まずは状況判断が大切だ
暑さが続く日本列島。気温もそうですが、芝も元気で手強いシーズンです。
パリ五輪のゴルフ競技でも、世界のトッププレーヤーがラフから苦戦している姿が印象的でした。どんなに良い流れできていても、ショットがわずかにブレてラフにつかまっただけで、確実にストロークを失っていく。改めてラフの厳しさを実感させられるフィールドでしたね。
また、金メダルに輝いたスコッティ・シェフラー選手。ラフからでも同じスウィングリズムで安定したキャリーを出していたのが印象的でした。
今回は、改めてラフとの付き合い方について考えていきたいと思います。まずは状況判断です。
a)ボールがどれくらい埋まっているか。
b)芝の密集具合はどうか?
c)芝目は順目か逆目か。
この3つのポイントをチェックします。
a)
ボールを真上から見ないと確認出来ないほど沈んでいたら、これはもうショートアイアン、時にはウエッジでまず脱出だけを考えなければならないでしょう。
b)
次に芝の密集の度合いです。例え芝自体の長さが短くても、隙間が少なく、芝の一本一本が垂直に起きている状態ではかなり抵抗が強くなります。逆に長さ自体は長めでも密集せず、まばらな状態なら抵抗は少なくなりますので、ユーティリティやショートウッドも使える可能性があります。
c)
もう一つ、芝の流れが飛球方向に向かって流れているか、逆を向いているかによってクラブヘッドが抜けるかどうかの抵抗がかなり違ってきます。逆目の場合、飛距離もかなり出にくくなります。
その状況判断をもとにどんな打ち方をするのか。
a)のような状況では、とにかくボールの下の芝までヘッドを届かせる必要がありますから、ヘッドのリーディングエッジを利用して鋭角にヘッドを落としていきます。また、無理にフィニッシュを取る必要はありません。しっかりバックスウィングを取ったら、ヘッドの重さを利用してボールの下にヘッドを落としていく。そんなイメージです。ただし、ショートアイアンは芝の抵抗でフェースが左にかぶりやすくなりますので、左のグリップはしっかり握っておくようにします。
b)のような状況で芝の密集度がそれほどでもなく、なんとかユーティリティやショートウッドでも打てそうな時。ここで求められるのは、芝の抵抗に負けないヘッドスピードですが、腕の力だけで強く振ろうするのは危険です。手先に頼らず、体幹を使ってしっかり振り切ること。具体的にはしっかりテークバックを取り、下半身主体に切り返し、フォローに向かって加速するようなインパクトを心がけます。
また、出来れば必要以上に短く持たないこと。せっかく、長さのあるクラブを使うのですから、その長さを利用してヘッドを加速させるのです。ヘッドをしっかり加速されていれば、思ったより芝に負けずに振り抜くことが出来ます。
もう一つ、ユーティリティやウッドやラフで使う時に気をつけたいのが、「ソールを滑らせる」こと。アイアンに比べたらヘッドが大きい分、芝の抵抗が大きくなりますが、ウェッジやショートアイアンのようにリーディングエッジでボールにコンタクトしようとすると、芝に刺さる状態になってしまって、ヘッドが抜けてくれません。ボールをやや左目に置き、ボールの前後の芝を10cm幅で掃くようなイメージでソールを滑らせるイメージです。
手強いラフでもパワーに頼らず、上手く付き合う。次のラウンドで参考にしていただけたら嬉しいです。