●キャディにも「早く乗って」と勧める
カートのフェアウェイ乗り入れを日本で最初に取り入れたのは、確かPGMだったと記憶しています。初代社長だった広瀬光夫さんが自著「ゴルフルネッサンス」のなかで書いていることなんですが、ゴルフプレーはグリーンに向かって縦に進むのが常道。カート道路だけ走るのではプレーヤーは横に移動しなければならず、運動量も増え、時間もかかって経営効率も悪くなると。広瀬さんは長く米国にいたので、それが当たり前と思っていたのだと思いますが、僕も米国のゴルフ場にいたので理解できます。
なぜ米国ではできて日本ではできないか。まず芝の問題があると思います。米国では芝研究は大学で盛んで、新種発見にしのぎを削っています。つまり米国の芝はカートで踏まれても大丈夫なように管理されているんです。翻って日本では高麗芝という丈夫な品種が主流。だから本当はフェアウェイに乗り入れても平気だと思います。日本国内にある米軍キャンプのゴルフ場を見れば明らかです。ただ、日本の場合、4人乗りカートが多く、重いので芝に負担がかかるのも確か。米国のように2人用カートにしたらどうでしょうか? ただ、雨が降ったら乗り入れ禁止は米国も同じですよ。
日本は歩きのプレーが原則のイギリスからゴルフが到来したので、そうなったんでしょう。キャディがカートに乗らないゴルフ場もありますが、それはキャディが乗らないのは美徳、キャディはかしずく者という旧弊な思考。僕は「早く乗って」と勧める派です。そうしなければ、この危険な暑さに対処できませんよ。(タケ小山、テレビ解説者・プロゴルファー)
●暑い夏はカートのコースへ行くべき
友人のラウンドデビューが7月、手引きカートで歩きのコースだったそうです。酷暑の折、右往左往し、熱中症寸前だったとか。なんで仲間はせめてカートのコースにしなかったんでしょう。(40代女性、東京都)
●問題になったタレントのゴルフ動画を見ました
タレントが談笑しながらカートに乗り、後ろのほうに走っているキャディが映り込んでいましたね。撮影の場合、カートをスタッフ用に何台か用意するでしょうから、そこにキャディを乗せればいいのにと思いました。キャディさんが倒れたらどうしたんでしょうか。(40代男性、東京都)
●芝の保護のため乗り入れはあまり賛成できません
ホームコースで乗り入れOKの時もありますが、急ハンドルなど切らないよう丁寧に運転しています。しかし高齢者や介助が必要なプレーヤーもいるので一概にダメとは言えないでしょうね。(50代男性、埼玉県)
●ゴルフをスポーツだと考えるなら、歩きが原則!?
カートのフェアウェイ乗り入れ、これからのトレンドになるでしょうね。団塊世代のつなぎ止め、プレー時間の短縮になるので、コース側は組数を多く入れられます。ただウチ(栃木県・宮の森CC)もそうですが、現状が電磁誘導カートだと難しいですね。また、もしフェアウェイ乗り入れが実現すれば、また別の問題も発生します。プレーヤーのマナーの良し悪しでコースの状態が左右されるかもしれません。グリーンに乗り入れる者が現れないとは限りませんし、最近は初心者だけのパーティもあり、悲惨なことになりかねません。
また2打目、3打目の地点までカートで行けるので、上手い人と下手な人の"格差"が広がると思います。上級者は手持ち無沙汰になるのでは。だから僕は「ゴルフをスポーツだと考えるなら、歩きが原則」と言い添えます。ちなみに、ウチではキャディがカートに乗るのはグリーンが終わって、次のティーイングエリアまで。進行の遅れを防ぐためです。フェアウェイではお客さんのサービスに努めます。(高橋五月、プロゴルファー)
●フェアウェイ乗り入れ禁止で良い
芝生が傷むし、ルートに気を使ってむしろ遅くなりがち。(50代男性、東京都)
●雨の日のみ乗り入れ禁止にすればいい
自分のメンバーコースは、カート道路が整備されていて、フェアウェイ乗り入れ禁止ですが、今の芝の状態ならばフェアウェイ乗り入れでもOKだと思う。ゴルフ場側は、芝の育成が心配だと思うけれど、芝は踏まれて強くなると思うので、雨の日などのみ乗り入れ禁止にすればいいのかなと思います。(70代男性、千葉県)
●キャディがカートに乗れないなんて時代錯誤
カート乗り入れ大賛成です。プレーのスピードも上がるし、コースの芝のためにもいい。昔は手引きカートでフェアウェイを踏んだので適度なコンパクションを保てましたが、最近は電磁誘導カートが増え、人の足で踏むだけ。そうなると芝がフカフカ、マット状になりやすく、ボールが沈み込んでプレーがアンフェアになりかねません。やはり芝には適度な〝圧必要だと思います。
それと、キャディがカートに乗れないなんて時代錯誤もいいところ。キャディが運転してリードすれば、プレースピードも上がるのに。あとスピードアップといえば、ホールアウトしたら、すぐクラブを持ってカートに乗り込むことです。次のティーに着いてから各々バッグに入れれば、1人1分ぐらいの短縮になります。これは学生たちにも口酸っぱく言っています。
札幌リージェントGCで開催された「パシフィック大学スーパーリーグ」は、フェアウェイにカート乗り入れOKでした。スピードアップで見ていても気持ちがいいものです。(田中徳市、法政大学ゴルフ部監督)
●カート乗り入れ問題はコース側の負担大!?
熱中症で亡くなる人もいる暑さでは、カートのフェアウェイ乗り入れは必須といっていいくらい。評判になれば集客しやすくなるでしょうし。進行も早くなり、プレーヤーは楽、従業員も仕事をしやすくなると思います。
ただ問題はコース側の負担ですよね。軽いタイヤに履き替えが必要だろうし、一定の経費はかかると思います。カートにキャディが乗ってはいけないゴルフ場も行ったことがありますが、ナンセンスだと思います。乗らないキャディさんに「なんで?」と聞いても口ごもるばかりで、気まずくなったこともあります。働く人が承知しているのならいいかもしれませんが、しっくりしません。大人の社交場なのだから、雇っている側はもっと大人の考え方をしてほしいですね。(髙橋勝成、プロゴルファー)
●カートのフェアウェイ乗り入れには一長一短がある
長所はカートが入ることによって、フェアウェイの芝が踏まれることです。現在の芝は生育が良く、伸びるとフカフカのマット状になります。それを押さえるのが上からの圧力。ところが、最近の電磁誘導カートだと、プレーヤーは満遍なく歩けません。マット状になるとランが出ず、飛ばなくなる。すると、特に年配の方はゴルフが面白くなくなり、ゴルフ自体をやめることになりかねません。
短所は、歩かないことによって、これまたゴルフの醍醐味を失う怖れがあることです。ゴルフは歩いている時間に戦略を考えたり、不安を抱えたり、人のプレーを見て自分を省みたりする時間が一番面白いゲーム。カート乗り入れはその楽しみを奪ってしまいます。
キャディがカートに乗る、乗らないはそのクラブで決めること。僕はアメリカに住んでいましたが、試合でも遊びでも例外なく、キャディはクラブハウスに入れませんでした。これは差別とかではなく、職業として区別しているのだと納得した覚えがあります。(水巻善典、プロゴルファー)
※週刊ゴルフダイジェスト2023年9月26日号「山を動かす~カートについて考えてみた②」より