LIVアドレード大会の個人性はブレンダン・スティールが優勝し幕を閉じた。スティールは飛ばし屋でナイスガイだが決してビッグネームではないため、これはファンが望んでいた結果ではない。熱狂的に盛り上がったのは史上初めておこなわれたチーム戦のプレーオフだった。
地元オーストラリアが誇るメジャーチャンピオン、キャメロン・スミス率いるリッパーGC(4人1組)がルイ・ウエストハイゼン率いる南アチーム、スティンガーGCと相見えたのだが、2ホール目で南アチームがボギーを叩きリッパーGCがチーム戦を制すると、メジャーの最終日かライダーカップの決勝マッチに匹敵するほどの盛り上がりを見せた。
何千、何万のギャラリーがコースに雪崩れ込み、個人戦優勝のスティールが「ちょっと恐怖を感じた」というほど。
個人戦3位タイに入ったジョン・ラームは「ファンが我々選手より興奮している状況がトーナメントを最高のものにすると感じた。メジャーやライダーカップでしか起こり得ないことが起こった」と語っている。
そんななか26位タイに終わったブライソン・デシャンボーは最終日の前日練習グリーンで取り囲むファンとコミュニケーションをとりながらパッティング練習に勤しんでいた。
デシャンボーがファンに「もしこの(3メートルの)パットを決められなかったら何が欲しい?」と尋ねると周囲に歓声が上がる。
すると意外にも話しかけられたファンが「君が今履いている靴下が欲しい」と即答したのだ。
「了解。靴下をあげるよ!」とデシャンボー。
そしてストローク。ボールはカップに吸い込まれたかに見えたが直前で左に切れカップインならず。デシャンボーは約束通りその場で靴と靴下を脱ぎ靴下にサインをしてファンに手渡した。
面白いのは裸足でクラブハウスに入って行くデシャンボーの後ろ姿。
「パッティングコンテストで負けて靴下を取られた」というデシャンボーに「え? 靴下をあげたの?」と誰かの声。「そう、靴下が欲しいっていわれて僕が負けたんだ」。
「靴下にサインした?」と問われたデシャンボーは「Yep(イエス)」と答え去っていた。この様子を階段に座り静かに傍観していたダスティン・ジョンソンの姿にも笑える。
それにしてもなぜファンがねだったのが帽子や手袋ではなく靴下だったのだろう?