前週のウェルズファーゴ選手権で初日からトップを走ったシャウフェレはサンデーバック9でローリー・マキロイに逆転され2位に終わった。
その悔しさをバネにメジャーという最高の舞台で会心のゴルフを披露。ストロークゲインド(SG):トータル1位、SG:パッティング1位とショットとパットが冴え渡り2位に3打差をつけ単独首位と絶好の滑り出しを見せた。
落ち着いた雰囲気でいとも簡単そうに9バーディを量産した彼に記者から「これがキャリア最高のゴルフ?」と聞かれると「おそらくそうですね」とシャウフェレ。
「ボールを上手くコントロールできていると感じるし、グリーン(のライン)もよく見えている。アプローチも上出来。ただ質の高いパフォーマンスをずっと続けるのは難しい。最高でないしにしても最高に近いゴルフをしているという実感はある」
21年のマスターズで最終日最終組を松山英樹と回りあと一歩というところまで迫りながら16番で痛恨のトリプルボギーを叩き戴冠を逃したのは記憶に新しい。デビュー以来これまでのメジャーでは2位が3回、トップ10が12回。その実績からネクストメジャーチャンプと呼ばれ続けてきた。
3年前の東京五輪では母(台湾生まれ)が育った日本で金メダルに輝いた。ゴルフを始めたときからのコーチである父・ステファンさんは若かりし日に陸上の10種競技のオリンピック候補だったが選考会の直前飲酒運転の車に衝突され左目を負傷。五輪出場の夢は叶わなかった。
東京五輪では「コーチとしてではなくオブザーバーとして入場し、遠くから息子のプレーを見守った」ステファンさん。
「興奮してはいけないと思いながら冷静さを保っていたけれど、金メダルを獲った息子が私のところにやって来て“これはオヤジのものだよ”とメダルを手渡されたときにはこらえていた涙が一気に溢れました」と感動の瞬間を振り返る。
現在世界ランク3位のシャウフェレは今年8月におこなわれるパリ五輪出場が確定している。ステファンさんはドイツ国籍だがフランス人とドイツ人のハーフ。「フランスにもたくさん親戚がいます」とシャウフェレ。
母が育った日本、父の故郷でもあるフランス、2大会連続で所縁の地が舞台になるのも珍しい。オリンピックではもちろん連覇を目指すが、その前に念願のメジャー獲りを達成しておきたい。