マスターズ前週のバレロテキサスオープンで優勝。マスターズ最後の1枠を手に、メジャー2回目の出場を果たしたのがアクシャイ・バティアです。
昨年4月、「今シーズン大化けしそうな選手」として紹介しています。当時はプエルトリコで2位になり、スペシャルテンポラリーメンバーに。これはノンメンバーが昨シーズンの150位のポイントを上回ると、推薦出場が何試合でもできるシステム。
その後、7月のバラクーダ選手権で優勝するなど、今シーズンは晴れてシード選手として22歳のインド系アメリカ人は戦っています。
さて、2勝目となったテキサスオープンですが、前代未聞のドタバタ劇でした。初日からトップを走り、2位のデニー・マッカーシーとは4打差で最終日を迎えたバティア。フロント9では、さらにリードを5打差に広げ、誰もがバティアの2勝目を確信していました。
ところが初優勝を狙うマッカーシーは、10番でバーディを奪うと、12番からも怒涛の7連続バーディ。長いパットを入れるはチップインするわ、パー3ではベタピンにつけるわ。17番でバティアをつかまえると、とうとう18番ではバティアより先にバーディパットを沈め20アンダーに。バティアもマッカーシーと似たような距離(3m半くらい)を沈めてガッツポーズ。ここで異変が起きたのです。
レフティのバティアは、利き手である左肩をしきりにさすります。4日間首位を守り続けた筋肉痛かと思いきや、なんとプレーオフに入る前に婚約者のプレスリー・シュルツさんに打ち明けたのは「肩が外れちゃった!」というものでした。
それでもマッカーシーの3打目がクリークにつかまり、残り100Yをグリーンに乗せさえすればバティアの優勝はほぼ確定。ところが、ここでトレーナーが登場。なんとここから治療に入るのです。治療を終えたバティアは、これを確実にグリーンに乗せバーディで優勝を決めたのですが、現地の放送席も対応に困惑する、なんとも間の悪い中断でした。
実はテキサスオープンは、前述の婚約者と出会った思い出深い大会でした。
前回も紹介しましたが、シュルツさんはTikTokの世界では有名人。この有名人にSNSのダイレクトメールで、いわゆる”ナンパ”したのがバティアです。ゴルフはまったく知らない彼女ですが、一昨年、優勝したコーンフェリーツアーでキャディを務めもしました。今回もグリーンサイドで、マスターズの89番目の出場権獲得を見守りました。
19年にはウォーカーカップに、ジョーダン・スピースの記録を抜いて史上最年少の17歳で出場。エリートの道を歩きますが、大学に進まず、すぐにプロ転向したことから、その将来を危惧する声も聞かれました。しかし、その実力をようやく発揮しつつあります。
ただボクが忠告したいのは、もう少し喜びを抑えたガッツポーズの練習でしょうか(笑)
※週刊ゴルフダイジェスト2024年6月4日号「さとうの目」より