2024年6月20~23日、ワシントン州サハリーCCで海外メジャーである全米女子プロが開催された。日本からは12人の選手が参戦し、山下美夢有が見事2位タイでフィニッシュ。パリオリンピックの内定を手にした。キャディとして帯同したのは、キャディ歴9年の藤野圭祐氏。山下美夢有をはじめ渋野日向子、西村優菜、稲見萌寧、西郷真央などを支えた藤野氏から見た山下の強さ、開催コースの特徴を聞いた。

高い木に囲まれた戦略性に富んだ難コース、攻略の糸口はショットの落としどころ

画像: かなり高い木に囲まれている

かなり高い木に囲まれている

会場のサハリーCCは、一言で表すなら狭くて細長く、木が邪魔になるコース。50メートル近くあるんじゃないかと思うほど高い木に囲まれていました。

左右どちらのドッグレッグもあることも相まって、ティーショットをフェアウェイに落としても木が邪魔でグリーンを狙えないところも多くありました。

また、フェアウェイを真ん中で分けた左右で、芝の目が順目と逆目に分かれていたので、ティーショットからピンポイントで狙ったところに打っていかないとバーディどころかパーも難しくなってしまうというシチュエーションでした。

風も一定ではなく、ホールによっては木に当たって逆風になったりよく吹き抜けていたり。狙いどころを決めるにあたって風を読むことも必要でした。

ラフはかなり粘っこく、入ってしまうと思うようなキャリーはなかなか出せないような状況。出ても木が邪魔でサードショットですら狙いづらいところもあったので、とことん刻むのかとことん突っ込んで攻めていくのかの判断が重要でした。

グリーンは傾斜も強いうえ、ところどころマウンドがあって、ざっくりですが両サイドが高くてセンターが低くなっているような形状。ショートサイドに外すとほぼ寄らないところが多かったという印象です。ピンを狙ってもチャンスにつかないような曲者でした。

ティーショットもセカンドも、どこを狙っていくのか。ボールの落としどころを決めるのに一番気を使った4日間でしたね。

画像: 慎重に落としどころを決める藤野キャディと山下美夢有

慎重に落としどころを決める藤野キャディと山下美夢有

ホールインワンをしかけた最終日の17番ですが、あのホールは手前からグリーン右まで繋がった大きな池があり、どこのピンポジションであってもグリーン手前をキャッチしてセンター狙いで行こうという話をしていました。優勝したエイミー・ヤン選手も最終日は池に入れていましたし、畑岡奈紗選手、古江彩佳選手も池に入れた日があって。それくらいシビアなホールだったんですが、上手く行き過ぎたくらい最高のショットでしたね。

山下美夢有の強さは冷静に自分のペースを作れるところ

練習ラウンドと本戦の4日間と山下選手を見ていましたが、終始落ち着いていて物怖じしない姿はさすがでした。自分の1打1打に集中できる強さは本当にすごいと思います。最終日最終組、しかも海外のメジャー大会で、普通は空気に飲まれてしまいそうなところなのに、自分の“この1打”というのに集中できるのはかなりメンタルが鍛えられているなと。どの試合を担いでいてもその強さは感じます。
もちろんいい組でしたし良い流れもあったとは思いますが、彼女は常に自分でリズムが作れる選手だなと思っています。

画像: 山下美夢有

山下美夢有

ショットの精度も素晴らしかった。狙ったところにしっかり落とせていたお陰で安定したスコアでプレーできていました。飛距離のアドバンテージがある選手ではありませんが、ドッグレッグのホールでは他の選手はフェアウェイウッドやユーティリティで刻む選択肢を取っていたり、飛ぶ人が有利なコースではなかったというのも良かったのかもしれません。ショットの精度で勝負できるコースで、そのコースを見事に攻略したなという印象でした。

画像: 最終ホールで見事バーディパットを沈め共に喜ぶ藤野キャディと山下美夢有

最終ホールで見事バーディパットを沈め共に喜ぶ藤野キャディと山下美夢有

前述したように戦略性が高いコースでしたが、攻略しがいがあってめちゃくちゃ楽しいコースでもあり、本人も楽しんでプレーしていました。今季はまだ優勝はありませんが、常に上位にいる安定感のお陰かオリンピックも内定しましたし、せっかく行くからには頑張って爪痕を残してきて欲しいですね。

PHOTO/Getty Images

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