史上最大の7打差逆転劇、史上最年少優勝を更新と記録づくめの勝利
コーチとしてサポートする桑木志帆選手の練習ラウンドから最終日まで帯同していました。月、火曜日のグリーンの状態はとても硬く、ショートアイアンであってもやっと奥に止まるようなコンディションでした。
その後、水曜日のプロアマでかなりの雨が降った影響でボールは止まるようになり、選手やキャディからコンディションの変化に対応する会話が多く聞かれていました。
GWで今季初メジャー、そして天候にも恵まれたこともあり、初日から1万人を超える多くのギャラリーが集まりました。大きな歓声やどよめきがいつも以上に選手たちを盛り上げてくれたと感じる4日間続きました。
最終日は、韓国の女王イ・イェウォンと日本の女王山下美夢有、初優勝を目指す佐久間朱莉の3人に誰もが注目していたはずです。大会期間中で最も風が強く吹き、グリーンは14フィートと速く、硬くなって難易度も増したことで、優勝争いの渦中にいる選手にとって難しいサンデーバックナインになりました。
最終組から4組前で出たリ・ソヒョン選手は15歳ではありますが164センチでしっかりとした体格を持ち、飛距離も期間中の平均で247.625ヤードで15位、パーオン率は54/72で1位と4日間を通して安定したプレーを見せていました。
安定したスウィングとトップ10に入れば良いという無欲のメンタルが最終18番の2オンからの値千金のイーグルを生み、歴史的な勝利につながりました。では、そのスウィングを見てみましょう。
高いトップから、体から遠くに置いたボールを打つ
スッと立った姿勢ですが、手元と体に距離を持たせボールの位置はやや遠く構えています。テークバックでは手元を高く上げ、捻転の深いアップライトなトップを作ります。
アップライトなトップからやや遠い位置にあるボールに対して切り返すのでクラブは自然とフラット軌道で下りてきています。
もう一つ注目するのは、トップから切り返しで変わらない顔の向きです。柔軟性や可動域の影響もありますが、顔の向きをキープしたまま切り返すことで上半身と下半身の捻転差が作られてクラブが効率よく加速されています。
そこから下半身を縦方向に積極的に使い一気にクラブをリリースし、大きな飛距離へとつなげています。切り返しでスクワットしインパクトに向けてひざを伸ばしながら回転力を得ています。
地面からの反力を利用して回転力を得るには、フィギュアスケートのように沈み込み、ジャンプしながら回転してみると感じがつかめます。ただ、ゴルフスウィングにおいては頭の高さを変えずに下半身を使う意識が必要です。
15歳のリ・ソヒョン、21歳の韓国ツアー女王のイ・イェウォンと韓国からも次々に強い選手が生まれています。ゆくゆくは日本ツアーや米ツアーで活躍する姿が見られることでしょう。
写真/姉崎正