明日18日(木)から、第152回全英オープンがスコットランド西部のロイヤルトゥルーンで開催。開催を前に、ゴルフ界を彩ったレジェンドたちの全英オープンを全4回で振り返る。第3回目は最年少グランドスラマーで生ける伝説、タイガー・ウッズの物語をプレーバック。

タイガー・ウッズが最年少(24歳)で史上5人目のグランドスラマーになったのが、絶頂期の2000年セントアンドリュースでおこなわれた全英オープンを制覇したときだ。2日目から首位を独走すると最終日は一時後続に9打差。17番のボギーで8打差に縮まったがホーム・オブ・ゴルフ(ゴルフの故郷)で大観衆を興奮と感動の嵐に巻き込んだ。

画像: 2000年のセントアンドリュース オールドコースで開催された全英オープン。タイガーは一度もバンカーに入れず、圧倒的な強さで初優勝を遂げた(写真は練習日のタイガー・ウッズ。撮影/有原裕晶)

2000年のセントアンドリュース オールドコースで開催された全英オープン。タイガーは一度もバンカーに入れず、圧倒的な強さで初優勝を遂げた(写真は練習日のタイガー・ウッズ。撮影/有原裕晶)

コースに112個あるバンカーに1度もつかまることなく当時のメジャー最少ストローク記録、通算19アンダーでトロフィーを掲げたタイガー。そこには緻密な計算があった。

早めに現地に入りコーチのブッチ・ハーモン氏と取り組んだのは風の強いリンクスに対応するためのスウィングの調整。

「バックスウィングとフォロースルーをコンパクトにして弾道をコントロールし、左腕のプレーンを意識する練習を繰り返しました。リンクスでショットを安定させるためにどうすればいいか。それを徹底的に考えて準備したのです」

広いフェアウェイに向かってドライバーを飛ばしたいという誘惑もあった。しかし彼はつかまると厄介なポットバンカーに届かないクラブを選択し鉄壁のゴルフを貫いた。

そしてバーディを次々と奪う。最終日はスタートホールから目の肥えた本場の観客の大歓声を浴び18番ではスウェルカンブリッジ(橋)がかかる小川を飛び越えたギャラリーがロープの内側になだれ込んだ。収集がつかなくなるほどの騒ぎのなか、褐色の肌の若者がパーパットを沈め、全英オープン初優勝を決めると右手で拳を握り締めた。

画像: 2000年は全米オープンに続く、メジャー2勝目。このあと全米プロも優勝。そして翌年のマスターズも制覇し「タイガースラム」を達成する(撮影/有原裕晶))

2000年は全米オープンに続く、メジャー2勝目。このあと全米プロも優勝。そして翌年のマスターズも制覇し「タイガースラム」を達成する(撮影/有原裕晶))

2000年はペブルビーチGLの全米オープン、バルハラGCの全米プロを制し年間メジャー3勝。年をまたいで01年のマスターズにも勝って“タイガースラム”を実現するなど当時彼はキャリアの第1次ピークを謳歌していた。

同じ年に全米&全英両オープンを制したのはボビー・ジョーンズ、ジーン・サラゼン、ベン・ホーガン、リー・トレビノ、トム・ワトソンに次いで史上6人目。グランドスラムの達成はジャック・ニクラスより2歳早かった。

ところで2000年の全英で彼が着ていたポロシャツは我々がイメージする勝負服のレッド(真紅)ではなく、紫がかったくすんだ色。勝負カラーは観戦に訪れていた母・クルティダさんが身につけており全身鮮やかな赤の出で立ちは、遠目でもよく目立った。

24年前、24歳のタイガーは野性味を帯びた生意気そうな若者だった。

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