2024年のソニー・オープン・イン・ハワイでキーガン・ブラッドリー、アン・ビョンフンをプレーオフで下し7年ぶりPGAツアー通算2勝目を飾ったグレイソン・マレーがチャールズ・シュワブチャレンジ3日目の朝に亡くなった。第2ラウンドの2ホールを残し途中棄権した翌朝の悲劇を「自殺だった」と認めたマレーの両親は「事実を認めなければならない現実は悪夢のようだ」と悲痛な思いを声明で打ち明けた。

ベン・ホーガン所縁のコロニアルCCで開催されたチャールズ・シュワブチャレンジは3日目に63の猛攻で2位に浮上したスコッティ・シェフラーをジュニアの頃から試合で顔を合わせてきた同じ年(27歳)のデービス・ライリーが5打差で破り、昨年のチューリッヒ・クラシック(ペアマッチ)以来のツアー2勝目、個人戦では初の栄冠に輝いた。

画像: 30歳の若さでこの世を去ったグレイソン・マレー(写真は2024年のマスターズ 撮影/Blue Sky Photos)

30歳の若さでこの世を去ったグレイソン・マレー(写真は2024年のマスターズ 撮影/Blue Sky Photos)

2位タイのシェフラー、キーガン・ブラッドリー、4位のコリン・モリカワ、3人併せてメジャー5勝の強豪を破ったライリーは「苦しいラウンドでしたが耐えに耐えました」と達成感を滲ませた。

しかし優勝インタビューでマレーの話題が出ると表情を曇らせ「残念です」と声を落とした。

マレーはアルコール依存症やうつ病に苦しんでいたことを包み隠さずメディアにも公表してきた。それを乗り越え昨年コーンフェリーツアー(下部ツアー)で2勝を挙げPGAツアーに再び昇格すると今年のはじめハワイで超ロングパットを沈めてトロフィーを掲げ過去のすべてを払拭し完全に立ち直ったものと思われていた。

当初ツアー側は死因を明らかにしていなかったが、マレーの両親が自殺だったことを認めライバルたちに衝撃と悲しみが広がった。

予選ラウンドを同組でプレーしたピーター・マルナティは第3ラウンドを終えCBSテレビのインタビューを受けると涙ながらにこう語った。

「辛い過去の事実を彼はオープンにしてきました。それを克服してあるべき場所に戻ってきたと思っていたのに。悲し過ぎます」

普段から仲が良く「今年は練習ラウンドを何回か一緒にした」というリッキー・ファウラーは「言葉を失いました。本当にショックです。彼とはたくさんの楽しい時間を共有してきました。自分にできることはなかったのかと思います。君がいなくなると寂しくなる」とXに綴っている。

他にも多くの選手、LPGAツアー、DPワールドツアーが哀悼の意を表し、スリクソン、ミズノなどのメーカーもコメントを発信した。

優勝すれば5億円、6億円を稼げる華やかな舞台の裏で起きた哀しい出来事。マスターズで一緒にプレーしラウンド後「彼(マレー)を抱きしめ、いかに僕が彼を誇りに思うかを伝えた」というバッバ・ワトソンは「人の心は繊細で壊れやすいもの」という。

人間の心は計り知れない。心より冥福をお祈りします。

ソニー・オープン・イン・ハワイ優勝時の記事はこちら↓

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