数多くのクラブを手掛けてきた設計家・松尾好員と試打のスペシャリスト・堀越良和プロが最新クラブを打って測って研究する「ヘッドデータはウソつかない」。今回はテーラーメイドの「SIM MAX ドライバー」です。
シムマックスは、初速が出て、低スピン高弾道で飛んでいく
ロフト10.5度のモデルを、HS42㎧で試打しました。データを計測してみると、初速が62.4㎧、バックスピン量は1943回転。打ち出し角は15度弱で、トータル飛距離は245㍎でした。(堀越)
兄弟モデルの『SIM』に比べて打ち出し角が高く、やさしく球を上げてくれます。低スピン&高弾道で初速が出るので、飛距離性能の高さも納得です。
また、他メーカーの最新ドライバーに比べて、HSが1~2㎧は出ます。試打したときも、40㎧の感覚で振って、42㎧になるイメージ。ソール形状による空力性能の効果を感じます。
オフセンターヒットにも強く、トウ側に当たっても、許容範囲内に戻ってきてくれます。芯を外したときのヘッドのブレも小さいので、かなりお助け度が高く、それでいて左へのミスも怖がらずに振り抜いていけます。
装着されていた『TENSEI』のシャフトは、HS40㎧でも十分な打ち出し角を稼げて、低スピンで飛ばせます。世界屈指の飛ばし屋から、HSの速くない一般アマまで、飛びと安定を約束してくれる秀逸なドライバーです。(堀越)
ほぼ左にはいかないドライバー
クラブ重量は標準的ですが、クラブレングスがやや長いので、クラブ慣性モーメントがやや大きくなっています。(松尾)
前モデルのM6ドライバー同様に、アドレスではフラットなライ角度、オープンフェース、ヘッドは縦長形状かつ時計の1時2時方向の膨らみによって、左につかまりすぎるイメージはありません。
ヘッドのネック軸回りの慣性モーメントが非常に大きいのでダウンスウィングでのヘッドの返りが遅く、左へのつかまりすぎのミスが多い人でもフック系弾道にはなりにくく、フェード系弾道で攻めやすくなっています。
高弾道で飛ばしたい人、左へのミスを嫌う人
純正のSシャフトでもかなり軟らかめ設定なので、HS40㎧のゴルファーでも扱えます。バックスピンはM6より多めで弾道は高く安定しており、響かない低いインパクト音もプロモデルらしい感じです。(松尾)
【総合評価】 飛距離性能 5/つかまり 4/上がりやすさ 4.5/ミス許容 4.5/操作性 4 ※5点満点
ヘッド体積/460cc
ロフト角/9度、10.5度、12度
ライ角/56度
長さ/45.75㌅(TENSEIBLUE TM50)
シャフト/TENSEI BLUETM50(S、SR、R)、
ツアーADXC-6(S)、
スピーダー661エボリューションⅥ(S)、
ディアマナZF60
総重量/約298g(TENSEI BLUE TM50・S)
価格(税別)/7万3000円
※メーカー公表値
解説:クラブ設計家 松尾好員
解説:プロゴルファー堀越良和
週刊ゴルフダイジェスト2020年2月25日号より