「伸ばし合いのなか、プレーに集中しました」(川崎)
圧勝だった。
単独首位からスタートした川﨑はまったくスキを見せない。勝負どころのサンデーバックナインで3ホール連続を含む5バーディを奪い、同組のパリ五輪代表・山下、三ヶ島かなを寄せつけなかった。
最終18番で奥から1メートルのウィニングパットを静かに沈めると、右手でキャップのツバをつまみ、ギャラリーに向かって小さくおじぎ。それから肩をすくめるようにして、うれしそうにほほ笑んだ。京都出身らしく”はんなり”した仕草で喜びをかみ締めた。
優勝インタビューでも京言葉で”はんなり”感を漂わせた。
「やっぱり伸ばし合いになることは昨日から分かっていたので、その中でも自分のプレーに集中していこうという気持ちでやっていました。これからも目の前の1打に集中してプレーを続けていきたいなと思います」
強敵・山下を相手の激しい伸ばし合いを精度の高いショットと成長著しいパッティングで制した。
前半は三ヶ島に首位を明け渡す場面もあったが、再び首位に並んで迎えた13番で6メートルのバーディパットを沈めて単独首位に立った。勝負どころの15番で右奥2メートルを決めて優勝を大きく引き寄せると、攻撃の手を緩めず、16番は7メートル、17番はバックスピンで奥1・5メートルにつけて3連続バーディを奪い、最後は2位の山下に4打差をつけてVゴールに飛び込んだ。
「今日はあとのお2人(山下、三ヶ島)もお上手だったので、全部入ってきそうだな思いながら打ってました。(でも)前回(の優勝)は目の前の1打に集中するということをやり遂げられたので、今週もその思いが生きたかなと思います。ずっと頭の中で繰り返し繰り返し、自分との勝負、目の前の1打と言い聞かせていた感じです。(優勝を確信したのは)今日はすごいプレーに集中できていたので、最後のパーパットくらいです」
テレサ・ルーのツアー最少ストローク記録を更新
価値ある記録を樹立しての優勝となった。
第1日こそ4アンダー68で16位発進となったが、第2日に7アンダー65で4位へ上がると、第3日に9アンダー63をマークして単独首位に浮上。最終日も8アンダー64で回って、ツアー新記録の通算28アンダー、260を達成。2016年大王製紙エリエールでテレサ・ルーが出した72ホールのツアー最少ストロークの通算24アンダー、264を更新した。
「(記録については)昨日聞きました。毎日こんな伸ばせたことは初めてなので、振り返って見るとうれしいなと思います」
2003年生まれのダイヤモンド世代の旗手が高々と復活を告げた優勝でもあった。
ルーキーイヤーの2022年にいきなりメジャーの日本女子プロゴルフ選手権コニカミノルタ杯で劇的なツアー初優勝。同年は高額賞金大会のマスターズGCレディースでツアー2勝目を挙げたが、昨年は15試合で予選落ちし、メルセデスランク48位と不振に苦しんだ。
今季も開幕から優勝した前々週の前まで7試合で予選落ちと試行錯誤の状態だった。