地域に根ざした大衆的な中華料理店「町中華」にスポットが当たって久しいが、同じように地域に根ざしたゴルフショップといえば「ゴルフ工房」がある。経験豊かなクラフトマンが使い手の要望に合わせ、ヘッドとシャフトを組む「カスタムクラブ(地クラブ)」が人気だ。そこで、人気工房の「飛ぶスペック」を週イチで紹介! 試打者はゴルフダイジェストで四半世紀にわたり世に出たほぼすべてのクラブを打ってきた堀越良和プロだ。

連載16回目は京都相楽郡にお店を構える「ブイテクゴルフ」の大西淳さんがおすすめする1本をご紹介。高校・大学時代ゴルフ部だった大西さんは、ベストスコア63の実力者。ゴルフ部時代の技術と経験を活かしてティーチングプロ資格取得後、現在の工房「ブイテクゴルフ」をオープンした。工房を始めたきっかけは、レッスン受講者のクラブが合っていないことが多く、いいスウィングをしていても結果が出ない方が多かったため、自身のレッスンとフィッティングを活かせると思ったという。現在はゴルフアカデミーやジュニアのレッスンを行っている。

「私の工房ではフィッティングスタジオの他に練習場が併設しているため、データで判断する方や、実際に打った球の弾道を見て決めていくお客様がいらっしゃいます。トラックマンの計測では主にランチアングル・ランドアングル・アタックアングルを重要視し、現在使用しているクラブと比較しながら調整していきます。たとえレッスンを受講していても、クラブが合っていないと習った球筋が出づらくなるので、フィッティングというのはかなり重要な要素です。合っていないクラブを使用すると様々なミスが出てしまうため、スウィングも大事ですが一度クラブを見直してみても良いのかなと思います」と大西さん。自身は「ブイテクゴルフアカデミー」のコーチでもあるため、受講者に合ったスウィングやクラブセッティングができる事が強みだという。

画像1: ロッディオヘッド×TPTシャフト。「スライサーなら一度は試してほしいスペック」(堀越プロ)【人気ゴルフ工房のぶっ飛びドライバーをキング・オブ・試打が語る】

「ロッディオ『M-Tuning』とTPT『19 HI POWER RANGE(RED)』がおすすめのセッティング」と大西さん。「今回のTPT19 HI POWER RANGE(RED)は振動数こそ232cpmとマイルドなのですが海外ドラコン選手も使用するシャフトでヘッドスピードが速い人でも当たり負けしないモデルになっています。それに対してロッディオMチューニング(ホーゼル固定タイプ)は飛距離性能は勿論ですが多様なチューニングが可能なヘッドなので打ち手に合わせて作り上げていくクラブと言えます。今回のセッティングは、グリップの先端にツアーロック16gを装着しているためヘッドの入射角がアッパーブローになる様に仕上げ、且つ手元が重くなる事でインパクト周辺で手が減速してその分ヘッドが加速します。そのためヘッドスピードは上がり、高打ち出し角且つ低スピンの球筋になるように組み合わせました。ボールのスピン量が多い人は是非試してみてほしいセッティングです。」と語った

●ヘッド/ロッディオ M‐Tuning(ロフト10.0度)

画像: 多様なカスタムが可能なロッディオ「M-Tuning」

多様なカスタムが可能なロッディオ「M-Tuning」

「M-Tuning」は、新設計のボディ形状より、更なる剛性UPを達成し、打球フィーリング向上のためにフェース部も素材から肉厚設計まですべてリニューアルしている。継承すべきところは継承し、進化すべきところは妥協を許さず徹底的に追求する、まさにRODDIOの開発スピリットの象徴ともいえるドライバーヘッドだ。価格(税込)/8万5800円(スリーブタイプは8万8000円)

●シャフト/TPT 19 HI POWER RANGE(RED)

画像: スイス生まれのTPTシャフト

スイス生まれのTPTシャフト

TPT(Thin Ply Technology)は、極限まで薄く作られたプリプレグ(※)を高性能自動機で多層に巻く薄層(はくそう)に巻く技術。これまでのカーボンシャフトは基本的に手巻きなので多層に巻いたり同じ製品精度を保つことも困難であるため、結果として不規則なスパインや重量誤差や形状の誤差などで必ず歪が発生するという問題があった。TPTシャフトは、完全に制御された自動機で多層(約60層)に巻かれるため、非常に高い精度が得られ、誤差のない安定したスパインレスシャフトとなっている。
※プリプレグ=炭素繊維に樹脂を含浸させたカーボンシート

スライスで悩む人におすすめできる1本

ここからは堀越プロの試打結果とインプレッションをお届けしよう。

先週と同じロッディオのMチューニング。顔について話を聞くと、「先週と同じになりますが、ややオープンなフェースが構えやすく、つかまり過ぎる感じはないので、叩きにいける印象です。ただ、素振りをしてみるとグリップエンドにあるウェイトのおかげで、カウンターバランスがしっかりあります。先週の『ロッディオシャフト np5★』との組み合わせでは、いろいろな球を打てそうなイメージがありましたが、この『TPT19 HI POWER RANGE(RED)』との組み合わせでは、オートマチックに球がつかまるイメージしかでません」と素振りをした段階ではスライサーに向けたクラブと感じたようだ。「シャフトは全体がたわむのですが、そのしなり方よりもグリップエンドのウェイトが利いています。ここまでカウンターバランスの効果を感じたのは初めてです。いつものようにHS42m/s前後で試打していきたいと思います」と試打を開始。

画像: 試打者/ほりこし・よしかず。試打経験から裏打ちされた豊富な知識と試打技量から大手メーカーのシャフトやヘッドの開発にも携わる。キング・オブ・試打。クレアゴルフフィールド所属

試打者/ほりこし・よしかず。試打経験から裏打ちされた豊富な知識と試打技量から大手メーカーのシャフトやヘッドの開発にも携わる。キング・オブ・試打。クレアゴルフフィールド所属

画像: 弾道計測器は「ラプソード MLM2 PRO」を使用

弾道計測器は「ラプソード MLM2 PRO」を使用

「素振りでも感じましたが、カウンターバランスのおかげで手元が飛球線とは逆方向に動くイメージでヘッド全体が走ってくれます。つかまる印象しかなく、スライサーにはもってこいなのですが、私のようなフッカーだと、チーピンの怖さが残りますね」と堀越プロ。iPadに表示される弾道図を見ると、弾道が上がっているのでチーピンとまではいかないが、それでもドローよりもフックといえる軌道を描いていた。「このクラブは基本的に球が上がるのでヘッドスピードが速い人でもそれほど速くない人でも大丈夫だと思います。それよりもスウィングプレーンで合う、合わないがはっきりします。アウトサイドイン軌道で悩んでいるスライサーであれば、かなりの恩恵を受けるはずです。クラブ全体の加速感はすごくありますし、タイミングが取れれば、飛距離もしっかり出ますし」と話す。

なお、ヘッドスピード42m/s前後で5球を打っての平均は下記のとおり。

ボール初速●61.1m/s
打ち出し角●14.0度
スピン量●2384rpm
キャリー●224.4Y
総飛距離●245.7Y

総評

「先週と今週、同じヘッドなのに真逆のイメージ。ということは、このヘッドはシャフトの良さをストレートに引き出すヘッドなのだと思います。シャフト自体もつかまりのいいのは間違いないのですが、このクラブの特長はグリップエンドにあるウェイトだと思います。ウェイトのおかげでシャフト全体がはしってくれるので、しっかりつかまってくれてロングドライブを可能にしています。ただし、ひとつ注意点があり、このドライバーでスライスが消えたとしてもフェアウェイウッドは変わらずスライスする可能性が高いということです。それはカウンターバランスが強すぎ、14本のクラブとして流れから逸脱するからです。このクラブを使用する際は、フェアウェイウッドはもちろん、ハイブリッド、アイアンといったフルショットするクラブに関して、同じようにカウンターバランスを利かせたほうがいいと思います。全体を同じように振れますし、全番手でスライス撲滅は約束されたようなものだと思います」(堀越)

画像: 写真左/「手が前に行ってしまいスライスしてしまう方にお勧めできる組み合わせです」 写真中・右「ツアーロックを入れる事で手元が重くなり、手が前に行くことを防いでくれます」(ともに堀越プロ)

写真左/「手が前に行ってしまいスライスしてしまう方にお勧めできる組み合わせです」
写真中・右「ツアーロックを入れる事で手元が重くなり、手が前に行くことを防いでくれます」(ともに堀越プロ)

ブイテクゴルフ

画像2: ロッディオヘッド×TPTシャフト。「スライサーなら一度は試してほしいスペック」(堀越プロ)【人気ゴルフ工房のぶっ飛びドライバーをキング・オブ・試打が語る】

トラックマンレンジの他、練習場にてフィッティングが可能なゴルフ場だ。

住所/〒619-0246
京都府相楽郡精華町菱田山ノ下27-1精華ゴルフセンター内
営業時間/平日:10:00~19:30・土日祝: 10:00~18:00
電話番号/0774-39-8805

THANKS/クレアゴルフフィールド

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