プレーヤーとキャディの命を守る"プレー制限"
昨年、東京GCで行われたKGA主催の7月月例競技で、参加者の1人が最終ホールをプレーしている最中に倒れ、病院に搬送されたものの亡くなるという事故があった。
今年もすでに猛暑日があり、すでに群馬県のあるコースでは1日で5回救急車を呼び、そのうち1人は入院となったという。
この手の話は近年増加しており、そこで冒頭のガイドラインが定められたのだが、「期間によるラウンド制限」を打ち出したのが、埼玉県にある武蔵CCだ。同CC理事会において検討した結果、キャディならびにプレーヤーの安全確保の観点から”プレーの制限”を設けたというのだ。
内容を要約すると、6月21日から9月20日の期間は、1ラウンド限定およびスループレーの禁止と制限。また期間外にWBGT(暑さ指数:人体と外気の熱収支に着目した指数)の値が28を超えた場合は、キャディ同伴は1ラウンドまでとする。また1.5ラウンドを希望する際には別のキャディを手配するか、最終ハーフはセルフでのプレーとなる。ただし安全面を考慮し、1.5ラウンドのプレーは会員を含む2名以上としている。
高温時におけるプレーの制限についても定めた。WBGT値が33を超えた場合には雷接近時と同様の対応を採用。ただちにプレーを中止し、クラブハウスへ避難することとした。避難後は1時間ごとに計測し、WBGT値が33未満になったら再開するとしている。
一方、茨城県にある龍ヶ崎CCでも「高温時における倶楽部運営変更」を決定。その内容は4項目。
①WBGT値(※)が33以上になった場合、原則プレー続行中止。
②7月17日~9月16日の期間は原則1.5ラウンドを禁止。
③同期間中はコース売店で5分間の休憩を取ること。
④ハーフ終了後の昼食休憩は50分を基本とする。
「WBGT値が33以上になった場合、プレーを中止します。昨年は8月に33以上になった日が5~6日あり、今年はそれ以上の予想もあるので警戒しています。当倶楽部はカートを使わない歩きのラウンドなので、コース内3カ所で毎分、地元気象台で毎時のWBGT値をチェックし、万全を期します」(同CC)
ただ、ゴルフ場がどんな対策を講じても個人の体調までは測れない。何か不調があればプレーを止める勇気を持つことが、熱中症を防ぐための要諦だろう。
※WBGT値は環境省の表記に準じました。
※週刊ゴルフダイジェスト2024年7月16日号「バック9」より