「もしかしてマンションのゴルフコンペの日?」。妻がカレンダーの丸を見て笑う。年に一度の負けられない戦い。この結果で1年間が決まると言っても過言ではない。そういえば昨年、8万円超えなのに1レースしか耐久性がないランニングシューズが一瞬で売れた話を思い出した。意外とマラソン初心者のオジサンが購入したと聞く。負けられなかったんだな! と共感する。俺もそんな秘密兵器が欲しい! と検索していたら見つけた。ムジーク「XSPIRE AL-FACEウェッジ」だ。
フェース素材がアルミだそうだ。アルミ? と思ったが、CNCミーリング精密機械加工によるアルミフェースを採用しているらしい。アルミの摩擦係数の高さ、軽量、高強度、柔軟性、錆びにくさなど、その特性を生かしたウェッジみたいだ。確かに強度はあるが軟らかいだろ? 軟らかい=溝がすぐ減ってしまうじゃないか? なんて思ったら、可変フェース構造らしい。減ったら交換すれば良い。ライバルをビビらせるスピンをかけたくて、酔っ払ってポチり。早速にテストしてみた。
肝心のスピン性能だが秘密はフェースだけじゃない。アルミフェースを採用することで、ヘッド重心が高くなり、スピン性能が向上。深重心により、ヘッドがオートマチックに作動し、推進力が増しているとのこと。ちょっとビビるローバウンスだが、ワイドソールになっていて、インパクト時にソールが跳ねず、芝の上を滑ってくれる。「俺上手くなっちゃたんじゃない?」と錯覚する。ただ一つ問題がある。スピンが楽しくて、戦いはまだまだ先なのにこのウェッジを使いまくっている。意外と溝は減ってないけど、負けられない戦いのため、交換用フェースを購入せねば。ルール非公認のやばいフェースもあるらしい。いや、やはりルール適合だろ。ウダウダ悩む私を見て妻が笑う。
TEXT/Motoharu Tajima
PHOTO/Takanori Miki
※週刊ゴルフダイジェスト2024年9月10日号より