トランス女性ゴルファーのヘイリー・デビッドソン(26)が、全米女子オープンの予選会で1打及ばず出場権を逃した。ミニツアーを主戦場とする選手が全米女子オープンに出られなくなったことが話題になった理由は、彼女が性転換手術を受けた元男性だったからだろう。
デビッドソンは性転換を受ける前、大学の2部リーグの男子ゴルフチームに所属していた。子供の頃から男性であることに疑問を感じて18歳でホルモン治療を受け、21年にUSGAやLPGAが認定している性転換手術を受けている(LPGAはプロ登録に際し『出生時に女性であること』という要件を10年に撤廃している)。
今年1月にフロリダのミニツアー(NXXTゴルフ)で優勝した際、批判の声に対し「みんな私がドライバーで300ヤードくらい飛ばすと思っていますが、実際は調子が良くてもせいぜい250ヤードくらい」と語ったが、性転換手術を受けてから45キロほど痩せ、飛距離も30ヤード以上落ちたという。
同ツアーで今季3勝した経験を持つデビッドソンは現在、年間賞金ランク2位。年間10位に入れば米女子ツアーの下部ツアーであるエプソンツアーの来季出場権を獲得できるが、NXXTゴルフは今年3月に「出場するには出生時に女性であること」を要件に加えており、いまは"3勝の貯金"に望みをかけている状況だ。
トランスジェンダーに対して、かつてはテストステロンという思春期に多く分泌される男性ホルモンで性別認定を行っていたスポーツ界だが、近年では出生時に女性であることを要件にしたり、13歳以上で性転換をした場合、女性として競技に出場できないとする種目も増えてきている。
ちなみに東京オリンピックでトランスジェンダーとして初の金メダルを獲得したカナダのサッカーチームのレベッカ・クイン選手は、出生時から女性として育てられたそう。
結果はともかく、この論争はまだ続きそうだ。
※週刊ゴルフダイジェスト2024年6月4日号「バック9」より