毎週優勝者のスウィング解説をする【勝者のスウィング】で、嬉しいことに今季2度目の桑木志帆選手のスウィングを解説することになりました。
CAT Ladiesの週に全英女子オープンの出場資格が降りて来ましたが、体調もゴルフの調子も今ひとつであったことや技術やクラブでもリンクスに対する準備不足もあり、「国内ツアーに専念しポイントランクを上げたい」という彼女の意思を尊重し、今週に臨んでいました。その言葉の通りに強い気持ちを持ち続け、初優勝から2カ月で2勝目を飾ることができました。
また今週のキャディは、北海道オープンでプロを押しのけ優勝したこともあるトップアマの工藤大之進さんにお願いできました。優勝するにはラッキーも必要ですが、コースを熟知しプレーヤーの感覚も持つ彼とコンビを組めたことが一番のラッキーだったかもしれません。慣れないキャディの仕事を完璧にこなし、風の読みもグリーンの読みも的確なアドバイスで桑木自身も安心してプレーできたと話していました。
工藤キャディは仕事の都合で初日からのコンビスタートとなったので、水曜日の夕飯を共にすると「桑木さんと優勝する夢を見ました」と話し、まさかの正夢となりました。
スウィングに目を向けると、予選落ちはしましたが「NEC軽井沢72」の2日目のバック9からショットは復調の兆しを見せていました。腕の動く量を少なくし下半身を使って打つために、下半身の使い方を徹底的に小楠トレーナーと取り組んでいました。その結果、翌週の「CAT Ladies」ではFWキープ率は4番目、パーオン率も2番目のスタッツにまで復調して来ていました。
スウィングは桑木本人、小楠トレーナー、そしてコーチの私の3人で方向性を確認しながら本人の感覚と実際の弾道や飛距離を見ながら調整していきます。「上から入り過ぎる、左へ引っかける、開いて右ペラ」というフェードヒッター特有のミスの範囲を狭めるために、体の重心の位置やボールとの距離、重心移動の量など感覚をすり合わせる作業は常に取り組んでいます。
早い段階で背中をターゲットに向け左足を踏み込んで切り返したら、右足を内側に内旋させるように右足でも地面を踏み込むことで骨盤をターンさせた回転力が体幹、腕、クラブへと伝わっていることが見て取れます。
ショットの調子は概ね3週間は良い感覚が残ると言われていますので、残るはパッティングへの取り組みでした。2週前に南秀樹コーチに相談し、パットの動画を送ったところ「ダウンブローでボールを潰し過ぎているので転がりが悪い」というアドバイスをもらい、パターのロフトを3度から同モデルの4度をピンゴルフの担当者にお願いして作ってもらい、最下点付近でヒットするよう取り組みました。
雨の影響でグリーンが軟らかくても転がりをキープできたこと、ショートせずに打ち切れたことが勝利に結びつきました。
ゴルフは個人競技ではありますが、舞台を用意してくれるスポンサーやJLPGA、そしてギャラリーの皆さんがいて初めて成り立つツアーの舞台は、個人競技ではなくキャディやトレーナーを含め、誰一人欠くことのできない団体競技と同じなんだと、改めて感じた2勝目になりました。
全英女子オープン組が帰国参戦する今週以降でも3勝目を目指して戦えるようサポートしていきます。