全米オープンが開幕し、大会初日ブライソン・デシャンボーが、首位に並ぶローリー・マキロイとパトリック・カントレーに2打差の4位タイと好調な滑り出しを見せた。そういえばデビュー当時、ハンチングを被っていたが最近はLIVゴルフの所属チーム“クラッシャーズGC”のロゴがついたキャップを被っている。舞台のパインハーストNo.2は99年に同じ大学出身で「憧れの」ペイン・スチュワートが優勝しガッツポーズが銅像にもなっている所縁のコース。だが今週もハンチング還りはなさそうだ。

トレードマークだったハンチングからキャップに変わったのは22年シーズンがハワイで開幕したとき。前年10月に世界ロングドライブ選手権でベスト8に入ったのが転機だったようで「人生のページをめくって新しい章を開きたい」とキャップを被ることに決めた。

画像: 全米オープン初日を4位タイで終えたブライソン・デシャンボー(撮影/Blue Sky Photos)

全米オープン初日を4位タイで終えたブライソン・デシャンボー(撮影/Blue Sky Photos)

「常に進化したいし変わり続けたい。自分にとって何が一番心地いいのか、それが一番重要だと思った。心境の変化というかちょっとしたこだわりだね」

ハンチングといえばベン・ホーガンとペイン・スチュワートが有名だ。デシャンボーも「ホーガンは史上最強のボールストライカー。僕もああなりたいと小さい頃から憧れていた。大学(サザンメソジスト大)の大先輩スチュワートも憧れの人。2人のスタイルを引き継いだ」といったもの。

画像: 2020年のデシャンボー。当時はハンチングがトレードマークのひとつだった(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

2020年のデシャンボー。当時はハンチングがトレードマークのひとつだった(写真は2020年のWGCメキシコ選手権 撮影/姉崎正)

生前スチュワートはハンチング&ニッカボッカーズスタイルの誕生秘話をこう語っていた。

「ある日トーナメント会場の練習場で球を打っていたら隣の打席にやってきた選手が僕と全く同じ赤と白のストライプのポロシャツとベージュのコットンパンツを履いていた。それが我慢できなくてね」

画像: ハンチングスタイルが有名で、デシャンボーにとって大学の大先輩でもあるペイン・スチュワート(写真は1988年のVISA太平洋クラブマスターズ)

ハンチングスタイルが有名で、デシャンボーにとって大学の大先輩でもあるペイン・スチュワート(写真は1988年のVISA太平洋クラブマスターズ)

他人とお揃いのウェアは絶対にイヤだ。そう思ったスチュワートはその日着ていた服を迷うことなくゴミ箱に投げ捨てた。

新しいスタイルを模索しているときオーストラリアで出会ったのが日本ツアーでもプレーしたスチュワート・ジン。ゴルファーらしからぬハンチ&ニッカボッカーズのおしゃれな出で立ちに「これだ!」と閃き取り入れたのだという。

スチュワートは長年NFL(ナショナルフットボールリーグ)と契約しておりトーナメントに訪れた先々でその地域のチームカラーを身につけ試合に出ていた。

日本でプレーするときは日の丸をイメージし赤いハンチングとニッカボッカーズに白いポロシャツを着た気遣いの人。

スチュワート所縁のパインハーストでデシャンボーがオマージュの意味を込めたハンチング還りをすることはないようで少し寂しい。

※2024年6月14日12時49分、一部加筆修正しました。

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