メジャー勝利は13年のマスターズだけだが、思えばどの試合にもスコットの姿はあった。08年にタイガー・ウッズがトリーパインズで栄冠に輝いたとき予選ラウンドをフィル・ミケルソンと一緒に回ったのはスコットだった。
当時世界ランク3位の彼は大会前に車のドアに手を挟み右の小指を骨折。出場が危ぶまれたが不仲が伝えられていた世界ランク1位のタイガーと2位のミケルソンの間に挟まれ両者と笑顔で会話し中和剤の役割を果たした。
連続出場がスタートしたのは01年の全英オープン。20代の頃は予選落ちも多かったがこれまで92試合連続でメジャー大会に出場し、うち優勝1回、2位2回、3位3回、トップ10は18回を数える。
最終予選では36ホールを終え通算7アンダー4位タイ。第1ラウンドで64をマークしトップに立ったときには安泰かと思われたが第2ラウンドの後半崩れ4つ目の椅子をめぐりデービスとのプレーオフへ。
すると1ホール目でスコットは鮮やかなチップインバーディを奪いデービスにプレッシャーをかける。しかしデービスも負けていない。4.5メートルを沈めバーディで応戦。
2ホール目は両者パー。迎えた通算39ホール目でスコットはティショットをフェアウェイバンカーに入れパーオンならず。グリーン外からのバーディトライは50センチ足りずデービスが滑り込みで最後の切符を手に入れた。
長い1日の終わりスコットは爽やかな笑顔でデービスと握手を交わした。相手の健闘を讃える姿は神々しいほど。
とはいえスコットのメジャー連続出場が完全に途切れたわけではない。ウェイティング1番目なので次週欠員が出れば繰り上がりで参戦することができる。
スコットのいないメジャーを見るのは少しほろ苦い。
逆境が思わぬ好転を生むこともある。ツアー14勝、43歳のベテランにはもうひと花咲かせて欲しいものだが……。