離低下が少ないので、ピン型よりもカップの近くで止まるということがデータ上、明らかになっている

D スウィングについては、いろいろなことがデータ化されている時代ですが、同じことはパッティングにも言えますね。

目澤 そうなんです。PGAツアーのプロたちは、みんな自分のパッティングデータを計測して、それに基づいた練習をしていますよね。それに比べると、日本ではまだそこまでは浸透してない感じですが、少しずつパッティングデータの重要性というのが認識されてきていると思います。

D 多くのプロが使っている、パッティング時のボールの転がりを精密に計測できる「クインティック(Quintic Ball Roll)」というシステムがありますが、計測可能なたくさんのデータのうち、もっとも重要な5つの要素が、フェースローテーション、フェースアングル、ボールスピード、ローンチ(ボールの打ち出し角度)、スピンだとされています。

目澤 パッティングでは、狙ったところに打ち出すというのが大前提ですが、それに関わるのがインパクト時のフェースアングルとストローク中のフェースローテーションということですね。そして、主にタッチに関わるのが残りの3つです。いわゆる「転がりのいい」パッティングというのは、データ的に言うと、打ち出しからなるべく短い時間で、ボールに(ターゲットに対して真っすぐの)順回転がかかる状態を指します。スキッド(skidding)といって、ボールが打ち出し直後に無回転で地面を滑る時間があるんですが、このときになるべく地面と平行に近い形で滑るほうが、その後、早く順回転に変わります。ローンチが重要なのはそのためです。

D ローンチが高すぎる(インパクト時のロフトが大きすぎる)と、ボールが地面から離れるので再着地後の不確定要素が増えますね。逆にローンチが低すぎる(ロフトを立てすぎる)と、ボールが地面に押し付けられて、その後バウンドしてしまうので、やっぱりきれいな順回転になりにくい。

目澤 PGAツアーのトッププロたちは、そういう「打ち出し条件の均一化」に対して、すごく真剣に取り組んでいますよね。

D その観点で言うと、アマチュアのパッティングの一番の問題点はどこでしょうか。

目澤 すごく単純で根本的な問題なんですが、ボールが「真っすぐ」転がっていないということですね。ぜひ試してほしいのが、ボールの赤道部分にぐるっと1周線を描いて、それをターゲットに真っすぐ合わせた状態で打ってみることです。

D ボールが赤道を挟んで2色に分かれている、練習用のボールもありますね。

目澤 それもすごくいいです。とにかく、そうやって打ってみると、想像以上にボールが順回転方向以外に回転していて、びっくりするかもしれません。

D アマチュアの場合は、打ち方の問題に加えて、セットアップの問題も大きそうです。

目澤 むしろ、そっちのほうが大きい場合も多いですね。たとえば、ボールから離れて立ちすぎると右に出やすいですし、逆に近づきすぎると左に出やすかったりします。ボール位置も、右足寄りに置きすぎて、適正ロフトでなくなっている人がかなりいると思います。

※週刊ゴルフダイジェスト2024年4月30日号「みんなのスウィング3.0Vol17」より

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