●寝るときはマウスピース
歯には苦労しました。まだ現役バリバリの頃、前歯を2本亜脱臼しました。抜いて差し歯にするのは時間かかるし、何とかだましだましプレーして、オフに治しました。歯の状態が何にもない平時はそのありがたさがわからないもの。悪くなって落差を顕著に感じました。僕は噛み締める力が強いほうなので、歯が欠けたりもしていたんです。眠っているときも噛み締めるので、寝るときはマウスピースをします。歯の嚙み合わせの問題などで、左右どちらか悪くなると間違いなく体のバランスが崩れます。それは正中線(体の前面、または背中の中央を通る線で鼻の下の溝の延長線)の、左右のバランスが崩れるからです。正中線のバランスが不均衡になると、当然スウィングのバランスも崩れます。歯はほんとに大事。僕は20年前に5本インプラントにしましたが、その時の歯科医が宇都宮にいるので、今でも具合が悪くなったら、今住んでいる大分県別府から通っています。それくらい歯には気を配っています。(鈴木規夫、プロゴルファー)
●食べたら洗面所で30秒ほどすすぎ
毎食後歯磨きはしていますが、ラウンド時のランチの際や仕事の出先では時間がないことが多い。そこで、私はマウスウォッシュ「モンダミン」の小さいボトルを常に携行。食べたら洗面所で30秒ほどすすぎます。虫歯や歯肉炎、口臭予防などトータルケアができると謳われている「プレミアムケア」タイプを愛用。新幹線の洗面所などでも使います。もし、災害などが起きたときも、液体タイプなら、水ですすぐ必要もないので使えると思って、いくつも常備しています。(50代男性、神奈川県)
●僕はしゃべることも商売なので歯は大事
自分の歯の状況から。奥歯2本はブリッジ、前歯は1本欠けたのでジルコニアで補強しているのを除けば、あとは全部自歯です。ジルコニアはセラミック治療の一環で人工ダイヤモンドと呼ばれるほど強度が高く、審美性にも優れている歯科素材といわれています。夜寝る時にはマウスピースを着け、年2回のクリーニングも欠かしません。歯には十分気を使ってメンテナンスするようにしています。
僕はしゃべることも商売なので歯は大事です。というのも、もし入れ歯になったら発音に問題が生じるから。歯が悪い人は体にゆがみが出るというほど悪影響を及ぼします。若い人には親知らずなど不要な歯は抜き、歯並びは矯正し、嚙み合わせをしっかり保って、一生ものにしていくことが肝要だということをアドバイスしたいですね。最近の子どもたちは甘いもの、やわらかいものを食べて育っているだけに、噛む力が弱いといわれています。歯や口の中の正しい環境を若い時から作ってやることが大事だと思います。(タケ小山、テレビ解説者・プロゴルファー)
●嚙み合わせが悪く、気が付くと体が左に傾いている
上の歯と下の歯の噛み合わせが悪い。下がやや左にずれており、気が付くと体が左に傾いている。因果関係は不明ですが、頭痛が多く、歯の影響もあるかもしれません。子どもの頃、親から矯正するかと言われたが怖いし、面倒と思い拒否。もう50歳になってしまったので、今さらするのも……と思っている。子どもの頃しておけばよかったと後悔ばかり。(50代女性、千葉県)
●ゴルフ仲間に、歯が欠けるほど噛み締める人がいる
歯の状況は自歯19、インプラント下側4、上1。セラミックは下側4と惨憺たる現況です。治療歴としては、29歳で部分入れ歯2カ所、56歳でインプラントを4本。60歳で1本に不都合が生じ、手術を受けました。医者には「マウスピースを着けて寝るように」と言われていますが、継続実行はできていません。ゴルフ仲間に、スウィング時、歯が欠けるほど噛み締める人がいるのですが、一時はプレー中もマウスピースを着用していました。ただ、やはり違和感が生じて今は着けていません。(70代男性、東京都)
●つまようじでシーハーは……
年を重ねてから、明らかに歯茎がやせてきて、食べ物が歯と歯の間に詰まりやすくなった。おじさんたちが食後につまようじでホジホジしている理由が、やっとわかりました。でも、私は人前ではシーハーしたり、つまようじを使ったりはしません。やはり、あんまり人に見せて美しい姿ではないように思います。(40代女性、兵庫県)
●一生、自分の歯で食べられるようにケアしていきたい
今のところ、すべて自歯です。50代後半に歯周病治療で歯茎を切除し、クリーニングを受けました。その後は歯医者の指導のもと月イチペースで掃除しながら、歯周ポケットを磨くようにしました。しかし、力加減が難しく、磨く箇所にブラシが入れられず手こずっています。指導で初めて知ったのですが、歯の表面をこすっても意味はなく、歯茎と歯の間にプラーク(歯垢)がたまらないようにすることが肝要なんですね。これまでの歯磨きは何だったんだろうと思ってしまいます。ゴルフでは食べることも大いなる楽しみ。人一倍食いしん坊のうえ、あちこち走り回って腹が空くので、一生、自分の歯で食べられるようにケアしていきたいと思っています。(70代男性、埼玉県)
●噛み締める力はパワーになります
ゴルフに限らず、スポーツ選手の歯の摩耗は一般の人に比べて激しい。私の患者さんにプロ野球の西武の現役、OBの方が数人いますが、定期的にマウスピースを送っています。やはり噛み締める力が強いので、すぐに穴が開くのです。プレー中だけでなく、睡眠中も着けているのですり減るのも早いのです。ボクシングではプロテクターとして着けるのはよく知られていますね。最近ではラグビーでも着けるのが常識になってきています。マウスピースは個人の歯形にフィットするように、薄いものから厚いものまで用意できるので、行きつけの歯医者さんに相談してみてください。透明な素材のマウスピースならば、パッと見ても着けているのがわからないほどです。噛み締める力はパワーになります。ゴルフでもインパクト時、上下をしっかり噛み締められる人はヘッドスピードが速い。
一時期、尾崎直道選手が「マウスピースを着けたら飛ぶようになった」と公言して、ルール違反になりましたが、歯の摩耗を防ぐにはマウスピースはベターな処置だと思うのですがね……。スポーツだけでなく、歯の嚙み合わせは普段の生活でも重要な課題です。噛む力が弱まると顔が上下に短くなり、シワも増えます。立っているバランスも悪くなり、正しい姿勢で歩けなくなることにもつながります。歯に自然治癒はありません。治療が遅れれば遅れるほど悪化し、費用もかさみます。不都合が生じたら迅速に歯医者に行ってください。(井上達さん、歯科医・競技ゴルファー)