ひと味違う“クーペ”の世界
覚えてらっしゃるでしょうか。バブル期、日本でも「スペシャルティカー」なるジャンルが流行ったことがありました。車名でいえばトヨタ ソアラやホンダ プレリュード、日産レパードなどなど。
ベースは定番の高級4ドアセダンで、それらが持つしっかりボディや上質かつパワフルなエンジン、デキの良い足回りを使いつつ、より贅沢な2ドアの流麗フォルムで包み込んだ貴重なジャンル。
一応4~5人乗りですが、後席への乗り降り性やスペースではセダンに一歩譲り、その分見た目の美しさや室内の作り、何より「パーソナル性」が自慢でした。
言わばポケットのない美しいスーツのようなクルマであり、バブル期だからこそ持てはやされたジャンル。実際、その後日本では長く続く不景気もあってか2ドア車や3ドア車は敬遠され、スペシャルティカー自体がほぼ消え去りました。代わりに多人数乗車のミニバンやSSUV、5ドアハッチバックが普及したのです。
しかし貴族階級が存在する欧米ではしっかりと生息。その最新モデルがこの新型メルセデスベンツCLEクーペです。
プラットフォームは最新CクラスやEクラスと同じエンジン縦置きのMRAⅡ。パワートレインは最高出力204PS、最大トルク320Nmの2リッターターボに小型発電機兼モーターを組み合わせた48Vマイルドハイブリッド。9速ATと相まってWLTCモード14.5㎞/Lの低燃費を発揮します。
エクステリアは全長4.8m超の伸びやかかつセクシーな2ドアクーペフォルム。一流ゴルフ場はもちろん、高級ホテルに横付けしても恥ずかしくありません。車内は前後に大人4人が座れ、後席の頭上こそ狭めですが足元空間は十分。ゴルフカーとしては、トランク容量420Lと広い割に2バッグが限界。しかしリアを倒せば3人乗車の3バッグ収納は可能。
走りはメルセデスセダン譲りの地面の凹凸をならして走るような極上のフラット感と磐石のステアリングフィールが素晴らしい。電子制御の後輪操舵を搭載し、サイズの割に小回りも利きます。
先進安全性も最新レベルで長距離のゴルフデートはもちろん、帰りに高級リゾートホテルで1泊するのも悪くない。
価格は850万円とお高いですが、ほかとはひと味違う“贅沢”ゴルフデートを堪能したいならばコレですから。
撮影車種/メルセデス・ベンツ CLEクーペ
全長×全幅×全高/4850×1860×1420mm
メーカー希望小売価格/850万円~
撮影/望月浩彦
撮影協力/カメリアヒルズカントリークラブ
※週刊ゴルフダイジェスト2024年6月4日号「至高のゴルフCARを探せ 小沢コージの只今コージ中!」より