「前半のうちに伸ばしておこうと思ってやってました」(竹田)
優勝してギャラリーの声援にこたえる姿が板についてきた。
最終18番、竹田は3メートルのバーディパットこそカップの右に外したが、すぐに20センチのウィニングパットを沈めた。グリーンサイドを埋め尽くしたギャラリーから沸き上がる拍手と歓声。左手でキャップのつばを押さえて小さくおじぎをし、感謝の気持ちを表した。
「今日はガッツポーズをしようと思ったんですけど、出なかったです。(やりたい気持ちは)はい、多分」
4月のKKT杯バンテリンレディスで初優勝を果たし、翌週のフジサンケイレディスクラシックで2週連続優勝。それからわずか4週目で今季3勝目到達一番乗り。4日間大会では初の栄冠となった。
「今日は前半バーディが取れて、2位との差もついていたので、自分に集中してプレーできたのがよかった。初優勝してから自分に自信が持てて、毎週プレーできているのが大きいと思う。メジャーも4日間なので、4日間で勝ちたいと思っていて、勝ててうれしいです」
首位の河本に1打差の2位からスタート。1番でグリーン奥からチップインバーディを決めて勢いに乗り、ここから3連続バーディを奪った。5番で10メートルのバーディパットを決めると、6番はショットを2メートルにつけて連続バーディ。アウトを31で回り、前半だけで2位に4打差をつけた。後半は1打スコアを落としたが、前半の貯金が効いて、最終的に2打差をつけてVゴールに飛び込んだ。
「1番がラッキーだったので、乗っていける感覚はありました。後半は15番まで得意ではないので、前半のうちに伸ばしておこうと思ってやってました」
今後の目標は初めて出場する全米女子オープン
会場となった袖ヶ浦カンツリークラブ袖ヶ浦コースは全長6731ヤードとタフなセッティングだが、自慢の飛距離を武器にねじ伏せた。今大会4日間のドライビングディスタンスは驚異の284.625ヤードで断然トップ。2位の内田ことこは268.875ヤードなので、その飛ばしっぷりがいかにすごいか分かろうというもの。4日間合計16のパー5で1イーグル、10バーディを奪って優勝を引き寄せた。
優勝記者会見。
「4日間で1番活躍したクラブは?」との質問を受けると、迷わず「ドライバーですね。距離が長いミドルでも距離が稼げたので、そんなに長いクラブを(次打で)持つことがなかったのでよかったです」と答えた。
この優勝で前週に岩井千怜に奪われたメルセデスランキング1位の座もわずか1週で奪回した。21才の年間女王誕生への流れができつつあるが「今はまだ考えていない。残り3試合くらいになったら考えると思う。それくらいの時期に争いができるように頑張りたい」と謙虚に話した。
今後の目標は初めて出場する全米女子オープン(5月30日開幕。ペンシルバニア州・ランカスターカントリークラブ)。
「まだ行ったことがないし、今回初めてでどういう感じか分からない。自分のゴルフがどこまで通用するかも分からないですし、まずは自分の力を出し切って、4日間プレーしたいです。アメリカに行くこと自体が楽しみなんですけど、一軒家を借りる予定なので、バーベキューとか楽しみです」
群を抜く飛距離に加え、ショートゲームにもスキがない。これからどれだけの勝利を積み重ねていくのか。
無限のポテンシャルを秘めた大器が、女子ツアーの中心で輝き始めた。