勝みなみ、渋野日向子や小祝さくらなど多くの選手が活躍する黄金世代のなかで、2018年のプロテスト合格から最短記録の23日で優勝を飾り”黄金ルーキー”と称され、父の充さんと父子鷹の二人三脚でツアーを転戦していました。
当時書いたインタビュー記事でよく覚えているのは「予選落ちして、テレビでその試合をみると、第三者的にプレーを見られるんですよね。(そうすると)自分が無理なことをしていたのがわかる。上手い人たちは簡単にプレーしているのに、自分たちは無理にグリーンを狙って難しいところに外しているよね、と。本当に失敗から学ぶことが多い」と話していたこと。
あれから約6年の間に2勝目もありましたが、23年はスウィングと体の不調に悩んでいたと大会期間中の囲み会見で話していました。
昨シーズン途中からドローからフェードヒッターにチェンジしたことをきっかけに、ショットが上向きになるもシード獲得までには至らず、QTは父の充さんがキャディをして5位で終え、前半戦の出場資格を得て参戦していました。
オフには、体に無理のないスウィングをトレーナーと取り組みフェードを磨いてきたことで、不調を脱したというスウィングを見てみましょう。
前傾姿勢に沿って上げ、クラブを立てて振る
171センチの長身を生かし高く構えたアドレスから、前傾姿勢を崩さずにアップライトに上げていきます。
フェードを打とうとしてダウンスウィングの早い段階で体が開くのは厳禁です。大里選手のようにクラブが地面と平行な位置に下りて来るまで、上体が開かない点がポイントです。
そのためには、左足でしっかりと地面を踏み込み、左股関節を軸にターンする意識を持つと右腰が引けずわずかにターゲットの左に出てターゲットに落ちるフェードボールが打てるようになります。右腰が引けるとカット軌道が強くなりスライスになってしまいます。
コンビを組んだ島中大輔キャディは「ロフト30度の6UTをカットに打った球が、ラインが出て距離感も抜群だった」と振り返ります。スチールシャフトを組み合わせたUTでもアイアンと同じように自然なフェースローテーションでボールをつかまえフェードボールを打っていました。
大里選手にとっては、アップライトな軌道がナチュラルな体の使い方で体に負担が少なく再現性も高くなったことで、強い気持ちを持って難しいピンを攻め続けたショット力に現れていました。
近い将来の4勝目と「AIG女子オープン」(全英女子オープン)での活躍に期待しましょう。
写真/有原裕晶