気温だけでなく「暑さ指数」も確認したい
今年も猛暑の季節がやってきましたね。ちょうど一年前になりますが、埼玉県で行われたアマチュア競技で、プレーヤーが最終ホールのグリーンで昏倒し、そのまま息を引き取るという悲しい事態が起りました。
酷暑による熱中症が原因でした。あの悲劇を繰り返さないためにも、今回は改めて酷暑にゴルフをプレーする際に気をつけたい点について考えていきたいと思います。
昨年から気温や湿度を組み合わせた暑さの指標、「暑さ指数」(WBGT)がクローズアップされるようになりました。
「暑さ指数」は気温+湿度+輻射熱を合わせた指数で人体の熱収支に着目して定められた指標で、日向での体感温度に近い数値として、熱中症対策に有効な指標と言えます。
毎年のように訪れる酷暑。もうこれは避けては通れない気象現象とも言えます。関東エリアのコースでは酷暑対策として、夏場の「ヒートルール」を設けるところが増えて来ました。
コースによって違いはありますが、ほぼ共通しているルールは、
●WBGT 33を超えたらプレー中止及び禁止。
●WBGT31を超えたら注意勧告。
スループレーの禁止。(ハーフターンで30分以上の休憩を取る)
1.0ラウンド制限。(18ホール以上のプレーは禁止)
(公財)日本スポーツ協会の指標によれば、WBGT31以上で、「運動は原則禁止」
となっていますから、こうなるのは当然かも知れません。
さらに、
●プレー前にセルフメディカルチェック用紙への記入と署名を求める。
●夏限定で、シャツの裾出しを認める。
●プレー時間が長くなったとしてもコース売店での休憩を義務化。
など、今まで以上に突っ込んだ項目を設けるコースも出てきました。
特に名門と呼ばれ、ドレスコードの厳しいことで知られるコースの中にも「シャツ出し」を認めるコースが現れたことには衝撃を受けました。シャツの裾を出すことで体感温度が約4°下がるという効果があるそうですから、もっとそうしたコースが増えれば良いと思います。
これからの季節のゴルフは事前にコースの「ヒートルール」を確認した上で万全の対策をしてプレーして頂けたらと思います。
更に改めて注意するポイントを考えていきたいと思います。
①コース選び。
やはり内陸部より、沿岸部。総じて海に近いエリアの方が涼しく、湿度も低いようです。もちろん標高の高いところに位置するコースの方が涼しいですよね。関東なら軽井沢や河口湖エリア、那須高原、箱根近辺などが「避暑地」として知られていますね。
②プレータイム
この時期はとにかく早いスタート時間を取って、気温がピークを迎える12時~14時の時間帯を避けてプレーを終わらせてしまうのが賢明です。コースによっては4時台からスタート出来るアーリーバードの枠もありますので、これならかなり涼しい時間帯にプレー出来ます。
薄暮プレーもありかと思いますが、薄暮といっても17時近くにならないと気温が下がってきません。
自分とその日のメンバーの体力や、プレーしている時間帯の気温を想定してスタートタイムを取ることが重要だと思います。
③プレースタイル
出来るだけ体力の消耗を抑えるプレースタイルを選択したいものです。歩きではなく、乗用カート使用、出来ればフェアウェイ乗り入れがベターです。普段歩きプレーに慣れている方でもこの時期は要注意。
また、「なにがなんでも18ホール」というのもこの時期はちょっと考え物です。9ホールやってみてしんどい場合は、そこで上がるとか、はじめから9ホールのプランをチョイスして無理なくプレーするという選択肢もあります。また、身体がきついと思ったら無理して続けず、リタイヤする勇気も必要です。
そして怖いのが自分では自覚症状の無いケースです。出来るだけ同組のプレーヤーに目を配り、様子がおかしければ声を掛けて頂きたいと思います。
そうそう、キャディ付きプレーの場合にはキャディさんにも気遣いを。この時期はキャディさんにも大きな負担がかかっていて、倒れるケースも多いようです。そう、生命の危険を冒してまで続けるラウンドなど、あるはずが無いのです。
④体調管理
まずはしっかり朝食を摂ること。前夜もしっかり睡眠を取りたいものです。寝不足や空腹で炎天下のプレーはかなり危険だと思います。プレー中ももちろん、水分や塩分をしっかり補給して下さい。
経口補水液もどんどん進化して、携行しやすいタブレットタイプも出ているようです。
また、プレー後、ゴルフウエアのままで帰宅するというのもこの時期は考え物です。思った以上に消耗していることも多いので、出来ればシャワーを浴びて身体の火照りを鎮め、一息ついてから帰途につく、というほうが安心でしょう。
⑤暑さ対策グッズの活用
日傘、帽子、サングラス、とにかく日焼けは体力を消耗しますので、避ける努力をしましょう。特にサングラスで眼を守ると疲れ方が結構違います。
先ほどもありましたか、シャツの裾出しや高機能ウエアの着用など、ウエアを工夫することも有効です。氷嚢やアイスベスト、携帯型の扇風機などもフル活用して体温の上昇を抑えると良いと思います。
以上、まだまだ1か月以上は続く猛暑の季節。気温だけでなく、「暑さ指数」も確認し、安心、安全にゴルフを楽しんで頂けたらと思います。