シャーロック・ホームズ生みの親、アーサー・コナン・ドイル(1859~1930)が大のゴルフ愛好家だったことは、意外と知られていない。
画像: クロウボラビーコンGC

クロウボラビーコンGC

英国のコース巡りが趣味で、約300コース(うちリンクス100コース)を踏破したJGAゴルフミュージアム参与の武居振一氏は、コロナ禍明けの今春に渡英。今回楽しみにしていたというのは、ロンドンから東南の郊外にあるクロウボラビーコンGCを訪ねることだった。

同GCはキース・バクスター著の『トップ100ゴルフコース・イングランド』の93位。コメント欄に「このコースは誰が造ったのか? シャーロック・ホームズに任せるべきだ」とあり、武居氏はこの一節が気になって再訪したというのだ。

実は10年ほど前に立ち寄ったときにはそんなこと露知らず。平坦で魅力を感じず早々と立ち去ったという。

だがクラブハウスに入ると、歴代キャプテンのボードにはコナン・ドイルの名が。同GC設立は1895年、最初は9ホール、後に18ホールが造られた。イーストサセックスの南斜面に横たわり、遠大な景色で知られるヒースランドコースである。訪問時、天気は湿りがちだったが、ラウンドすると同GCが高く評価されているのがよく理解できたという。

「自然の起伏を残す地形を利用し、ドラマチックでメモラビリティに富むホールを生み出すルーティングの妙に感服させられた」と武居氏。

設計者は誰なのか? ヘッドプロに聞くと、「それは名探偵さ」とニヤリ。

1927年にアリスター・マッケンジーの手で6ホールの改造とルートプランが変更され、その後ハリー・コルトの手も入っている。

そして記録は残っていないが、口伝としてドイル氏がマッケンジーの設計に携わっていただろうと伝えられる。同卿はカナダの名設計家スタンレー・トンプソンからコース設計の教えを受けていたのは事実。

スポーツ万能でクリケット、ボクシング、そしてゴルフも練達の腕前でキャプテンの座についたのは前述の通り。医師でボーア戦争に参戦しているのはマッケンジーと同じだ。

同卿の足跡。4番ホールには第一次世界大戦で戦死した息子を悼むモニュメントが建立され、2番ホール近くのウインドルシャムマナーに居を構え、ここの書斎からハウスを眺め、時折覆う霧からのインスピレーションで、ホームズシリーズ『バスカビル家の犬』、霧の名シーンが紡ぎ出されたという。

“シャーロキアン”ならずとも訪ねていってみたくなるコースであろう。

※週刊ゴルフダイジェスト2024年7月2日号「バック9」より

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