今年の日本アマで優勝した松山茉生は兄・自分・妹の3兄弟で、兄・怜生(福井工大1年)と昨年の日本アマに出場、出場2回目で日本一の座を手にした。このように、兄弟揃って日本アマに出場することは容易ではないが、今年の兄弟出場は3組あった。福住将・修(双子でともに専修大4年)、小林大河・翔音(ともに日大3年と1年)、そして長﨑煌心・大星(兄が日章学園高2年、弟が日章学園中3年)だ。
とくに注目したのは高校生と中学生の長﨑兄弟。少し時間が経ってしまったが、今後注目の2人に話を聞いた。
兄・煌心(日本アマでは41位タイ)が5歳、弟・大星(日本アマでは49位タイ)が2歳のときに、祖父や父が行っていた練習場に付き添う形でゴルフに出合う。当時は宮崎県都城市に住んでいたが、兄弟のゴルフ熱を感じた父が、「もっとゴルフ環境のいいところへ」と一念発起し、宮崎市内へ引っ越したという。
彼らのゴルフの師は中嶋常幸プロ。同プロ主宰のジュニアアカデミー「ヒルズゴルフトミーアカデミー」で、年4~5回、茨城の静ヒルズCCで指導を受けている。同アカデミーは2年に1度開催される入塾テストを合格した選手のみがアカデミー生になれるという狭き門だが、それを兄弟で複数回合格。「アプローチやコース戦略、練習の仕方を教えてもらっている」という。
兄・煌心の好きなクラブはアイアン。「アイアンをよく練習するので、得意ということもあるんですが、バーディを獲るためにベタピンに付けたりするには、アイアンショットが重要だと思うので」。弟・大星の好きなクラブはドライバーでその心は「アイアンやウェッジは狙ったところに持っていくために押さえて打つ必要があるんですけど、ドライバーは気持ちよく、いっぱい振れるので」と、同じ環境で育ってきたのに、ほぼ真逆のことに喜びを覚えるというのも面白い。
14歳にして300ヤードを飛ばす弟・大星にコツを聞いてみると「ほとんどの人はテークバックで右に体重移動して、その後に左にという感じだと思うんですが、自分は基本、左足に軸をしっかり持ってその場で回るイメージを持っています」と、2012年ごろのタイガー・ウッズがショーン・フォーリーの教えとして、習得したスタックアンドチルト(左足1軸)のスウィングに近いという。
そんな煌心・大星兄弟はふたりとも「週刊ゴルフダイジェスト」のジュニアゴルファーを追いかける人気連載「キミこそ王子だ」に登場している。その際に、ナビゲーターである武市悦宏プロは当時中学3年生だった煌心を「もっと飛ばしたい! とクラブを振り回してしまいがちな年代なのにすごく冷静」と評し、当時中学1年生だった大星を「パワフルなスウィングで才能の塊!」と称していた。
そんな二人に自分の性格を尋ねると、煌心は「おっとりしていてやさしい」と答え、大星は「大雑把に見えるんだけど細かい」という評価。そして、お互いをどう思っているのかを聞くと、煌心は「弟は何も考えていないように見えます。でも、かなり細かいところまでコース戦略を立てて、しっかり攻めている」と感嘆していたが、大星は「しっかり考えていそうなのに、考えていないですね、お兄ちゃんは(笑)」と笑いながら応え、仲の良さが伝わってきた。また、煌心は弟を「ライバルですね」と意識するも、大星は「僕は相手にはしてないんですけど(笑)」と意に介していない掛け合いも仲がいい証拠だろう。
目標は揃ってプロゴルファーという兄弟の今後に注目だ!